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ソニー、4K小型カメラや1,000nitの31型液晶。AIで報道&スポーツ映像編集

国際放送機器展「Inter BEE 2018」が14日、千葉県の幕張メッセで開幕した。期間は14~16日で、入場は無料(登録制)。12月1日開始の新4K8K衛星放送を見据え、4Kカメラを含む映像機器や、編集を効率化するソリューションなどを展示しているソニーブースの内容をレポートする。

ソニーブースは440型のCrystal LEDディスプレイが目印

全画面1,000nitの4K液晶マスモニ、採用進むCrystal LED

Inter BEEに合わせて発表された新製品は、新4K衛星放送を見据えた4K XAVCレコーダー「PZW-4000」。4Kの高画質を維持しながら、従来比約1/3に圧縮可能なビデオフォーマットの「XAVC-L422 QFHD 200」に対応。独自開発のコーデックチップを搭載し、1台で4K HDR映像を高画質/低ビットレートで、収録・送出・トランスコードできる。製品の詳細は別記事で掲載している

4K XAVCレコーダー「PZW-4000」

9月に発表した、2/3型3板式4Kイメージセンサー搭載のポータブルカメラ「HDC-3500」やマルチパーパスカメラ「HDC-P50」も展示。スポーツなどの動きの速い被写体の撮影や、高速にパン/チルトしても歪みのない高速撮影を実現するグローバルシャッター機能を備えた新開発センサーを搭載。マルチパーパスカメラのHDC-P50は、コンパクトな本体からダイレクトに4K信号出力できる。

HDC-3500
HDC-P50

31型4K液晶マスターモニター「BVM-HX310」も披露。既存の有機ELマスモニとして定評のある「BVM-X300」の画質性能、深い黒と正確な色再現を継承。X300で1つの懸念点とされていた「放送用HDR最大輝度の1,000nitが全画面では表示できない」という課題を、独自仕様のパネルと新開発のディスプレイ信号処理技術の組み合わせにより克服。100万:1の高コントラストも同時に実現している。

31型4K液晶マスターモニター「BVM-HX310」

映画制作用カメラCineAlta「VENICE」用のエクステンションシステム「CBK-3610XS」を製品化。エクステンションケーブルを介してカメラのセンサーブロック部分を本体から最長5.5m離して撮影可能。これまで困難だった狭い場所での撮影なども行なえる。なお、VENICE本体のファームウェアアップデートを2019年2月に実施。新たにX-OCN XTフォーマット、5.7K 16:9スキャニングモードの追加や、ワイヤレスリモートコントロールへの対応などを行なう。

VENICE対応エクステンションシステム「CBK-3610XS」の使用例

Crystal LEDディスプレイシステム(CLED)は、8K4K解像度でサイズは約5.4×9.7mの約440インチ。8KカメラのUHC-8300で撮影した8K 120p HDR映像や、映画制作用カメラのVENICEで撮影した映像を表示している。

Crystal LEDディスプレイシステム

国内では、NTTドコモのショールームに幅14.5mのCLEDを納入。また、本田技研の四輪R&Dセンターの自動車デザイン開発にも約312型のCLEDが使用されている。埼玉県のイイナパーク川口 歴史自然資料館には、シアターとして採用。映画館への採用については、具体的に決まってはいないが、「ソニー・ピクチャーズのスタジオにおいて、映画に適した状態で表示できるかどうかの検討を始めている段階」(ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ プロフェッショナル・ソリューション&サービス本部 メディア事業担当VP 桐山宏志氏)としている。

CLEDや、大型ビジョンの納入事例

AI活用で報道やスポーツの映像編集を効率化

参考出展しているのは、報道/情報向けのAI映像解析サービス。テレビ放送の番組を編集してVODサービスで配信する場合などに、編集作業を効率化できるのが特徴で、AIが音声/出演者/テロップ/シーンを認識して、メタデータを付与。特定の出演者がいるシーンを抜き出すといった作業が効率的に行なえる。現在はテレビ東京と協力し、実際のVODサービスへの採用に向けて進めているという。

コンテンツの内容確認をAIで自動化
映像解析GUIの例。テレビ東京のニュース番組WBSの場合

スポーツ分野に向けた映像解析も開発が進められている。映像配信サービスでスポーツのダイジェストを作る場合などに、物体認識によりサッカーのゴールとボールが重なった部分を重要なシーンとして判定したり、スコアボードの文字認識で得点を判定。選手の姿勢からプレイの内容を推定することなども可能だという。現在、競馬中継においてフジテレビと協力し、実用化に向けて開発を行なっている。

サッカーでゴールとボールを認識
競馬でゴールシーンを認識
映像解析ソフトの画面

「スペクティ」は、FacebookやTwitterなどのSNSに投稿された情報をAIが解析し、必要な情報のみを自動収集するSpectee製のリアルタイム速報サービス。どの場所で災害や事件などが起きているか、警察などの情報よりも早く入手できるという。販売パートナー契約締結により、9月よりソニービジネスソリューションが提供開始している。

SNSの情報を自動収集するリアルタイム速報サービスのスペクティ

ホール8の「Inter BEE 5G」には、NTTドコモの「5Gデモバス」が展示。ソニーブース内のカメラスタジオの映像をデモバス車内にライブにて投影するデモンストレーションを行なっている

NTTドコモの「5Gデモバス」にソニーの映像が投影されている
スマートフォン用インカムアプリ「Callsign」は'19年1月より提供予定。料金は月額1,200円(5台まで/1グループ)