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ヤマハ、ZYLONなど最上位の技術を継承する90万円の小型スピーカー「NS-3000」
2020年7月16日 13:00
ヤマハは、100% ZYLON(ザイロン)を使用した振動板や、「R.S.チャンバー」など、フラッグシップスピーカー「NS-5000」の技術と設計思想を継承した、2ウェイブックシェルフスピーカー「NS-3000」を8月28日に発売する。価格はペアで90万円。仕上げはピアノブラック。専用スタンド「SPS-3000」も1台10万円で同日に発売する。
「ヤマハの新たな音の世界を切り拓くモデルとして、幅広い方々に深い音楽体験を提供していく」モデルと位置付けられている。
ユニットサイズは、ツイーターが3cm径のドーム型、ウーファーが16cm径のコーン型。2ウェイのバスレフ型となる。
どちらのユニットの振動板にも、100% ZYLONを使用。フラッグシップスピーカー「NS-5000」で採用されたもので、ベリリウムの音速とアラミド繊維の内部損失、両方の特性を併せ持つという。ZYLONは、有機繊維の中で世界一の強度と理想的な弾性率を誇るという化学繊維で、これを使ったベース素材に、モネル合金蒸着コーティングを施し、ヤマハ独自の振動板としている。
ツイーターでは、固有共振によるピーク/ディップの発生を抑えるソフトドーム形状とすることで、周波数特性の平坦化を図り、全帯域にわたる音色と音速の統一を可能にした。このツイーターはNS-5000でも使用されている。
組み合わせるウーファーは、センターキャップレス・コンケーブ型コーンを採用した新開発のもの。情報量豊かな音と自然な聴き心地を実現したとする。
キャビネットの設計には、楽器の研究・開発などに用いられるレーザー振動計と、FEM(Finite Element Method)解析を駆使。レーザー光によりキャビネットの振動特性を詳細に把握したうえ、FEM解析と実測との結果比較を繰り返し行なうことで不要共振と放射音の影響を高精度にシミュレーションし、最適な補強桟の構造を実現している。
キャビネットの素材には、木材の節や穴などを丁寧にひとつずつ取り除いた北海道産白樺の積層合板を採用。長期間の使用に耐える優れた耐久性と高い品質を兼ね備えた。
ツイーターユニットの背面には、振動板の背後で発生する不要な管共鳴を抑制するヤマハの特許技術「R.S.チャンバー」を装着。独自の音響解析に基づいて配置した2本の特殊形状管が、吸音材に頼ることなく不要共振を打ち消すことで、「ユニット本来の周波数特性を取り戻す」という。音楽ソースの持つ微小信号を損なうことなく自然な音の響きを蘇らせ、「楽器や声の細やかなニュアンスまでも忠実に表現する」という。
キャビネット形状はシンプルな直方体。内部の定在波を特定の周波数に集約し、共鳴管を使ってそれを効率的に打ち消す特許技術「アコースティックアブソーバー」を採用。定在波によるユニット振動への影響を排除しながら、これまで大量に必要だった吸音材を最小限に抑えることで、吸音によって失われがちだった臨場感を再現できるという。
専用設計のネットワーク回路には、ドイツ ムンドルフ製のMCap SUPREME EVOなど、信号伝送のロスを可能な限り排除するという高級品を厳選。内部配線の全てにPC-Triple Cを使っている。スピーカーターミナルは、「自然な聴き心地にこだわった」とし、あえてシングルワイヤリングとし、真鍮削り出しの高品位パーツを採用している。
外装の6面すべてに、ヤマハのグランドピアノと同じピアノ専用塗料と下地材、研磨工程による黒鏡面ピアノフィニッシュを採用。ヘアライン仕上げのスピーカーリングと併せ、「楽器を感じさせる美しい外観に仕上げた」という。均一で高硬度な塗装皮膜は、キャビネット全体の剛性を高めるとともに微細な振動にも寄与している。
再生周波数は39Hz~60kHz(-10dB)、-100kHz(-30dB)。クロスオーバー周波数は2.8kHz。最大入力は120Wで、出力音圧は87dB/m/2.83V、1m。インピーダンスは6Ω/(最少4.6Ω)。外形寸法は244×326×394mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は13.1kg。
スピーカースタンド「SPS-3000」は、NS-3000のために専用設計されたもの。ベース部分は4.5mm厚の鉄板に、18mm厚のMDFを2枚を張り合わせた3層構造としたうえ、衝撃吸収力に優れ、傷がつきにくいポリウレアコーティングを施している。
MDFを採用した脚部は、滑らかな曲線を持つ2本の支柱を前後に向い合せる形で配置することで、音の反射による影響を最小限に抑えている。底面には着脱、および高さの微調整が可能なスパイクを装着。