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ソニー、“鑑賞画質”の「空間再現ディスプレイ」。約50万円

「Spatial Reality Display」(表示画面はイメージ)

ソニーは、視聴者の顔を捉え、3DCGをリアルタイムにレンダリングし、視点位置に合わせた高精細な裸眼立体視を実現する「Spatial Reality Display(空間再現ディスプレイ/型番:ELF-SR1)」を、10月31日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭想定価格は500,000円前後。

パネルサイズは15.6インチ

1月にアメリカ・ラスベガスで行なわれたCES 2020で技術参考提示された視線認識型ライトフィールドディスプレイと同じ技術。本体上部にある独自の高速ビジョンセンサーで視聴者の顔(両目)の位置を感知し、その情報をもとにリアルタイムレンダリングアルゴリズムによって、立体視に最適な映像をリアルタイム生成して表示する。

空間再現ディスプレイ:3Dクリエイションの現場を刺激する Spatial Reality Display:ELF-SR1【ソニー公式】
ディスプレイ上部のセンサーで瞳を検知する

瞳を検知する高速ビジョンセンサーは、上下左右の動きだけでなく、奥行き方向の動きも検知し、上下左右から覗き込むような動作にも対応した3D映像を楽しめる。高速ビジョンセンサーは、デジタル一眼カメラ「α」シリーズでの経験やノウハウを活かしつつ、独自にアルゴリズムやセンサーを開発したとのこと。

ただし、センサーが一度に認識できるのはひとりまで。複数人での裸眼立体視はできない。

本体は三角型の土台に固定されている

ディスプレイは三角型の土台に斜め45度で固定されており、チルトなどはできず、机などに置いて正対する形での利用が推奨されている。パネルサイズは15.6インチ。明るさは500nit。色域はAdobe RGB約100%。出力5.5Wの2.1chスピーカーも備える。

本体背面にHDMI、USB Type-C、電源端子を備える

本体背面にはHDMIポート、USB 3.2 Gen1 Type-Cポート、電源ポートを装備。イヤホンジャックは備えない。本体に取り付けることで没入感を高めるトップバーとサイドパネル、ボトムステージといったオプションパーツが同梱される。

ディスプレイの解像度は4K/3,840×2,160ドット。パネル表面には「マイクロオプティカルレンズ」が高精度で配置されており、このレンズが映像を左右の目に分割して届けることで、3Dメガネなどの要らない裸眼立体視を実現している。ディスプレイ1台1台に精密な調整が必要だといい、その工程にはBRAVIAの製造で培われた技術も活用されているという。

ディスプレイは「鑑賞画質を実現した」という(表示画面はイメージ)

他社の裸眼立体視ディスプレイでは、1枚のパネル内で複数視点分の映像を分割して表示するものが多く、解像度や明るさ、コントラストが不足しやすいという。一方、この空間再現ディスプレイでは、高速ビジョンセンサーで視線位置を認識し、4Kディスプレイの全画素を使って映像を描写できるため、解像度や明るさ、コントラストなども「鑑賞画質を実現」したとしている。

Unityの開発画面

裸眼立体視の利用には、ディスプレイのほかに、VRアプリの開発環境と同等スペックを持つPCと3DCGデータ、ゲームエンジンの「Unity」もしくは「UNREAL ENGINE4」が必要。用意した3DCGをゲームエンジンを使って読み込み、ディスプレイとセットでソニーから提供されるSDKを使ってアプリ化することで、立体表示が可能になる。

連携させるPCの推奨動作環境は、CPUがIntel Core i7-9700以上(8コア以上)、GPUがGeForce RTX2070 Super以上、メモリが16GB以上、ストレージはSSDが推奨されている。そのほか、4K/60Pに対応したHDMI出力とUSB 3.2に対応したポートが必要。

デザインデータ確認などの用途が想定されている

コンテンツクリエイターや映画・アニメ・ゲームのCGデザイナー、建築・自動車などのデザイナー、VR/ARデベロッパー向けのデザインデータ確認用途のほか、ショールームやイベント会場での展示用途、カーディーラーなどでの販促用途での利用が想定されている。

実際に、すでに新作映画のアクションシーン再現や、VFXの事前確認などで使われているほか、空飛ぶ車「SD-03」を手掛けるSkyDrive社に、バーチャルで飛行体験できるモニターとして採用されているとのこと。

外形寸法は383×231×232mm(幅×奥行き×高さ)、重さは4.6kg。

発売に先駆けて16日からはソニー銀座で、23日からはソニーストア札幌・大阪・福岡で、11月6日からはソニーストア名古屋で先行展示が行なわれる。

実物を鑑賞してみた

実際に、この空間再現ディスプレイを体感してみると、一般的な裸眼立体視ができるディスプレイにありがちな、映像がぼやけたり、チラついて見えることはなく、その高画質さに思わず「おおっ……!」と声が漏れてしまった。

瞳を検知する高速ビジョンセンサーの精度も高く、リアルタイムに生成されている映像とは思えないほど、描写もスムーズ。視聴したコンテンツのなかには、ユーザーが覗き込む動作を取ることで、遮蔽物の奥で何が起きていたのかが分かる、といった内容のものもあり、新たな映像の楽しみ方が生まれるかもしれない。

一方で、あまりに映像にのめり込み、視点を動かしすぎた結果、高速ビジョンセンサーの検知範囲外に出てしまって、裸眼立体視ができなくなってしまうシチュエーションが何度かあった。もっと覗き込みたいと思い、椅子から立ち上がったときにセンサー外に出てしまっていたようで、推奨されているとおり、机に置き、正対する形での使用が最適と言えそうだ。

また高速ビジョンセンサーは瞳だけでなく顔全体も検知するとのことで、マスクをしていたり、カメラを構えていたりして顔が覆われてしまうと裸眼立体視ができなくなっていた。

本体上部に音量調整ボタンも
本体正面(オプションパーツ装着時)
本体側面(オプションパーツ装着時)