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ソニー「α7R V」。初のボディ内蔵AIユニットで“次世代のAFシステム”

「α7R V」

ソニーは、ミラーレスカメラの新製品として、AIプロセッシングユニットをボディ内に初搭載して、AF性能が大幅に向上した「α7R V」を11月25日に発売する。レンズキットはなく、ボディのみでの販売。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は56万円前後。

有効約6,100万画素の高解像機「α7R IV」の後継機。35mmフルサイズのCMOSセンサーEXmor Rを引き続き採用。画像処理エンジンはBIONZ XRになり、低感度においてはαシリーズ史上最高の解像度を実現。低感度時のダイナミックレンジは約15ストップと広く、ハイライトからシャドウまで階調豊かに描くとする。常用ISO感度は静止画動画ともに100~32000。静止画撮影時の拡張感度は最大102400。

高解像性能を引き出すための高性能光学式5軸ボティ内手ブレ補正も装備。高精度な手ブレ補正ユニットおよびジャイロセンサーと、最適化されたアルゴリズムで手ブレ補正システムがトータルで進化し、静止画撮影時の補正効果はα史上最高の8段をボディ単体で実現した。対応する手ブレ補正機構内蔵レンズとの組み合わせではより効果的に補正できるとしている。

イメージセンサーの撮像領域の約79%(静止画撮影時)のエリアに最大693点の像面位相差AF点を備え、コントラストAFと併用したファストハイブリッドAFを搭載している。

最大の特徴は、αシリーズで初めてAIプロセッシングユニットをボディ内に採用したこと。従来もAI技術を活用したAFシステムを採用していたが、今回はユニットそのものをボディ内に搭載することで、被写体の認識性能が大幅に向上。人物、動物、鳥、動物/鳥、昆虫、車/列車、飛行機の7種類の認証対象を選択して設定可能になり、「次世代のAFシステムになった」としている。なお、カメラ本体での学習は行なわれない。

AIプロセッシングユニット

具体的には、人物の場合、従来の瞳と顔に加え、被写体の骨格情報を使って動きを認識する姿勢推定技術により、瞳の認識精度はα7R IVと比較して60%以上向上。横顔や、サングラス、帽子を被った状態でも瞳の位置を推定してピントを合わせられる。

動画撮影時のAFの様子

動物や鳥の認識性能も向上しており、従来は瞳のみ認識していたが、動物の顔や身体も認識できるようになり、犬や猫だけでなく、リスなどの小動物にも対応。鳥は従来の正面からの撮影に加え、側面の撮影や全体も捉えやすくなった。

新たに車/列車、飛行機、さらに昆虫の被写体認識にも対応。共通して先頭部、頭部もしくは全体を認識して追尾する。昆虫は主に蜂、蝶、トンボといった翅を持つ種類が認識しやすいとしている。

リアルタイムトラッキングについても精度が大幅向上しており、人物を認証対象に設定している場合、後ろ姿や横を向いていても人物として認識して追従するほか、手前側に障害物のある場所、例えば林の中を歩いている動画を横から追っていくような映像を撮影する場合、従来は人物が木に隠れる瞬間は手前の木にフォーカスを取られてしまうが、α7R Vは、木の方にフォーカスが向かうことなく、人物の居る場所にフォーカスを合わせ続けられる。

そのほか、EV-4.0の暗いシーンでも高精度AFで被写体を捕捉できるほか、静止画撮影時にレンズのフォーカスリング操作でマニュアルフォーカスに切り替えられるフルタイムDMF機能を搭載。カメラが自動的にピント位置をずらしながら最大299枚連続撮影できるフォーカスブラケット機能も搭載した。

また新たに備えた可視光+IRセンサーとAIプロセッシングユニットの組み合わせにより、色再現性も向上している。

新たな要素としては、モニターがチルト型とバリアングル型の両方の動きが可能なソニー独自機構の4軸マルチアングルモニターになっていることも特徴。液晶は前機種よりも一回り大きい3.2型サイズとなり、約210万ドット。ファインダーにはクラス最高解像度となる約944万ドットの高精細OLEDを採用している。

チルト型の動き
バリアングル型の動き
両方を組み合わせた動きが可能

また、複数人をカメラが認識している場合、マルチセレクターの上下左右を押すことで、トラッキングする人物を選択できる。これにより、例えば運動会で自分の子供に常にフォーカスが合った状態で静止画や動画を撮影するといったようなことが可能になる。

動画性能はXAVC HS(MPEG-H HEVC/H.265)に対応し、10bit 4:2:2 All-Intra XAVC S-Iでの撮影が可能。解像度とフレームレートは、フルサイズで8K 24p、4K 60pまで対応。スーパー35mm撮影時は6.2Kオーバーサンプリングによる4K(3,840×2,160)30p/24p記録も可能となっている。フルHDでは最大120pのハイフレームレートでの撮影も行なえる。

S-Cinetoneも利用可能。S-Log3撮影時は、14+ストップの広いラチチュードを発揮する。16bit RAWの外部出力にも対応する。なお、RAW出力中はガンマがS-Log3に固定される。

動画撮影時における手ブレ補正のモードはスタンダードとアクティブを備え、アクティブモードの補正については、従来のαシリーズ機に搭載されているものよりも強化されているという。なお、アクティブモード時は撮影画角が少し狭くなるほか、XAVC HS 8Kや動画モードの120p、S&Qモードの120pでの撮影時は無効になる。

外観では、α7 IVでも採用されている、モードダイヤル下部の静止画/動画/S&Q切り替えダイヤル、絞りや露出補正以外にも好みの機能を割り当てられるダイヤルLとRを備えている。動画撮影ボタンもシャッターボタン付近に置かれ、前機種でその場所にあったC1ボタンはモニター上に入れ替える形で配置されている。

α7R V(左)と前機種α7R IV(右)
左がα7R V。露出ダイヤルが無地のダイヤルに、シャッターボタン付近のC1ボタンが動画撮影ボタンに
左がα7R V。録画撮影ボタンがあった場所にC1ボタンが来ている
左がα7R V。奥行きが若干大きくなっている

そのほか、カメラ全体の放熱システムの最適化とソニー独自に加工した熱伝導性に優れたグラファイト素材を採用し、4:2:0 10bitで約30分の8K 24p動画記録が可能になった。

イメージセンサーのアンチダストシステムを備え、超音波アクチュエーターがイメージセンサーの前面に搭載したフィルターを7万回/秒以上の超音波で振動させ付着したゴミやほこりを効率的に除去できるほか、カメラの電源OFF時にシャッターを閉じることもできる。

ステレオマイクとモノラルスピーカーを装備。端子部はUSB-C、マイクロUSB、HDMI Type A、3.5mmミニジャックのマイク端子、ヘッドフォン端子、シンクロターミナルを正面から見て本体右側に全て装備。シューはデジタルオーディオインターフェース対応のマルチインターフェースシューとなっている。

端子系は正面から見て本体右側に集約

記録メディアはCFexpress Type AメモリーカードとSDカードが挿入できるスロットをデュアルで装備。外形寸法は約131.3×96.9×82.4mm。重量は本体のみで約638g。

カードスロットは同左側に備えている

レンズキャッシュバックキャンペーンを実施

α7R Vとキャッシュバック対象レンズの一部

α7R Vのボディ本体と同時、もしくは購入後から2023年3月27日までの期間中に対象のレンズを購入すると最大2万円キャッシュバックするキャンペーンを実施する。なお、α7R Vを予約した場合は、11月1日から購入予約日までに購入したレンズもキャッシュバック対象になる。キャンペーンはWebからの申し込み手続きが必要で、申し込みの期限は2023年4月10日10時まで。

対象のレンズとキャッシュバック金額は以下の通り。

  • 2万円キャッシュバック
    SEL1635GM
    SEL2470GM
    SEL2470Z
    SEL24105G
  • 1万5,000円キャッシュバック
    SEL1224GM
    SEL1224G
    SEL24240
    SEL70300G
    SEL14F18GM
    SEL20F18G
    SEL24F14GM
    SEL28F20
    SEL35F14GM
    SEL35F14Z
    SEL35F28Z
    SEL50F12GM
    SEL55F18Z
    SEL85F14GM
    SEL100F28GM
    SEL90M28G
    SELP28135G