ニュース

“テレビない人へNHK配信”の社会実証、民放「是非や妥当性評価できない」

~「NHKインターネット活用業務実施基準」の変更について~より

一般社団法人日本民間放送連盟(民放連)は29日、NHKのインターネット活用業務実施基準(素案)に対して、「テレビデバイスでの見逃し配信サービスを開始する考えが示されたが、本来の放送との関係性をどのように考えるかなどについて十分な説明があるべき」などの意見を発表。NHK経営委員会に提出した。

NHKは、9月1日に「NHKインターネット活用業務実施基準」の変更を検討すると発表。その中で、「NHKプラス」をより便利に、使いやすくするために、テレビの非保有者やNHK未契約者でもメールアドレスなど連絡先情報の入力で限定利用できるようにすることや、NHKプラスの対応端末をテレビにも拡張。PC、スマホと同じように、テレビでも見逃し番組を視聴できるようにするサービスを開始するといった変更案を提示している。

民放連ではこれに対し、「多様な民間事業者がプレイヤーとして存在するインターネット空間において、放送を行なうことを目的として設立され、受信料財源で運営されているNHKが果たすべき役割は明らかではない」とし、「NHKのインターネット活用業務のあり方は、NHK自身がまずインターネット空間で公共の福祉にどのように貢献するのか全体像を示したうえで、国民・視聴者の公平負担のあり方、言論・情報流通の多様性の確保、市場の競争環境への影響をはじめ、多角的な観点から国民的議論が行なわれる必要がある」とする。

また、テレビでの見逃し配信サービス開始については、「本来の放送との関係性をどのように考えるかなどについて十分な説明があるべき」とした。

さらに、“テレビを持たない人たち”にも通信を活用してNHKの番組を届ける社会実証については、「国民・視聴者がNHKに期待する役割やニーズを把握するための施策と理解しますが、具体的な計画が明らかになっていないため、是非や妥当性が評価できない」という。そして、「国民・視聴者および関係者に判断材料を提示する観点から、実証で明らかとなった知見が広く共有され、客観的に検証されることがきわめて重要。そのため、実証で得られたデータを全面的に開示いただくことを要望します」としている。