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ソニー初、QD-OLEDパネル採用の最上位4K有機EL「A95K」

65型「XRJ-65A95K」

ソニーは、ブラビアの新製品として、QD-OLEDパネルを搭載したフラッグシップ4K有機ELテレビ「A95K」シリーズを7月より発売する。55型「XRJ-55A95K」と65型「XRJ-65A95K」の2サイズを用意。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は55型が47.3万円前後、65型が66万円前後。

新型有機ELパネル「QD-OLED」を採用。光源の純度や明部の色再現領域、視野角特性に優れたパネルと、認知特性プロセッサー「BRAVIA XR」を組み合わせることで、あらゆる輝度レベルで鮮やかな色とリアルな質感表現を実現した。

専用デバイス「BRAVIA CAM」

また、テレビ上部に設置して使用する専用デバイス「BRAVIA CAM」を標準搭載。視聴者の位置を認識して画音質を自動で最適化したり、ジェスチャーによるテレビ操作、ビデオチャットなど、従来のブラビアではできなかった様々な機能も追加している。

同時発表の4K有機EL「A80K」「A90K」、4K液晶「X95K」「X90K」「X85K」「X80K/X80WK」シリーズは、別記事で紹介している。

国内メーカー初のQD-OLED機。明部の色再現と視野角改善に寄与

A95Kシリーズは、国内メーカー初、そしてブラビア初となるQD-OLEDパネルを採用しているのが特徴(A95K以外の有機ELブラビアは従来型のOLEDパネルを採用)。解像度は4K/3,840×2,160ドットで、リフレッシュレートは最大120Hz。

65型「XRJ-65A95K」

QD-OLEDは、サムスンディスプレイが供給する新しい有機ELパネル(ペンタイルRGB)で、トップエミッション構造の青色有機EL層と、波長変換を行なう量子ドット(Quantum Dot)シートを組み合わせたもの。

白色の有機EL層とカラーフィルタを組み合わせたLGディスプレイ製のOLEDパネル(ストライプWRGB)に比べ、純度の高い発色が得られるほか、明部でも色抜けしない、視野角に強い(量子ドットはカラーフィルタに比べて減衰が少ない)、などの特長を備える。

A95Kでは、このQD-OLEDの特性とプロセッサーXRを組み合わせた「XR トリルミナスマックス」技術を導入。XRの映像処理と、暗部から明部までRGBを独立発色させるパネル構造を活かし、高い発色と広い色再現領域を実現した。

また独自の発光制御技術「XR OLED コントラスト プロ」においても、新型パネル用にチューニング。パネルの放熱シートおよび温度分布センサーを加味しながら、XRによる映像処理で発光性能を最大限まで高め、明るく、高コントラストな映像を可能にした。

映像エンジンは、2021年モデルでも採用されている認知特性プロセッサーXR。'22年モデルにおいては新しいアルゴリズムが使われており、映像内のオブジェクト情報を反映させた奥行き表現の向上、およびカラー解析能力向上による質感・立体感の向上を実現しているという。

ほかにも、あらゆる映像を4Kに高精細化する「XR 4Kアップスケーリング」技術、動きの速い映像でもクッキリかつ滑らかに描写する「XR OLED モーション」技術などを引き続き搭載した。

なお、対応するHDR規格は、HDR10、HLG、Dolby Vision。

アクチュエーターコイルとパネル変更でオーディオ性能も強化

サウンドシステムは、画面自体を振動させて映像と音の一体化を実現する「アコースティック サーフェス オーディオ プラス」を搭載。

アクチュエーター×2、サブウーファー×2の2.2chで、実用最大出力は60Wと、'21年モデルのA90Jとカタログ仕様は変わらないが、アクチュエーターコイルの大型化による高域改善やパネル変更による中低域の抜け感改善など、オーディオ性能のアップデートも行なわれているという。

A95K(左)とA90Jのアクチュエーター比較。コイル径が11.5mmから16mmに大型化した

ほかにも、ソニーのサウンドバーなどと接続した時に、テレビスピーカーをセンタースピーカーにする「アコースティック センター シンク」、アトモス以外のコンテンツでも左右・高さ方向の3次元立体音響を生成する「3D サラウンド アップスケーリング」などを搭載。Dolby Atmos対応やセンタースピーカー入力端子も備える。

背面のセンタースピーカー入力端子

小型カメラ「BRAVIA CAM」を使った新しいUX

'22年モデルは、UXも大きく進化。専用の小型カメラ「BRAVIA CAM」(A95Kは付属)との連携により、従来は手動で操作しなければならなかった調整が、自動もしくはジェスチャーで可能になった。

例えば、BRAVIA CAM連動による自動画音質調整では、カメラがユーザーの位置を認識。距離に合わせて画面の明るさとボイスズーム、位置に合わせてLRバランスや遅延を調整。1人でも複数人でも、常に最適な視聴環境を自動で実現してくれるという。

専用の小型カメラ「BRAVIA CAM」。A95Kは付属

また、ジェスチャーコントロールではカメラがユーザーの手の動きを認識。手の状態とその動きで音量調整や再生・一時停止、電源オフなどの基本操作をリモコンレスで実現する。

ほかにも、子供がテレビに近づきすぎた際、画面に警告と音声を出す「近すぎアラート」やGoogle Duoによるビデオチャット、テレビの前に人がいない間輝度を調整し消費電力を抑える「自動省電力モード」を新機能として用意した。

なお、ビデオチャット以外の機能は、アップデートでの追加を予定。残念ながら'21年以前のモデルでBRAVIA CAMを利用した場合の動作保証はないという。

スタンドは2種類の取り付けが可能

搭載チューナーは、BS4K/110度CS 4K×3、地上/BS/110度CS×3。別売の外付けHDDを接続すれば、2番組の同時録画も可能。放送視聴中の裏番組録画や2番組同時録画が行なえる。

OSは「Google TV」を採用。NetflixやPrime Video、Hulu、Disney+、TVer、ABEMA、U-NEXT、Apple TV、YouTube、DAZNなどの各種映像配信サービスが楽しめる。Bluetooth式リモコンには「Netflix」など、7つのダイレクトボタンを用意する。

リモコン
7つのダイレクトボタンを用意

無線LANは、IEEE802.11ac/a/b/g/n。Chromecast built-in、Apple AirPlay 2ほか、ホームネットワーク機能(DLNAクライアント)も備える。

HDMI入力は4系統で、入力3・4がHDMI 2.1をサポート。4K120p入力や可変リフレッシュレートのVRR、自動低遅延モードのALLMに対応する。eARCは入力3のみ可能。PS5連携機能のオートHDRトーンマッピング、コンテンツ連動画質モードにも対応する。

背面端子

HDMI以外の端子として、ビデオ入力端子(S-センタースピーカー入力兼用)、光デジタル音声出力、ヘッドフォン出力、センタースピーカー入力、USB、LANを備える。

なお、スタンドは、2種類の取り付けを用意。正面から見た時にスタンドの存在を感じさせないワンスレートデザインの「フロントポジションスタイル」、画面をスタンド後部に取り付け、壁掛け展示のような設置が行なえる「バックポジションスタイル」と、用途やデザインに応じた設置が選べるようになっている。

消費電力と年間消費電力量は、65型が401W/190kWh/年、55型が332W/175kWh/年。

外形寸法、重量は以下の通り。

【スタンドを含めた外形寸法と重量】
・XRJ-65A95K:144.4×30.1×85.1cm/フロントポジション(幅×奥行き×高さ)
        144.4×28.2×87.7cm/バックポジション(同) 40.9kg
・XRJ-55A95K:122.5×28.0×72.8cm/フロントポジション(同)
        122.5×26.5×75.3cm/バックポジション(同) 31kg

フロントポジションスタイル。画面は後ろに3度傾斜する
バックポジションスタイル
背面部分