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シャープ、第2世代ミニLEDアクオス「EP1」。新量子ドットで色域拡大

75型4K液晶テレビ「4T-C75EP1」

シャープは、量子ドット技術とミニLEDバックライトを搭載した、第2世代AQUOS XLED「EP1」シリーズを11月19日より順次発売する。75型から55型まで、“5型”刻みで全5サイズを展開。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は36.3万円前後(55型)から。

AQUOS XLED
4K液晶「EP1」シリーズ
75型「4T-C75EP1」 約73.7万円 2023年1月28日発売
70型「4T-C70EP1」 約57.2万円 2022年11月19日発売
65型「4T-C65EP1」 約49.5万円 同上
60型「4T-C60EP1」 約44万円 同上
55型「4T-C55EP1」 約36.3万円 同上

昨年12月に発売した“AQUOS XLED”の4Kモデル「DP1」の後継。前シリーズとの違いは、新素材量子ドットシートによる赤領域の色再現拡大やAI映像解析・自動調整の強化、新スピーカーユニットによる音質向上・Atmos対応など。OSもAndroid TVから、最新のGoogle TVに変更された。また従来は55型、65型の2サイズ展開だったが、EP1では60型、70型、75型を追加し、バリエーションを増やしている。

なお、AQUOS XLEDの8Kモデル「DX1」は今期も継続販売。

70型「4T-C70EP1」
60型「4T-C60EP1」

新素材の量子ドット採用で色域がさらに拡大

DP1シリーズと同じ、ミニLEDバックライトシステムを搭載。従来のAQUOS(4T-C65EN1)と比べ、約72倍の数のミニLEDを搭載し、高密度に配置。表示する映像に応じ、1,000以上のエリアごとの明暗をきめ細かく制御するとともに、明るくしたい場所に電力を集中させることで高いコントラストと3倍以上ものピーク輝度(C65EN1比)を実現した。

液晶とミニLEDの駆動をコントロールする「フレアブライトネス」回路では、映像信号から、1,000以上の細かなエリアごとのLED輝度を算出し、分割された近接エリアの輝度解析を実行。これにより、局所的なコントラストを高め、漆黒から光の輝きまでを豊かに再現可能とした。さらにEP1では、部屋の明るさ情報も加味した調整を行なうことで、よりダイナミックな映像表示を実現するという。

新しい量子ドットシートを採用したのも新モデルのポイント。昨年発売のXLED第1世代機では、量子ドットシートの採用で従来比約10%の色域拡大を実現したが、第2世代機では、新素材の量子ドットに変更する事でさらに10%色域を拡大。ビビッドな赤色を中心に色表現力を高めた。

2021年モデルから、さらに10%の色域拡大を実現
旧モデル(左)との比較。写真では、EP1(右)の赤が薄く感じられるが、肉眼で見ると赤色の深みや明るさはEP1が大きく上回る

映像エンジンは「Medalist S4X」へとアップデート(前機種はS2X)。S3で初めて搭載された、AI活用の自動画質調整「AIオート」と、EP1で初搭載となる「環境センシング」が追加された。

AIオートとは、100万通り以上の映像を学習したAIが、映像の中から人の顔や空などを検知し、その検知結果と番組ジャンル情報を参照することで映像を自動調整するもの。「コンテンツに適した色彩・明暗・精細感により、臨場感あふれる映像が楽しめる」とする。

映像エンジンは「Medalist S4X」
自動画質調整「AIオート」を搭載

初搭載となる環境センシングは、部屋の明るさと人間の視覚特性を考慮して、映像を自動で最適化する機能。明るい環境では、見えにくい暗部の階調を上げて、輝度のダイナミックレンジを拡大。逆に暗い環境では、暗部階調をなめらかに調整し、質感を重視した自然な映像に仕上げるという。

他にも、AIオートで開発したカラーマッピングにより色彩表現力を上げる「リッチカラーテクノロジー」、解像度に応じて最適な画像処理を行なう「ネット動画クリア補正」機能も新たに加わった。

明るい環境下でのイメージ
環境センシングでは、環境に応じて輝度とコントラストを調整する
環境センシングを動作しない場合
環境センシングを動作させた場合
環境センシングは、メニュー内の「アクティブコントラスト:入(センサー連動)」で動作する

パネルの解像度は、4K/3,840×2,160ドット。120Hz駆動をサポートした倍速仕様で、パネル表面には映り込みを抑えながら、つややかな黒を表現する独自のN-Black加工を施している。

HDR規格は、4K Ultra HD Blu-rayなどのHDR10と、4K/8K放送のHLGをサポート。さらにDolby Visionにも対応する。

Dolby Atmos対応。OSはGoogle TVに

Dolby Atmosに対応した、最大出力85Wの「ARSS+」音響システムを採用。画面下部に加え、背面上部にツイーターおよびミッドレンジ(ハイトスピーカー)を配置することで、音の定位を上方へ移動。さらにハイトスピーカーを前向きに20度傾斜させて設置することで、クリアな音質と包み込むような立体音響を狙った。

背面のハイトスピーカー
前に20度傾斜している

さらにEP1では、ミッドレンジとサブウーファーに、軽量・小型化した高効率の新ユニット「パワーボイススピーカー」を採用。高域から低域まで音域特性の異なる5種11基のスピーカーが豊かな音場をクリアでパワフルに再現するという。

5種11基のスピーカーを搭載
軽量・小型化した高効率の新ユニット「パワーボイススピーカー」を開発
ミッドレンジ。右が新しいパワーボイススピーカー
ウーファー

OSは「Google TV」を搭載。ユーザーの視聴履歴や好みに合わせてコンテンツを整理・表示するインターフェイスで、複数あるアプリやサービスの中からでも、観たいコンテンツがより簡単にアクセスできるようになった。

リモコンには、8つの動画サービス(Netflix/Amazon Prime Video/U-NEXT/Hulu/ABEMA/Paravi/YouTube/Disney+)をワンタッチで起動できる、専用のダイレクトボタンを搭載。テレビの電源がオフの状態でも、ボタンを押すだけで動画配信サービスが起動できる。

リモコン

リモコン内蔵マイクを使った音声検索ほか、テレビ本体内蔵のマイクに向かって「OK Google」と話しかけることで、映画検索や音楽再生、テレビの基本操作をハンズフリーで行なえる。

別売の外付けUSBカメラを用意すれば、ビデオ通話ができる「Google Duo」アプリに対応するほか、天気予報を見ながら身だしなみを確認したり、リビングで家族写真撮影ができるシャープオリジナルのミラー/カメラアプリ「リビングカメラ」もサポート。指定した時間帯に目の負担軽減に配慮した映像に自動で調整する「リラックスビュー」も備える。

左右30度に回転するスタンドを採用。付属ネジを使うことで、ディスプレイ部の意図しない回転を抑制できる回転ロック機構も備える。また、簡単にケーブル類をまとめることができるケーブルマネジメント機構により、正面からケーブルが見えないように設置できる。

搭載チューナーは、BS/CS 4K×2基と、地上/BS/110度CS×3基。別売りの外付けUSB HDDを接続することで、4K放送視聴中に別の4K放送と地上/BS/CSデジタル放送の2番組同時録画ができる。自動でチャプターを記録する「おまかせオートチャプター」にも対応。

4K番組表をサポート。文字が読みやすい高精細表示と番組や出演者の情報を画像つきで分かりやすく表示する。

HDMI入力は4系統を装備。4K120Hz入力時の4K×2Kフル解像度表示(SDRのみ)やVRR、ALLMに対応。eARCもサポートする。

120Hzモード1はHDR優先、モード2はフル解像度表示優先

その他のインターフェイスは、3.5mmミニジャックのAV入力、光デジタル音声出力、ヘッドフォン/アナログ音声出力を用意。USB端子は3系統で、録画用×1とメモリー用×2。LAN端子は10BASE-T/100BASE-TX。無線LANはWi-Fi 6に対応する。

消費電力と年間消費電力、外形寸法、重量は以下の通り。

【消費電力と年間消費電力】
・75型「4T-C75EP1」:約548W 252kWh/年
・70型「4T-C70EP1」:約544W 247kWh/年
・65型「4T-C65EP1」:約416W 218kWh/年
・60型「4T-C60EP1」:約407W 209kWh/年
・55型「4T-C55EP1」:約306W 187kWh/年

【スタンドを含めた外形寸法と重量】
・75型「4T-C75EP1」:166.7×33.5×101.4cm(幅×奥行き×高さ) 約46.5kg
・70型「4T-C70EP1」:155.0×33.5×96.2cm(同) 約43.5kg
・65型「4T-C65EP1」:144.2×30.4×89.6cm(同) 約38.5kg
・60型「4T-C60EP1」:134.4×30.4×83.8cm(同) 約32.5kg
・55型「4T-C55EP1」:122.5×30.4×77.4cm(同) 約28.5kg

量子ドット×ミニLEDの「AQUOS XLED」は想定を上回る売り上げ

発表会では、同社スマートディスプレイシステム事業本部の上杉氏が登壇。

シャープ スマートディスプレイシステム事業本部 国内TV事業部 8K推進部 部長 上杉俊介氏

上杉氏は「光と影を描き分ける表現力に優れた『ミニLED』が、テレビの視聴体験に新たな進化をもたらすと考え、我々は昨年、ミニLED搭載機を新たなフラッグシップブランド“AQUOS XLED”と冠し製品化した。発売開始からまもなく一年となるが、AQUOS XLEDは想定を上回る好評な販売を記録。直近である2022年上期に発売した大型サイズのAQUOSのうち、実に10%以上をAQUOS XLEDが占める規模にまで成長した」と説明。

55型以上でAQUOS XLEDが販売構成比10%以上に
買い替えの3ポイント

今回発売するEP1シリーズに関しては、「総務省調査によるテレビの買い替えは、平均10.4年。これに当てはめれば、今テレビを買い替える方の多くが、2012年頃に販売されていたテレビとの比較をしながら検討することになる。我々は大画面・高画質・スマートが買い替えのおすすめ要素と考えており、今回投入するAQUOS XLEDの第2弾は、こうした魅力が凝縮されたモデルになっている」と新製品をアピールした。

(AQUOS XLED) 4KテレビEP1 商品特長:シャープ