ニュース
“逆相の音波で音漏れ打ち消す”nwmの耳を塞がない完全ワイヤレス
2023年4月6日 11:38
NTTソノリティは、コンシューマー向け音響ブランドnwmより、完全ワイヤレス型パーソナルイヤースピーカー「MBE001」の一般販売を開始した。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は25,000円前後。ビックカメラグループの店舗/ECサイトにて購入できるほか、4月中旬よりAmazonでも販売開始される。
耳元にだけ音を閉じ込める「パーソナライズドサウンドゾーン(PSZ)」技術を用いて、オープンイヤー型ながら音漏れを最少減に抑えるパーソナルイヤースピーカー。同じ技術を使った有線モデルの「MWE001」(8,250円)も展開している。
PSZ技術は、ある音波(正相)に対して逆相の音波を当てることで音波同士を打ち消し合い、音が聞こえなくなる作用を利用。特殊なハードウェア設計により、特定のエリアに限定した音を再生し、音漏れを最小限に防げる。
耳を塞がずに装着するため、人の呼びかけなど周囲の音を聞き取れるほか、通話時に自分の声が大きくなってしまうことや、長時間の装着ストレスも防げる。骨伝導と比較して圧迫感が感じられないことも特徴となっている。
本体底部に物理ボタンを備えており、ボタンを押す回数などで再生・停止、曲送り/戻し、音量上げ下げなどが行なえる。背面には近接センサーも備えており、付けると再生、外すと音楽を停止する。
最大連続再生時間は6時間。充電時間は約2.5時間。ケースは当初充電台として開発していたとのことで、バッテリーは非搭載。取り出しやすさを重視し、ケース内部はフラットになっており、本体をつまんで取り出しやすくなっている。またマグネットも搭載することで、しまいやすさにも配慮したという。ケーブル接続時のみ本体を充電できる。
Bluetooth 5.2準拠でプロファイルはA2DP、HFP、AVRCPをサポート。コーデックはSBC、AAC、aptXに対応している。
再生周波数は100Hz~20kHz。重量は片側9.5g。充電用USBケーブル、キャリングケース(バッテリー非搭載)が付属する。
耳の周囲に音の出る空間を作るイヤフォン
通常のオープンイヤー型よりも、音漏れを最低限に抑えることができるのが特徴。音の出方は「ユニットを中心に球形の範囲で音が聴こえる空間ができあがる」というイメージ。
球形の範囲で聴こえるので、耳の反対側にも音は出ている。筆者が普段イヤフォンで聴いている音量で試したところ、真横に立って「何か音が出ているかな?」と感じる程度だったが、電車などでは周囲の音の影響で音量が上げてしまうと、音漏れもその分増えてしまうほか、地下鉄では再生している音がほとんど聴こえなくなってしまうとのことだ。
想定している使用環境は、自宅やカフェなどのある程度パーソナルスペースが確保できる場所や、散歩やジョギングなどの外出時。子供の声や家の様子を把握しつつ音楽も楽しみたいといった子育て中の人や、オンライン会議などに頻繁に参加する必要がある人、テレワークしている人などの使用も想定しているという。
クラウドファンディングで販売した際のフィードバックでは、圧迫感なく聴き続けられて、聴いている音をマイクが拾わないということからゲーム配信に使用されていたり、ASMRがよりリアルに感じられる、食事中にも快適に音が聴こえるといった声もあったという。
実際に聴いてみると、音はクリアで分離感が良く、高音域も自然に広がっていくので、オープン型で軽い装着感と合わせて、耳元で鳴っているというイメージがあまりない。低域は響きは大人しめだが、ベースラインをしっかり感じられる強さはあるので、付けっぱなしにして聴き続けるのに快適な音という印象だった。
確かに、ボーカル曲や人の声も快適に聴こえるのと、ヘッドフォンとも若干聴こえ方が異なり、距離感が自然に感じられるので、ASMR音源を聴いてみると面白そうだ。
また、PSZ技術を搭載したチェアのヘッドレスト型のスピーカーには進展があったという。これはチェアの背後にヘッドレストとその左右にスピーカーを備えた形状のもので、ヘッドレストに頭を乗せた際に耳が来る位置にだけ音を再生することで、周囲からは音が聞こえない環境を作り出せる。スピーカーの反対側に耳を近づけても音を聴きとることができない程度に制御されている。
現在、このシステムを飛行機の座席に搭載することを目指し、現在はさらに座った際に飛行機のエンジン音を打ち消す技術を開発中とのこと。これが実現し、飛行機の座席に導入されれば、飛行機での移動を静かに過ごせるようになるほか、各座席の人がそれぞれ別の音楽をイヤフォン無しかつ周囲の影響を気にせず楽しめるようになる。