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LUMIX、秒間75コマの高速連写で8段手ぶれ補正のマイクロフォーサーズ「G9 Pro II」

G9 Pro II

パナソニックは、デジタルカメラ・LUMIXの新製品として、マイクロフォーサーズマウントを採用し、高い動画撮影性能や高速連写が可能な「G9 Pro II」を10月27日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はボディのみで23万700円前後、標準ズームレンズ「H-ES12060」が付属するキットが30万3,900円前後。

マイクロフォーサーズマウントの強みを活かし、機動性、高速性を求めるクリエイター向けのカメラと位置づけられている。ユニークな特徴として、先日発売されたフルサイズの「S5II」と同じボディを採用。内部パーツの配置などは異なるが、形状やサイズはまったく同じ。重量はG9 Pro IIの方が50gほど軽くなっている。

G9 Pro II
左からG9 Pro II、フルサイズの「S5II」

撮像素子は、有効2,521万画素の4/3型Live MOSセンサーを採用。マイクロフォーサーズは2,000万画素が限界と言われていたが、それを突破。セルサイズは小さくなっているが、SN比を大きく改善する事で、従来機と同等の高感度特性も維持できているという。

有効2,521万画素の4/3型Live MOSセンサーを採用

組み合わせるエンジンは、新世代ヴィーナスエンジン。ダイナミックレンジブースト機能により、RAW撮影時のシャドウ部の階調表現を劇的に改善したとしている。

さらに、LUMIX Gシリーズでは初となる、像面位相差AFを搭載。被写体の追従性を高めているほか、779点の像面位相差AFエリアを備えている。

認識AFはディープラーニング技術を活用して進化。人物、人物瞳、動物に加え、新たに「動物瞳」、「車・バイク」、「人物認識」も可能になった。これにより、人間を上半身のみでも検出できるほか、被写体がこちらに向かってくるようなシーンでもAFが外れにくいという。

動物の瞳も認識可能

また、自転車などで素早く被写体が動いている場合や人が複数の場合、逆光や低照度、点光源などのシーンにおいてもリアルタイム認識AFが進化。YouTubeの製品紹介動画などで、撮影者とカメラの間に、手にした製品を映すようなシーンでも、商品に高速でオートフォーカスが合焦するようになったという。

AFだけでなく、連写性能も向上。電子シャッターでAFS時に秒間75コマ、AVCでは秒間60コマの高速連写が可能。バッファメモリを増量する事で、3秒以上連写を継続できる。電子シャッター時はブラックアウトフリー連写が可能。また、メカシャッター時も秒間10コマを実現している。

進化したAFと、連写性能を体験

シャッター全押し前の写真を記録する「プリ連写」機能も搭載。遡る時間を0.5秒、1秒、1.5秒から選択できる。手持ちハイレゾモードも搭載、約1億画素のRAW、JPEG撮影ができる。これはGH6と比べて同等の性能となる。

手ブレ補正機能も強化し、LUMIX初というB.I.S.で8段、デュアルI.S.2でも7.5段の強力な手ぶれ補正を実現。O.I.S.非搭載のレンズであっても、B.I.S. 8段の補正ができる。また、デュアルI.S.2での7.5段補正により、望遠域でも強力に手ブレを補正できる。

同時発表のレンズ「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S.」と、2倍のテレコンバーター「DMW-TC20A」を組み合わせた場合、35mm換算で最大1,600mmとなり、手持ちでも超望遠撮影が可能という。

「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S.」と、2倍のテレコンバーター「DMW-TC20A」を組み合わせたところ
35mm換算で最大1,600mmを体験するため、発表会場のスタジオには、遠くに鳥のオモチャを設置。高台からそれを撮影することもできた

動画撮影時の手ぶれ補正も進化し、アクティブI.S.が利用可能。電子手ぶれ補正部分が進化しており、歩きながらの動画撮影がより安定して可能になったほか、走りながら撮影したブレの大きな映像も、より強力に補正。遠近法により直線が歪んで見える現象も補正できる。

動画撮影時の手ぶれ補正も進化

動画は4:2:0 10bit C4K/4Kで最大120p、4:2:2 10bit C4K/4Kで最大60pの撮影が可能。オーバー4Kの5.7Kでも撮影できうる。ALL-I記録や、13+ストップの広いダイナミックレンジでのV-Log撮影も可能。USB-SSDにも対応でき、ProRes記録も可能。

操作系では、ホワイトバランスはISO、露出の3連ボタンや、フロントの2連ファンクションボタンなどをG9PROから踏襲。8軸対応のジョイスティックに加え、別売バッテリーグリップ「DMW-BG1」も8軸に対応する。

背面のモニターは3型184万画素で、フリーアングル仕様。ファインダーは368万画素で、アイポイントは21mm。倍率0.8倍のOLEDを採用した。

写真の仕上がりを変化させる「フォトスタイル」には、新たに「LEICA モノクローム」を追加。ライカとの協業により、「LEICAが長い歴史の中で築き上げてきた絵作りの哲学を学び、新たな表現としてこのモードを搭載した」という。既存の「L.モノクロームD」よりもハイライトが明るく、より硬調でダイナミックな印象のモノクロ表現となる。

さらに「リアルタイムLUT」に対応。LUTを適用した写真やビデオをカメラ本体に記録できる。LUTのファイルはLUMIX Color Labで随時公開する。

外形寸法は約134.3×90.1×102.3mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は本体のみで約575g。

開発者がこだわりを解説

発表会では、初代G9を愛するプロジェクトリーダーの谷口卓生氏、入社以来LUMIX商品開発を担当し、認識AFを手掛けた佐々木清和氏、そしてマーケティング部の中西智紀氏が登壇し、トークセッションが行なわれた。

左から佐々木清和氏、谷口卓生氏、中西智紀氏

従来マイクロフォーサーズは2,000万画素が限界と言われていたが、それを突破し、有効2,521万画素の4/3型Live MOSセンサーを実現した事や、セルサイズは小さくなったものの、SN比を大きく改善する事で、従来機と同等の高感度特性も維持している事。ISO感度も100から設定でき、明るいレンズと組み合わせた時にも使いやすい事などを紹介。

進化したAFでは、認識対象数を増やし、2人並んで撮影者に向かって進んでくるようなシーンでも素早く合焦できるようになった事や、車やバイクなど、腹側で予測が難しい被写体の動きにも追従でき、ユーザーはAFの事を考えず、構図に専念できるようになる事などをアピール。

また、連写で高速化したのは電子シャッターだけでなく、メカシャッターも秒間10コマを実現しているが、それを実現するために、処理を洗い直し、切り詰めて切り詰めて実現できた苦労話も披露された。

手ぶれ補正も6.5段から8段に進化しているが、高精度なジャイロを搭載した事や、アルゴリズムの改善などで実現しており、「8段になると、地球の自転の影響を受けることも考慮しなければいけないレベルまで来ている」という。なお、ジャイロセンサーはペンタ部分に搭載しているとのこと。

また、フルサイズの「S5II」と同じボディを採用したのは、マイクロフォーサーズが望遠に強い事から、フルサイズに広角レンズを取り付け、マイクロフォーサーズのG9 Pro IIに望遠レンズを取り付け、2台のカメラを使い分けながら撮影するようなシーンでも、「2つのカメラで同じ操作感、グリップ感になるため、切り替えてもシームレスに撮影を続けられる」という利点があるという。

プロジェクトリーダーの谷口氏は、「初代G9が永らく愛されてきた商品だったが、自分が新製品を作るにあたって、なぜ愛されてきたのかを考えた。それは、カメラを手に取ってから、画像を記録するまでの流れがとてもスムーズで、どんなカメラマンにも馴染むカメラだったから。今回のG9 Pro IIもそこにこだわった。描写性能、AF進化だけでなく、とても使いやすいカメラシステムに仕上がっている。私はテストも兼ねて、休日も平日も長い時間このカメラと過ごしてきたが、この日を迎えることができてとても幸せ。長い期間、プロ・アマチュアと合わず、愛されるカメラになって欲しい」とコメント。

中西氏は、「センサーが小さいので、描写がよくないんじゃないかと思われているかもしれないが、我々はこのサイズに可能性を感じており、(G9 Pro IIでも)常識を覆すような凄い描写ができている。写真家の皆さんからも、『マイクロフォーサーズでこんな線の細い描写が得られると思わなかった』、『欲しい』という声もいただいている。非常にいいカメラに仕上がったという実感がある」と、G9 Pro IIの完成度に自信を見せた。

新レンズも

新たなレンズとして「H-ES35100」(LEICA DG VARIO-ELMARIT 35-100mm / F2.8 / POWER O.I.S.)と、「H-RSA100400」(LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S.)も発売される。

H-ES35100は67.4×99.9mm(直径×高さ)で、約360g。「H-RSA100400」は83×171.5mm(同)で約985g。

左から「H-RSA100400」(LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S.)、「H-ES35100」(LEICA DG VARIO-ELMARIT 35-100mm / F2.8 / POWER O.I.S.)

発売記念YouTube配信やキャッシュバックも

9月15日18時からYouTubeにおいて、パナソニックの担当者によるプレゼンや、クリエイター達とのトークセッションを配信予定。さらに、9月16日の名古屋を皮切りに、東京、大阪と続く、全国タッチ&トライキャラバンも実施。実機に触れて体験できる機会となる。詳細はLUMIXのサイトを参照のこと。

さらに発売記念キャッシュバックキャンペーンも実施。予約期間は9月15日~10月26日、購入期間は10月27日から2024年1月14日。応募期間は2024年1月28日消印有効。

ボディ単体で2万円、レンズキットで2,500円のキャッシュバックとなり、予約者限定特典として予備バッテリーもプレゼント。対象レンズ同時を購入すると、さらにキャッシュバックが増額される。詳細はLUMIXのサイトを参照のこと。