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HIFIMAN、平面駆動最上位「SUSVARA Unveiled」と静電型入門機「MINI SHANGRI-LA」

SUSVARA Unveiled(試作機のため、外観の仕上げが変更される可能性がある)

HIFIMAN JAPANは、平面駆動型ヘッドフォン「SUSVARA Unveiled」と静電型ヘッドフォンシステム「MINI SHANGRI-LA」の2機種を発売する。発売日は未定。価格はSUSVARA Unveiledが118万8,000円、MINI SHANGRI-LAはアンプとヘッドフォンのセットが36万9,600円、ヘッドフォン単体が24万2,550円、アンプ単体が17万3,250円。

SUSVARA Unveiled

カバーをした状態(試作機のため、外観の仕上げが変更される可能性がある)

従来のフラッグシップヘッドフォン「SUSVARA」をさらにアップデートしたモデルとして開発。導体層に最も電導率が優れているという純銀を採用し、感度を向上。

また、音の波がマグネット部を通過するときにも干渉が起こらないという、特殊な形状のステルスマグネット技術を採用した。

ハウジング内の干渉を物理的に最小限に抑えるために、グリル部をほぼ排除したような設計で、小さな音のディテールや空気感もクリアに再生するとのこと。一方で、マグネット部もほぼむき出しとなるため、使用しない際には付属のカバーの装着が必須になる。

周波数特性は6Hz〜75kHz。感度は86dB。インピーダンスは45Ω。重量は430g。

MINI SHANGRI-LA

MINI SHANGRI-LA

同ブランドの静電ヘッドフォンシステム「SHANGRI-LA」(550万円)、「SHANGRI-LA.jr」(46万2,000円)よりもさらにコストパフォーマンスに特化したというモデル。

ヘッドフォン部には、ナノ粒子コートを施した薄さ0.001mm以下の振動板を採用し、ナノメーター厚のダストカバーにより、再生した音をそのまま耳に届けるという。

ヘッドフォン部

とくに再生する音のバランスにこだわったといい、静電型の課題となっている低域の量感の再現に注力。上位モデルと比較すると表現力は敵わないが、価格以上の実力を持ったモデルに仕上げたという。

ヘッドフォン部の周波数特性は7Hz〜90kHz。感度は100dB。重量は320.2g。

アンプ部の周波数特性は20Hz〜20kHz。SN比は97dB@120Vrms。THD+Nは0.006%@120Vrms。外形寸法は255×251×93mm。重量は5.82kg。

アンプ
アンプの背面

音を聴いてみる。尖った平面駆動最上級機と静電型エントリー

SUSVARA Unveiledでまず目を引かれるのが、むき出しのマグネット。装着時以外は蓋をしておかないと周囲の磁石にくっつくものは全てくっついてしまう、という恐ろしい設計で、もちろん異物がドライバーに入るとこわれてしまうので、試聴も慎重になる。ちなみに、蓋を閉めると“密閉型として聴ける”、なんてことはなく、再生時は外す必要がある。

マグネットがほぼむき出し。クリップやホチキスの針など磁力に吸い寄せられるものに気をつけたい。

音に特化したモデルであまりデザインは重視していないということだったのだが、実際に着けてみてまず思うのが、装着感の良さ。スペック上では430gとなっているが、重さがバランス良く分散されていて数値よりも軽く感じる。側圧も軽めながら、首を動かしてもズレないフィット感で長時間のリスニングでも快適そうだ。

早速「ダイアナ・クラール/月とてもなく」を再生してみると、まず低域が自分の周囲から響いてくるような感覚になる。クラシックベースの弦がぶるんぶるんと震えている様子がハッキリと見える解像感に加え、包み込むような低域の量感、そして、ボーカルは演奏の音の奥の方からこちら側に迫ってくるように聴こえる。音のレイヤーの上にきているのではなく、ボーカルの奥行き感がめちゃくちゃあるという感覚。

「Midnight Grand Orchestra/Midnight Mission」でも、星街すいせいのボーカルが演奏の音の奥の方からこちらに向かって突き抜けてくるように聴こえ、今まであまり味わったことのない臨場感で思わず聴き込んでしまう。それでいて、奥の方に広がっていく音はほどよく交わり、音量を上げていてもそのまま聴き疲れせずにずっと聴けてしまうので、音量調整に気をつけたい。

平面駆動型で、低域の量感が控えめなのかと思いきや、「Creepy Nuts/Bring-Bang-Bang-Bong」や「ビリー・アイリッシュ/bad guy」のような低域の量感がマシマシな曲では、楽曲の特徴に合わせるかのように低域の量感が十分過ぎるほど再生され、その表現の幅に驚く。しかもこういった楽曲でも中高域の解像感もしっかりと持ち合わせているので、ボーカルの声の厚みもしっかりと再現されていて非常に気持ちいい。

次に、HIFIMANの静電型では一番安価なモデルとして登場したMINI SHANGRI-LAも体験。こちらもヘッドフォンの重量は320.2gとなっているが、それよりも大分軽く感じる。側圧は弱めだが、イヤーパッドの接地面が広いため、激しい動きでも無い限りはずれにくい安定性をしっかりと備えている。

音を再生してみると、1音1音が明確に聴こえる解像感の高さと、その情報量の多さに驚く。普段全く気にかけないような、音の響きの反響まで耳に届くので、自分の聴覚がすさまじく良くなったように錯覚してくる。

そして、ハイスピードな低域で分解能が高いというところまでは静電型なので予想できていたのだが、驚きなのが低域の量感だ。ヘッドフォンのグリルの部分を除くと、コーティングされた薄い膜が見えるのだが、ここから予想のできない量感の低域が再生される。

MINI SHANGRI-LAのヘッドフォン部

こちらでも「ビリー・アイリッシュ/bad guy」を再生してみると、ほぼ常時流れる量感たっぷりの低域が流れたまま、そのほかの音も1層1層全て別のレイヤー分けられているようにきっちりと聴こえる。

ボーカルは男声も女声も近めで、今回試したボーカル曲ではすべてレイヤーの1番上に居るような感覚。声の質感はクリアなのだが、堅い音ではなく、口の動きや声の響きの余韻まで生々しく感じられる。楽器の音と声の質感の差が明確なのもこのヘッドフォンで感じた魅力だ。