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ダイソン、空気清浄機能なし“オーディオ特化”ヘッドフォンを国内発売

「Dyson OnTracヘッドホン」

ダイソンは、同社初のオーディオ特化型ヘッドフォン「Dyson OnTracヘッドホン」を、9月19日に発売した。価格はオープンプライスで、直販価格は74,990円。

19日からは公式オンラインストアで販売を開始。全国のエストネーション、ビームス原宿、ビームス メン 渋谷、GR8 SELECT by BAYCREW'Sで期間限定販売する。全国の各家電量販店では10月18日より順次発売。

「Dyson OnTracヘッドホン」を装着したところ

海外では2024年7月に発表していたモデル。業界最高クラスという最大40dBのノイズキャンセリング機能を搭載し、最長55時間の音楽再生を実現している。なおブランド初のヘッドフォン「Dyson Zone」に搭載されていた空気清浄機能は省かれている。

40mm径のネオジウムスピーカーと、高度なオーディオ信号処理により高音質を実現した。再生周波数帯域は6Hz~21kHz。よりダイレクトに音を届けるべく、ドライバーは耳の方向に13度傾けて設置されている。

バッテリー持続時間は最長55時間で、アクティブノイズキャンセリング(ANC)を有効にした状態で最大2週間再生が可能。イヤーカップの片方をダブルタップすることでANCのON/OFFを切り替えられる。

右イヤーカップ背面にジョイスティックを搭載

本体にはジョイスティックを備え、再生/停止やスキップ、早送り、長押しによる音声コマンド操作ができる。

装着検出機能を備えるほか、2基のマイクによるビームフォーミング、ノイズ抑制により、クリアな音声通話や音声コントロールが可能。アプリ「MyDyson」を使えば、EQ調整やソフトウェアアップデートなどが行なえる。

厳選した素材と人間工学に基づいたデザインで快適性と遮音性を両立。高反発ウレタンフォームクッションとマルチピボットジンバルアームで耳への負担を軽減し、ヘッドバンド内に搭載されたバッテリーが頭にかかる重量を均等に分散させている。

ウルトラソフトマイクロファイバーのイヤークッションと最適化された側圧で、「あらゆる頭のサイズや形状に合わせて、安定したフィット感を与える」とのこと。

CNCコッパ―
CNCアルミニウム
セラミックシナバー
CNCブラックニッケル

ヘッドフォンは、チーフエンジニアのジェイク・ダイソンとCMF(色・素材・仕上げ)チームがデザイン。CNCアルミニウム、CNCコッパー、セラミックシナバー、CNCブラックニッケルの4色展開で、セラミックシナバーはセラミックにインスパイアされた質感と色で仕上げている。

さらにカスタマイズ可能なアルミニウム製アウターキャップとイヤークッションを各7色用意。好みやファッションに合わせてカスタマイズできる。アウターキャップは各6,490円、イヤークッションは各2,750円で別売りする。

外形寸法は210×108×200mm(幅×奥行き×高さ)、重さは451g。USB-Cケーブル、スリムケースが付属する。

日本発売にあわせ、音楽プロデューサー・アーティストであるMatt Cabが手掛けた楽曲「FIT CHECK」も発表された。Matt CabがDyson OnTracの特徴である自由なカラーリングにインスパイアを受けて制作した楽曲で、ヘッドフォンのノイズキャンセリングの切り替え音をサンプリングして楽曲に採り入れているという。

チーフエンジニアのダイソン氏「私たちは音に関する経験と知識を持ち合わせている」

「Dyson OnTrac」を掲げるジェイク・ダイソン氏

国内発売発表にあわせ、「Dyson Wearable 新製品発表会」が都内で開催され、同社創業者ジェームズ・ダイソンの長男で、チーフエンジニアのジェイク・ダイソンが来日。新製品の魅力を語った。

ジェイク氏は「私たちは世界初のサイクロン式掃除機を発明したときから、空気清浄機、ドライヤーといった製品を通じて、モーターとエアフローについて研究を重ねてきました。一方で、モーターとエアフローは大きなノイズを生む存在でもあり、開発チームにとってノイズを極力抑えるということは極めて重要なことでした。ユーザーに使ってもらう際、静かな製品であることはとても大事なことです」と語った。

「実際、製品のデザインエンジニアリングチームの取り組みのうち、約20%は騒音をいかに抑えるかという要素に割かれています。つまり、私たちはどうやって音を操作し、あるいは抑えるかという点において、充分な経験と知識を持ち合わせているのです」

「Dyson Zone」を手に持つジェイク・ダイソン氏

「そんな研究開発の点と点を結ぶようにして誕生したのが、3年前に発売した『Dyson Zone』です。Dyson Zoneはヘッドフォンでありながら、モーターを内蔵し、空気清浄機能が利用できました。屋外でピュアな空気を吸いながら、ピュアオーディオを楽しめるデバイスなのです」

「一方で、先ほども述べたようにモーターは大きなノイズを生む存在でもあります。そこで私たちは業界最高峰のノイズキャンセリング技術を使って、そのノイズを打ち消すことにしました。そのノイズキャンセリングは、耳のすぐ横にあるモーターのノイズを打ち消せるほど強力なものです」

「そして開発チームは『もしモーターを取り外したら、どれだけ強力なノイズキャンセリングを提供できるのだろう』と考えました。その考えから誕生したのが、私たちにとって初めてのオーディオヘッドフォン『Dyson OnTrac』なのです」

またジェイク氏は、Dyson OnTracがカスタマイズ性に優れている点も強調。「交換できるアルミニウム製アウターキャップとイヤークッションは豊富なカラーラインナップを取り揃えました。ユーザーそれぞれが自身のファッションスタイルや見た目に合わせてカスタムすることができる」とした。

「そのカスタムパターンは2,000通りにも及びます。東京の人々からどういった反応が貰えるか、Dyson OnTracが彼らのストリートカルチャーにどうマッチしていくのか、楽しみでなりません」

音を聴いてみた

短時間ながら、実機を試してみた。重さ451gと、ワイヤレスヘッドフォンとしては重い部類の製品だが、イヤーパッドやバンド部分のクッション性が高く、自然に頭にフィットするため、ストレスなく装着できる。

また着けてみて驚いたのが、装着検出機能の反応速度。ヘッドフォンを着けようとして、イヤーパッドが頭に触れるか触れないかという瞬間に「ポロロン」と装着を検出したことを示す効果音が聞こえ、音楽再生がスタートする。装着検出機能を備えているヘッドフォンの多くは、イヤーパッドが頭にしっかり触れてから検出機能が動作するイメージなので、その精度の高さに驚かされた。

肝心の音質は高域の解像感もありつつ、適度に低域の量感も味わえる仕上がり。宇多田ヒカルやLE SSERAFIMの楽曲を聴いてみると、ボーカルの高音が耳に刺さったり、低域の迫力がありすぎてボーカルがかき消されるということもなく、心地よく音楽を楽しめるバランスに仕上がっていた。