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ボーズ、初のNCイヤフォン「QuietComfort 20」

デジタルNCで騒音強力カット。31,500円

QuietComfort 20 Acoustic Noise Cancelling headphones

 ボーズは、同社初となるイヤフォン型のアクティブノイズキャンセリング(NC)製品「QuietComfort 20 Acoustic Noise Cancelling headphones」を9月に発売する。iOS機器向けの「QuietComfort 20i」と、Androidなどのスマートフォン向け「QuietComfort 20」を用意。価格はどちらも31,500円。

 イヤフォンハウジングの外側と内側に、合計2個のマイクを搭載。外部の騒音と、耳に侵入してくる騒音をとらえ、逆相の音波を再生。騒音をキャンセルするNCイヤフォン。ケーブルの途中、入力端子に近い場所にコントロールモジュールを備えており、この内部にデジタルノイズキャンセリング回路を搭載。同社のNC製品は、従来のヘッドフォンではアナログのNC回路だが、「QuietComfort 20」は回路サイズを小さくするためにデジタルNC回路を新たに採用。AD変換などで生じる音の遅延も抑えているという。

QuietComfort 20。ケーブルにコントロールモジュール、リモコンが付いている
Apple製品向けモデルのリモコンは3ボタンタイプ
イヤフォン部分のアップ

 このコントロールモジュールにはバッテリも内蔵。さらに、イヤフォンに適した音質に調整する独自のイコライジングも施される。なお、イヤフォンとコントロールモジュールは着脱できない。

イヤフォン部分
2個のマイクをハウジングに搭載している
コントロールモジュール
コントロールモジュールにデジタルNCやイコライジング回路、バッテリを内蔵
モジュールとイヤフォンは着脱できない

 イヤフォンには、独特のポート構造を設けて低音の再生能力を高める「TriPortテクノロジー」を採用。イヤーピースは、同社イヤフォンに使われているウィング型シリコン製イヤーチップ「StayHearチップ」に似ているが、先端に新たに“傘”のような突起を追加した新デザインの「StayHear+チップ」となっており、遮音性を向上。同時に、耳穴の奥に押し込まないチップの特性は維持しており、着け心地の良さもキープしているとする。イヤーピースはS/M/Lの3サイズを用意する。

先端に“傘”のような突起を追加した「StayHear+チップ」
イヤーピースを外したところ

 コントロールモジュールの電源をOFFにして、NC機能がOFFになってもスルーで音が出るため、バッテリが切れても音楽が楽しめる。また、ケーブルにはマイク付きリモコンも備えており、スマートフォンと組み合わせてハンズフリー通話が可能。リモコンには「Awareモード」に切り替えるボタンも用意しており、このボタンを押すと、低域の騒音をキャンセルしながら、外向きマイクを集音に使い、外部の音をモニタリング。NC機能利用中に、駅のアナウンスや、接近してくる車の音などを瞬間的に聞きたい場合に活用するモードとなる。

 リモコンの操作ボタンは、iOS向けモデルは3ボタン、Androidなどスマートフォン向けモデルは1ボタン。iOS機器は、第4世代以降のiPod nano、iPod classic(120GB/160GB)、第2世代以降のiPod touch、iPhone 3GS以降、iPadに対応する。マイク機能を除いたリモコン機能のみでは、第3世代以降のiPod shuffleでも利用可能。

 バッテリの持続時間は約16時間。USB経由で、コントロールモジュール内蔵のリチウムイオンバッテリを充電する。重量はMサイズのイヤーピース装着時で約44g。

iOS向けの「QuietComfort 20i」は3ボタン
Androidなどのスマートフォン向け「QuietComfort 20」は1ボタン
リモコンの側面に備えているのが、外の音を聞ける「Awareモード」への切り替えボタン



NC機能とサウンドを聴いてみる

 発表会で短時間ではあるが試聴できたので印象をお伝えしたい。

 新デザインのStayHear+チップは、遮音性が大きく向上しており、装着しただけで騒音低減の効果がアップしている。同時に、耳奥まで押し込まないスタイルは継承しているため、圧迫感や不快感は少なく、音楽を再生しても、音場が広く、見通しが良い、ヘッドフォンライクな広がりが楽しめる。

 NC機能をONにした状態では、DSPでのイコライジングも同時に行なわれるが、抜けの良い、クリアな再生音で、不快なこもりはまったく感じられない。NCイヤフォンの中でも、音場の広さやサウンドの自然さは特筆すべきレベルだ。低域も量感豊かで、なおかつ適度な締まりもあり、クオリティが高い。電源をOFFにしてNC機能をカットすると、若干高域にこもりを感じるが、音のバランスは大きく崩れない。

 デジタルNC回路を使ったノイズキャンセリング能力は非常に高く、隣の人の声が聴き取りにくいくらいの、85dBの騒音下で使用しても、イヤフォンを装着すると綺麗に騒音が無くなり、広がりのある音楽だけが残る。人が話す声も、中低域を含めて強力にキャンセルされ、かすかな高域が残るだけなので、ぼんやりしていると喋っている事そのものに気付かない。NC性能自体も、トップレベルと言えそうだ。

(山崎健太郎)