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4K/HDRのDolby Visionテレビを東芝やPhilipsが試作
ドルビー認定映画館のDolby Cinemaは世界展開開始
(2015/1/9 18:38)
米Dolby Laboratories(ドルビー)は、米国ラスベガスで1月6日(現地時間)から行なわれている「2015 International CES」に合わせて、近隣のホテルでプライベートショーを開催。この中で、'15年に対応動画配信サービス開始が見込まれる「Dolby Vision(ドルビービジョン)」や、ドルビーが認証する映画館「Dolby Cinema(ドルビーシネマ)」、立体音響「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」などの最新動向についてデモと説明を行なった。
今回のデモでは、家庭、映画館、モバイルそれぞれのシーンに応じて、リッチな映像/音声を楽しむための新技術などについて説明。
家庭向けとしては、ハイダイナミックレンジ(HDR)映像技術の「Dolby Vision」を紹介。今回のショーに合わせて、東芝とPhilips、HisenseがそれぞれDolby Vision対応テレビを参考出展して動画コンテンツの再生デモを実施していた。
既報の通り、ドルビーは米国時間の5日にワーナー・ブラザース・ホームエンターテインメントとHDRの推進で協力すると発表。「オール・ユー・ニード・イズ・キル」などの4K作品をDolby Vision向けにマスタリングし、2015年初旬より家庭向けの映像配信サービスに提供することなどが案内されている。
Dolby Visionは、映像の色表現やダイナミックレンジを高め、4K(Ultra HD)テレビやHDテレビなどの画質を向上するドルビーの技術。現在の放送番組などはBT.709の100nitが最大の明るさだが、テレビの進化によりもっと明るい色なども表現できるようになったため、それに合わせて、制作者の意図に近い高コントラストの映像を楽しめるようにするもの。
デモコンテンツでは、暗い部屋に射す太陽光や、夜空に打ち上げられる花火といった、特に広いダイナミックレンジ表現が必要なシーンなどもあり、明るいところも白飛びせずに階調を描写していることをアピールした。
なお、5日にテレビメーカーや映画スタジオらが共同で設立を発表した「UHD Alliance」においても、4Kを超える解像度の映像や広色域などに加え、HDRも共同で推進しており、ドルビーもこのアライアンスに参加している。Dolby Visionは独自規格のため、他のHDRコンテンツと仕様に一部違いがあるが、この点に関しては「Dolby Visionは、RGB各色12bitという広色域を採用するなど、将来も長く使える技術となることを見据えている」と説明している。米国ではNetflixやVuduの各動画配信サービスが順次Dolby Visionに対応予定。対応するテレビなどの機器に、Dolby Visionのロゴが入るかどうかは未定だという。
映画館まるごとドルビー仕様の「Dolby Cinema」も
映画館向けの新たな動きとしては、ドルビーが認証した劇場と指定する「Dolby Cinema」の第1号が'14年12月にオランダ・アムステルダムにオープンした。これは、Dolby VisionやDolby Atmosといった映像/音声をサポートし、プロジェクタやスクリーン、スピーカーの仕様や配置、通路、照明などに至るまで、ドルビーが認めるスペックを満たす場合にドルビーから“お墨付き”を受けられ、専用のロゴが使用できるもの。
現在のDolby Atmos対応映画館のように、複数スクリーンがあるシネコンの一部シアターのみが“Dolby Cinema対応”との認証を受けることも可能。前述したアムステルダムの劇場を皮切りに、日本を含むグローバルで'15年以降も順次対応劇場を拡大していく見込み。
タブレットなどモバイル向けのDolby Atmos音声が収録された映画も、今後対応作品が配信される予定。ハードウェアは既報の通りAmazon Kindle Fire HDX 8.9が対応しており、今回のデモ会場でも試聴できた。Dolby Atmos音声の配信は、ドルビーデジタルプラスのフォーマット上で行なわれ、対応タブレットであればストリーミングしながらリアルタイムでAtmos音声で楽しめる。
また、Dolby Atmosは映画以外のコンテンツにも広がる可能性があるという。例えばゲームでは、デモ映像として「Call of Duty」の一部映像をDolby Atmos音声にしたコンテンツも聴くことができた。特にFPS(一人称視点)のゲームでは、周囲の音が自然な聴こえ方で伝わってくることから、作品の魅力を高めることに貢献しそうだ。ゲームのサラウンドはオブジェクトベースで制作されている。また、音楽コンサートでも、会場での演奏ではなくBGM部分をあらかじめDolby Atmosで制作しておくことで、演奏と組み合わせたときの広がり感などがよりリアルになるという。