ニュース
ヘッドマウント映像でVRがさらに進化。「3D&バーチャルリアリティ展」
(2015/6/24 19:09)
「第23回 3D&バーチャルリアリティ展」が6月24日に開幕した。会場は東京ビッグサイトで、期間は6月26日まで。3DやVR(仮想現実)などの映像技術だけでなく、出力機器である3Dプリンタも数多く展示されている。入場は無料だが、事前申し込みが必要。なお、同期間は「日本ものづくりワールド2015」として、「設計・製造ソリューション展」や「機械要素技術展」なども併催されている。
HMD映像を見ながらエンジン組立て、ヘッドマウントカメラで表情からCGキャラ作成など
展示の中で特に目立つのは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使ったVRやAR(拡張現実)を、工場などの作業に活かすというデモ。エプソンが23日に発表した「MOVERIO Pro BT-2000」や、キヤノン「MREAL」などを使った体験デモが用意されている。
画像処理ソフトの開発やハードウェアの輸入販売などを手掛けるクレッセントのブースでは、「MREAL」を活用した「エンジン組付シミュレータ」を紹介。これは、車のエンジンを組み立てる作業をVR映像を見ながら仮想で体験しつつ、体験者の姿も“3Dマネキン”のデータとしてアーカイブ化することで、正しい姿勢や動作などを社内で共有可能にするもの。既に自動車メーカーへの販売に向けて話が進んでいるという。
ヘッドマウント型のMREALを被り、手足や胴を含め10カ所のマーカーを装着。英Vicon製のハンドヘルドトラッキングツール「Apex」を手に持って操作する。手元のボタンを押すと、VR映像では実際の手に電動ドライバを持ったような姿に変わり、作業を体験可能。正しい場所にドライバーを接触させるとコントローラの振動と音声で通知し、誤っている場合は別の音と振動で注意を促す。これにより、映像や音声のマニュアルに従いながら正しく組立てられる。さらに、もう1台のMREALで作業している人の様子をとらえると、その人の動作が正しいかどうかなどを確認可能。
VRによる“見える化”から、さらに一歩進んだ形として、装着者以外にも情報を共有できるような今回のシステムを提案。今後は、心拍数や視線といった情報の活用なども検討している。クレッセントはアーティストのライブステージ映像やゲームなども手掛けており、今回のような作業向けVRだけでなく、エンターテインメント向けへのVR活用も様々な形で進めているという。
クリスティ・デジタル・システムは、24日に発表した4K/3D対応プロジェクタ「Christie Mirage 304K」以外にも、業務向けの映像製品を紹介している。「HoloDesk2 with TechViz」は、マーカーが付いた3Dメガネを装着してディスプレイ上の3DCGを見ると、様々な角度から対象物を眺められるというシステム。
今回のデモでは、画面にCGで表示された部品の向きを変えると、それをつなぐケーブルのどの部分にどの程度の負荷がかかるかをサーモグラフィのように色分けして表示。手元のコントローラで配置を変えながら、様々な角度から眺めてどの配置が適切かを判断できる。ディスプレイは2,560×1,600ドットのリアプロジェクション型で、光源はLED。
また、工業デザイナーなどプロ向けの84型4Kディスプレイ「Christie QuadHD84」と、LUMISCAPHE(ルミスカフ)のソフト「P3D」を組み合わせて紹介。P3Dは、オリジナルのCADデータをDAM(デジタルアスペクトモックアップ)に変換し、レビュー用の3D画像をリアルタイムで作成可能というもの。
このほかにも、小型のディスプレイモジュールを並べて大型のビデオウォールを作れる「Christie MicroTiles」を使ったデモ「小人が住まう黒板」も行なっている。画面にタッチすると、画面内を動き回る小人にちょっかいを出せるというもの。
ナックイメージテクノロジーのブースで展示されていたのは、ヘッドマウントカメラ(HMC)を装着した人の表情から、リアルなCGキャラクターを作成できるというシステム「Dynamixyz Performer ソフトウェア & HMCシステム」。映画やゲームなどのコンテンツに活用されているほか、ライブでアニメーション化するといった演出も可能にするという。HMC以外に、一般的な固定カメラでも利用可能だが、HMCを使うと頭の位置が固定されるため高精度に認識できるのが特徴。