レビュー

Switchや動画に使える! 19,800円のUSB-Cモバイルディスプレイで仕事も遊びも

パソコンを使ったオフィスワークを効率化したり、テレビを常設していない空間で動画やゲームなどを楽しむのに便利なのが、コンパクトで携帯性の高いモバイルディスプレイ。低価格なモデルも続々と登場するなか、サンコーが15.6型で19,800円のUSB Type-C接続対応の「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」を1月に発売し、現在でも人気のようだ。パソコンやゲーム機などにつないで使ってみた。

サンコー「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」

モバイルディスプレイとは、11インチから15インチサイズを中心に展開する携帯型のディスプレイのこと。多くのモデルがUSB Type-C端子を使ったUSB PD(USB Power Delivery)給電に対応しており、ノートPCと対応ケーブルで接続すれば、それ一本で電源供給と映像入力ができる。

今回のサンコー「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」は、USB-Cに加えてHDMI(ミニHDMI端子)やスピーカーを搭載しているのもポイント。これで外部機器から音声も入力できるため、パソコン画面だけでなくゲームや動画鑑賞などにも便利に使えるわけだ。仕事と遊びの両方で使用した実感をお伝えしたい。

2画面環境でパソコンが快適に

サンコーの「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」は、15.6型の液晶パネルを採用したモデル。バッテリーは内蔵せず、PCもしくはコンセントからの電源供給により駆動する。外形寸法は368×9×225mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約700g。これにスタンド兼カバーが付属している。

カバー兼スタンドは角度が2段階で調整できる
スタンドを完全に倒したところ。左側のカバーをディスプレイにかぶせて持ち歩ける仕組み

解像度は1,920×1,080ドットのフルHD。パネルはIPS方式で、リフレッシュレートは60Hz、輝度は250cd/m2、コントラスト比は1,000:1、上下左右の視野角は170度。液晶ディスプレイとしては一般的なレベルだが、とにかく価格が19,800円(税込)と安いのが「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」の大きな魅力だ。

「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」は入力端子として本体左右側面にUSB Type-C端子を配置。また、左側面にミニHDMI端子も用意している。早速、ノートPCと接続してデュアルディスプレイ環境を作ってみた。用意したのはUSB Type-C端子を2基(1つは給電用)を備える、レノボ・ジャパンの「ThinkPad X1 Carbon」だ。

右側面の下部にミニHDMI端子、USB Type-C端子、イヤフォンジャックを配置。
左側面。給電専用のUSB Type-C端子と、ダイヤル型のメニューボタン、電源/戻るボタンを配置

付属のUSB Type-CケーブルでノートPCとディスプレイを接続する。「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」の左右のType-C端子のうち、映像を入力できるのは左側の端子のみで、右側のType-C端子は電源供給のみとなっている。このため、「ThinkPad X1 Carbon」との接続は左側の端子を利用する。PCに電源が入っている状態でUSB Type-Cケーブルを装着するとディスプレイに自動的に電源が入り、画面が点灯した。

USB Type-Cケーブルと、HDMI to MiniHDMIケーブルが付属している。
本体左側面の端子にUSB Type-Cケーブルを接続
ノートPCとケーブル1本で接続できた。この手軽さが魅力の1つだ

続いてWindows上での設定を行なう。初期状態ではノートPCのディスプレイと同じ画面が表示される「複製」になっているため、Windows 10の表示設定から「拡張」に切り替えて、ディスプレイを広く使えるようにする。また、同じく初期状態ではテキストやアプリの表示サイズが150%になっていたため、これもディスプレイ設定から、100%に変更して、フルHD解像度そのままの広さで画面が表示できるようにした。

最初に起動したとき、画面の暗さが気になった。これは明るさの初期値が30%の設定となっていたため。ディスプレイの右側面にあるダイヤルを上に倒すと、明るさの設定ができる。

初期設定では明るさが30になっていたため、やや暗かった。50以上にすると常用できそうだ
ボタンを押し込むと設定画面が表示できる。細かな設定が可能だ

また、このダイヤルは下に倒すと音量の設定ができ、押し込むと設定画面を表示できる。設定画面では、「輝度」タブで明るさ、コントラスト、黒レベル、シャープネスが個別に設定可能。「画像調整」タブでは画像モードの変更や輝度自動調整機能やアスペクト比の設定ができる。この他、色設定やOSD設定(設定パネルの言語など)、リセットメニューが用意されている。画質や表示色をPCのディスプレイと合わせたいといったときに利用できる

実際に「ThinkPad X1 Carbon」と一緒に持ち歩いてみたところ、重さは合わせて約2kgとなり、なかなかの重さだと感じた。

それでも、モバイルディスプレイを併用したデュアルディスプレイ環境は仕事効率を非常に向上させてくれる。画面が2つあると、同時に複数のWebページを表示しながら、入力作業ができる。一度この環境に慣れるとPCのディスプレイ一画面では仕事がしにくく感じるようになった。

一方で気になる点もあった。1つが電力消費だ。「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」を接続して、明るさ50で使っていると、ノートPCのバッテリーはぐんぐん減る。明るさ音量共に50に設定して、YouTubeを10分再生してみたところ12%減った。モバイルバッテリーを使う場合でも、AC電源を接続した状態の方がよさそうだ。

また、ビジネスだけを考えるなら15.6型はやや大きいようにも感じた。ビジネス用のノートPCのスタンダードサイズが13.3型のため、同一サイズに合わせるのも手だといえる。

「ThinkPad X1 Carbon」と重ねたところ。奥行きはほぼ一緒だが2cm近く長い

スピーカー内蔵だからゲームやAVにも使える

もう一つ、最大の魅力といってもいいのがステレオスピーカーを搭載していること。出力は1W×2chで、本体が薄型ということもあり低音が控えめのシャカシャカした音には感じるが、スピーカーが内蔵されていることにより、映像やゲームでも使える。そして、これらの使い方では、特に15.6型の大きさが有効になる。

ミニHDMI端子を搭載しており、ここに据え置きゲーム機やAV機器を接続できる。今回はNintendo SwitchとAmazonのFire TVを接続してみた。

Nintendo Switchとの接続には付属の「HDMI to MiniHDMI」ケーブルを利用する。AmazonのFire TVを利用する場合は別途変換アダプターが必要となる。今回はHDMIメス-ミニHDMIオスのアダプターを介して接続した。

Nintendo Switchを接続したところ
Fire TVの接続には変換アダプターを用意する必要がある

また、HDMI端子は、ノートPCのような電源供給はできないため、映像入力の他に電源を供給する必要がある。その方法は2つ。1つは付属のType-CケーブルでAC電源から直接電源を取る方法。市販のType-C対応アダプターを利用する。5V2A以上の出力に対応していれば電源供給可能だ。モバイルバッテリーでもOK。

そしてもう1つはUSB Type-A to Type-Cケーブルを用意して映像出力とは別にUSBケーブルで電源供給する方法。Nintendo Switchなどもこの方法が利用できる。コンセントを二つ使わないのが便利だ。

ネット接続は別途必要だが、どこでも手軽に映像コンテンツが楽しめる

Nintendo Switchのゲームプレイでは、いくつかアクションゲームを試してみたが、一般的なゲームレベルでは表示遅延が気になるような場面はほとんどなく、楽しくゲームができた。15.6型の画面サイズは本体を至近距離に設置することで、遠くに置いた大画面のテレビと比べても没入感が高く、迫力を感じられた。

それはFire TVでのコンテンツ視聴も同じ。大型のテレビがテーブルなどを挟んで数m離れた距離から観るのに対して、「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」のサイズだと至近距離において視聴することになる。その距離では十分な大きさだ。

ノートPC用のサブディスプレイとして使うだけならもっと低価格な製品も存在する。しかし、動画やゲームを考慮すれば、今回の「Type-Cモバイルディスプレイ15.6」は魅力的な一台だ。

ステレオスピーカーも搭載していて19,800円という価格は非常にお得。仕事の効率アップや、場所を選ばずゲームやコンテンツ視聴を楽しみたいと考えたときに選択肢に入るモバイルディスプレイと言えそうだ。

コヤマタカヒロ