レビュー
前代未聞!? 25万円のPCスピーカー「ハイレゾセブン」を体験。値段も凄いが、音も凄い
(2014/11/4 07:50)
PC用アクティブスピーカーと言うと、どんなスピーカーを思い浮かべるだろうか? デスクトップPCを買うとオマケのように付属する、プラスチック筐体の、白くて小さなスピーカーを連想する人も多いだろう。秋葉原の裏路地を歩いていると、1ペア980円くらいで、ダンボール箱に沢山つめ込まれているのも目にする。
そんなPC用スピーカー、機種によって音質は違うが、オーディオ用の本格的なスピーカーと比べると、音質もデザインも今ひとつ。昔は「とりあえず音が出ればいい」という存在だった。しかし、iTunesのような音楽配信の一般化や、CDをリッピングしてPCに蓄積するスタイルの定着により、PCが家庭内の音楽サーバーとして機能するようになると、PC用スピーカーにもより高音質を求める機運が高まった。
その流れを受けて登場したのが、ボーズの「M3」(Micro Music Monitor)」や、オンキヨーの「GX-70」、オラソニック(東和電子)の卵スピーカー「W-S7」などの人気モデルだ。そして2010年、ピュアオーディオの世界でスピーカーを手掛け、高い評価を得ているクリプトンが、突如PC用アクティブスピーカー界に登場。スピーカーを設置するオーディオボードにインシュレータ、極太の電源ケーブルまで同梱するという“ピュアオーディオのノウハウ”を投入した「KS-1HQM」を発売した。
約5万円と、PC用スピーカーとしては高価だったが、そのこだわり具合に驚き、聴いてみると音の良さにぶったまげた。以来、我が家のPCスピーカーとして現在まで活躍してくれている。直販サイトのみでの販売で、気軽に聴けないにも関わらず、口コミで評判が広まり人気モデルに……。その後、2012年には上位モデルとして、DACやアンプなどを強化した「KS-3HQM」(直販85,000円)も発売するなど、1つのシリーズに成長している。
御存知の通り、ピュアオーディオというのは良い音を追求する世界だ。音が良くなるためであれば、高価な素材を使ったり、希少なパーツも惜しみなく投入する。一般の感覚からすると「音楽を聴くだけの機械に数十万、数百万円って……」と思われてしまうが、そこに価値を感じる人達が購入する事で維持される、良い意味で“暴走している”市場と言っても良いだろう。
クリプトンが、PC用スピーカーで一般的な5,000円~2万円程度の枠を越えても、高音質を追求するのは、オーディオ機器メーカーとして、ある意味当然の事なのだろう。その結果、シリーズの新機種として、なんと実売25万円前後という、前代未聞のPCスピーカー「KS-7HQM」、通称「ハイレゾセブン」が登場した。
「PC用スピーカーで25万円って!?」と思うだろう、大丈夫、私もそう思う。ハイエンドゲーミングPCは別として、恐らく今どきのPC本体よりも高価なスピーカーだ。買うとか買わないとかいう話はひとまず置いておいて、「いったいどんな音がするのか」は誰しも興味を持つところだろう。実際に借りてみたが、値段も凄いが、音もとんでもないスピーカーだ。
ハイレゾ対応のUSB DDCを搭載
音を聴く前に、概要をおさらいしておこう。ハイレゾセブンは、2ウェイのアクティブスピーカーだが、アンプだけでなく、ハイレゾ音源にも対応したUSB DDC機能や、光デジタル、アナログ音声入力、さらにHDMI入力まで備えている。見た目としてはスピーカーだが、ハイレゾ対応のオーディオシステムと言っても良いだろう。
USB DDCは192kHz/24bitまでのPCMデータに対応。DSDはサポートしていない。光デジタル入力も192kHz/24bitまでサポートしており、CDプレーヤーなどを接続する事も可能だ。
HDMI入力は何をするものか言うと、Blu-rayプレーヤーなどとの接続を想定している。AVアンプのようにドルビーデジタルなどのサラウンド音声には対応していないが、PCMデータは再生できるのでプレーヤー側でPCM変換して出力すれば、映画などのサウンドもデジタル伝送できる。
クリプトンではこれ以外にも、192kHz/24bitなどの高音質音声をメインに収録したBlu-ray Discオーディオの再生に利用する事も想定している。なお、HDMI入力だけでなく、HDMI出力も備えているので、そこから映像はテレビへと出力する形となる。実際に試したところ、ハイレゾセブンの電源をOFFにした状態でも、スルー出力可能だった。ARC(オーディオリターンチャンネル)には対応していないようだ。
フルデジタルアンプ
先ほど、ハイレゾ再生の部分で「USB DAC」と書かず、「USB DDC」と書いたが、それはアンプ部がフルデジタルアンプになっているためだ。
DDCのデジタル出力は、フルデジタルアンプと直結されており、文字通りユニットの直前までアナログ変換はしない構成になっている。これにより、変換ロスを抑え、ハイレゾ音源を忠実に再現しようというわけだ。
デジタルアンプの肝となるのはノイズシェーパーだが、デジタル信号処理は複雑な演算が必要になるため、ラウンディング・エラーや大入力信号のオーバーフローエラーが課題となる。これを改善するため、ノイズシェーパーの最適値を導き、独自のエラー補正アルゴリズムを適用したFPGA(ファームウェアを読み込ませることで回路構成を自由に 変えることができる汎用性の高いLSI)を採用している。このアルゴリズムは、USB経由でアップデートも可能という。
また、2ウェイのスピーカーだが、FPGAでデジタルクロスオーバーネットワークを構築しているので、パッシブのネットワークは搭載していない。コンデンサやコイル抵抗による音質劣化を回避しているわけだ。クロスオーバーは3,500Hz。全体の再生周波数帯域は60Hz~60kHz。
また、ツイータとウーファ、それぞれにデジタルアンプを搭載したバイアンプ駆動となっており、出力は40W×4ch(8Ω)。
筐体はオールアルミ製
ユニットは、30mm径のリング型振動板のツイータ(vifa製)、84mm径のウーファ(Tymphany/旧Peerless製)を搭載している。ツイータをリング型としたのは、高域周波数のレンジを拡大させ、ハイレゾ対応スピーカーとするためだそうで、砲弾型イコライザも中央に搭載している。
外観で目をひくのは、楕円の円柱を輪切りにしたような筐体フォルムだろう。素材はオールアルミで、厚さ8mmと肉厚。剛性は高く、指で叩いても「コツコツ」と鈍い音が戻っきて、鳴きが少ない。これによって共振を抑えるほか、ラウンドフォルムとすることで回析も低減している。なお、筐体はやや上向きに傾斜しており、デスクトップ設置した際に、音がリスナーの耳に向かって放射されるようになっている。
クリプトンのスピーカーと言えば、密閉型がお馴染みだが、ハイレゾセブンの場合は小型スピーカーでも豊かな低域を再生するため、リアバスレフとなっている。ダクトは筐体内部でグニュッと曲がっている。これにより、低域再生限界周波数(f0)を下げ、筐体内の共鳴音をホールデッドダクトを通して位相反転させて放出する。
これ以外に、ユーザーが低音の量感を調整する機能も備えているが、それは試聴しながら使っていこう。
スピーカーベースとインシュレータも同梱
「KS-1HQM」を紹介した時に、スピーカーを設置する“理想的な土台”となるスピーカーベースと、インシュレータ、さらに太い電源ケーブルが標準で同梱されており、「PCスピーカーなのにここまでやるか」と驚いたものだが、そのピュアオーディオ的なこだわりはハイレゾセブンでも貫かれている。
一見すると、スピーカーベースが敷かれているとわからないのだが、スピーカーの底部の黒い部分と、上のアルミ筐体は分離しており、この黒い部分が板状のスピーカーベースとなっている。これでスピーカー本体の振動を吸収し、下の机などに伝わらないようにしている。
同時に、筐体を浮かせて適度な響きも出すために、ベースとスピーカーの間には3点支持のインシュレータを配置している。インシュレータは、クリプトンのオーディオボードなどにも使われている「ネオフェード カーボンマトリックス3層材」で作られている。
三菱ガス化学の「ネオフェード」という素材をベースに、クリプトンと三菱ガス化学がオーディオ用素材として共同開発したもので、ネオフェード自体には構造体の共振を抑え、振動エネルギーを効率良く吸収して熱エネルギーに変える効果がある。これを、2枚のCERP(カーボン繊維強化プラスチック)の板で上下から挟んで3層構造としたもの。振動を素早く減衰させると共に、自然に減衰させられるのが特徴だ。
音を聴いてみる
PCとUSBケーブルで接続、ハイレゾの「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best of My Love」を再生してみる。普通、スピーカーの試聴は神妙な顔で行なうものだが、このスピーカーの場合、再生ボタンを押して音が流れた瞬間に思わず笑ってしまう。自分の近くに置いたPCスピーカーで再生しているのに、出てくる音がPCスピーカーの域を完全に飛び超えており、脳が混乱するからだ。
ピュアオーディオスピーカーレベルの音がしているのに、視界にはノートパソコンの左右に置かれた小ぶりなスピーカーしか存在しない。このスピーカーから音が出ているのだと頭では理解しているが、にわかには信じられない。音を聴いていると、自分の前方にもっと大きなスピーカーがある気がして思わず正面を向いてしまう。良い意味で「やりすぎだコレは」と笑えてくる。
再生していると、目線が自分の正面、液晶ディスプレイの中央より少し上あたりに、自然と向く。そこにヴォーカルの口がポカッと浮いているように感じるからだ。PCスピーカーはどうしてもスピーカー付近の空間に音がわだかまり、広がりが出にくく、さらに音像の“高さ”はなかなか出ないものだが、ハイレゾセブンはいとも簡単に高さのある音像を出してみせる。
音像の定位も極めてシャープで、中央のヴォーカルの左手前にパーカッションが、右側の少し離れた手前にギター、左の奥にピアノ……といった具合に、指で指し示せそうな明瞭さがある。
ニアフィールドリスニングは、スピーカーとの距離が近いので、音場が狭く、音像も近く感じられるのではないかというイメージがあるかもしれないが、実際にはそんな事はない。左右の広がりや、奥行きも十二分だ。音像と音像の距離もしっかり存在しており、狭苦しい印象はまったくない。スピーカーとの距離が近いため、ヴォーカルのブレスやギターの弦など、細かな音が、ピュアオーディオのスピーカー配置よりもよく聴き取れるほどだ。
10万円クラスの開放型ヘッドフォンで聴く繊細な音を、頭の周囲ではなく、前方に展開させ、音場をさらにアップ、低域の量感や迫力もプラスしたようなサウンドだ。スピーカーとヘッドフォンの中間というか、“いいとこ取り”ができている。既にある程度のヘッドフォン環境を構築している人が、「スピーカーも買ってみようかな」、「でも大きなスピーカーを置く場所は無いし……」という場合に、違和感なく入り込めるサウンドだろう。
各帯域の音を細かく見ていくと、高域の明瞭さがすぐにわかる。付帯音はほとんど無く、定位も明瞭で抜けも抜群。広い空間に、音がどこまでも広がり、スッと虚空に消えていく様子も丁寧に描写する。かと言って無味乾燥ではなく、わずかに、金属質で綺羅びやかな響きが音に乗っている。これが清涼感を演出しており、聴いていて気持ちが良い。
ボーズのスピーカーでも同じようなテクニックが使われるが、あちらは中低域が張り出したモコモコしたサウンドに“すっきり感”を加えるために、金属質な響きを強めに加えている印象。ハイレゾセブンの場合は、ベースがシャープでワイドレンジなサウンドであり、あくまでそこに個性として美しい響きをプラスしている。価格差もあるが、そもそもの音質レベルの次元が違う。
聴いていると、脳裏に日本刀が浮かぶような切れ味抜群の描写だが、シャープ過ぎてカリカリな音ではなく、適度な響きも感じられる。「スティーリー・ダン/Two Against Nature」から「Gaslighting Abbie」を再生すると、音のキレの良さが、独特のグルーヴを際立たせ、思わずループ再生してしまう気持ちよさ。モニタースピーカーのような解像度やニュートラルさを持ちながら、中低域の迫力も備えているので、旨味も感じられる。聴いていて楽しいスピーカーだ。
特筆すべきは低域。「イーグルス/ホテルカリフォルニア」の192kHz/24bitを再生すると、エレキベースのモコッとした低域がパワフルに押し寄せてきて、胸を圧迫されるようなパワフルさがある。沈み込みの深さや音圧は、完全にオーディオ用ブックシェルフスピーカーの域で、PCスピーカーとの違いを最も感じさせてくれる。初代の「KS-1HQM」と較べても、低域のクオリティは大幅に強化されている。
音圧は豊かだが、分解能も良い。低域全体がモコモコするのではなく、周囲に広がるコーラスや、左脇から聴こえるドラムのシンバルなどは埋もれず、音色をキッチリ描き分けながら音が広がる。剛性の高い筐体による不要な振動の少なさや、デジタルアンプによる鮮度の高いサウンドが活きている。
なお、低域の量感はユーザーが調整可能だ。「デスクトップモード」と「フロアスタンドモード」があり、デスクトップモードでは低音が減衰、フロアモードでは元に戻る(豊かになる)。今まではデスクトップに置いていたので、デスクトップモードで聴いていたが、試しにその場でフロアモードに切り替えると、低域の音圧がグッと増え、迫力がアップした。
ピュアオーディオ的なバランス重視で言えば、デスクトップ設置の場合はデスクトップモードがやはりマッチするが、例えば映画を再生したり、ゲームをプレイするといった場合は、フロアモードに切り替えても迫力があって良い。音の明瞭度は低下しないので、積極的に使える機能だ。
また、デスクトップ設置であっても、背後に低音を吸ってしまうようなカーテンなどがあるといった場合は、フロアモードにしても良いかもしれない。逆に、テレビ用スピーカーとして使う場合は、フロアモードを利用すると良いだろう。
分解能が高く、ハイレゾの良さがよく味わえるスピーカーだが、現在どのようなデータが入力されているかを、前面のインジケーターで確認する事も可能だ。3つのランプがオレンジだと48kHz系、グリーンだと44.1kHz系で、ランプの数が1つだと48kHz/24bit(オレンジ)、44.1kHz/24bit(グリーン)、3つだと192kHz/24bit(オレンジ)、176.4kHz/24bit(グリーン)という具合。操作は付属のリモコンが使えるほか、背後に操作ボタンも備えている。
音楽以外も聴いてみる
筆者は家で、PC用ディスプレイにPlayStation 4も接続し、ゲームも楽しんでいる。ハイレゾセブンはHDMI接続にも対応しているので、ディスプレイとPS4の間に接続し、ゲームの音も楽しんでみた。
オンラインで協力/対戦ができるFPS(ファーストパーソン・シューティング)の「Destiny」をプレイ。いつもはディスプレイの内蔵スピーカーで楽しんでいるのだが、音が薄く、銃撃音ばかりが耳に入り、その他の音はオマケレベルでしか聴こえない。ハイレゾセブンに切り替えると、音が異次元レベルに変化し、完全に別のゲームをプレイしている気分だ。
装備などを整える街(タワー)を歩いている時の、コツコツという足音の反響音で、建物の広さが表現されているのに初めて気づいた。タワーには定期的に宇宙船が到着するが、「フォオオ」というエンジン音や、ドックに固定される時の重い「ガシャーン……」という金属音が、遠い場所から響いている距離感がキチッと描かれる。音によって空間の広さが補完されるため、今まではディスプレイの中にしか存在しなかったゲームの世界が、ディスプレイの外にも、奥にも広がる。“広大なゲーム世界の一部分をディスプレイが切り取って表示している”と感じるようになる。
低域の厚みや、音の分解能も格段にアップするので、銃撃戦の迫力も段違いだ。ゲームなのだが、映画のようなリッチな気分でプレイでき、戦場での孤独感や恐怖感にも拍車がかかるため、やりなれたフィールドなのに、かつてないほど心拍数が上がってしまう。
PS4や他のBDプレーヤーのように、ドルビーデジタルなどの音声をプレーヤー側でPCM変換してHDMI出力すれば、ハイレゾセブンでBD/DVDの音声も楽しめる。試しに「アナと雪の女王」のBDから、雪の怪物・マシュマロウに襲われるシーンを再生してみた。
ズシンズシンというマシュマロウが歩く音の“重さ”や、咆哮の迫力が凄い。音場が広く、抜けの良いスピーカーをニアフィールドで聴いているので、サラウンドシステムではないが、キッチリと音に包まれる感覚が味わえる。
同時に、分解能が高くて定位も明瞭なので、音の移動感もよく分かる。ぶっちゃけ、デスクトップで映画を楽しむのであれば、5.1chスピーカーや、バーチャルサラウンド的な機能が無くても、このスピーカーをニアフィールド視聴するだけで十分だとすら感じてしまう。
テレビにも繋いでみたが、ニュース番組やアニメなどでも効果は抜群。音圧とレンジがアップし、音の分離と定位が良くなるので、薄型テレビの内蔵スピーカーとは次元の違うサウンドが楽しめる。男性アナウンサーの声も、低域がしっかり出て、付帯音が無くて明瞭なので格段に聴き取りやすい。アニメでも、特殊能力を持ったキャラクターがバトルをするような派手なシーン中でも、背後に風の音が薄く入っている細かな情報も聴き取れる。
ただ、スピーカーに高さがあるので、テレビの左右に設置できるスペースがあれば良いが、テレビの前に置くと、画面を邪魔してしまうだろう。そのあたりは注意が必要だ。
約25万円のPCスピーカーはあり?
実際に聴いてみると、価格も凄いが、音も凄いスピーカーだ。このコンパクトさで、ここまで堂々としたサウンドが楽しめるスピーカーはそうはない。いつもPCスピーカーでBGMとして音楽を薄く流しながら、原稿などを書いているのだが、ハイレゾセブンで同じ事をすると、音場の広さとスケール感、クオリティが大幅にアップするので、仕事どころではなくなり、完全に手が止まって音楽に意識を持って行かれてしまう。
問題は、約25万円という価格をどう考えるかだろう。ただ、このスピーカーは単純なアクティブスピーカーではなく、ハイレゾ対応のUSB DDCや、バイアンプ構成のデジタルアンプも内蔵した、一種の一体型オーディオシステムとして考える必要がある。
例えば単体USB DACと、デジタルアンプ、音の良いオーディオ用ブックシェルフスピーカーを個別に購入すると、おそらく25万円にあっというまに到達してしまうだろう。そう冷静に考えると、それほど高いという感じはしなくなる。
それ以前に、ピュアオーディオ用のブックシェルフスピーカーは、どんなに小さなモデルを探してもある程度の大きさ、特に奥行きがあるため、「デスクトップの上に、ノートPCと一緒に置けないよ」という場合も多い。そんな余裕の無いスペースに、アンプだ、DACだとコンポを加えていったら、恐らく机の上がゴチャゴチャになるだろう。単品コンポに匹敵するサウンドを、このサイズにギュッとまとめている事が、ハイレゾセブンの最大の強みだ。
既に何らかのUSB DACを持っているという人の場合は、機能が重複する事にもなる。DSD対応も含め、USB DDC機能を省いて低価格化したアクティブスピーカー版も欲しいところだ。ただ、USB DDCとデジタルアンプの直結による鮮度の良い音が大きな特徴でもあるので、それは難しい注文かもしれないが……。
いずれにせよ、高価ではあるが、PCで手軽にハイクオリティなサウンドが楽しめる魅力的なスピーカーだ。家に大きなコンポ+スピーカーを買っても、じっくり座って聴く時間が無く、それよりも実は長時間音楽を楽しんでいるポータブルオーディオに投資をする人が、現在のイヤフォン&ポータブルアンプブームを生み出しているように、「実は毎日PCスピーカーでばかり音楽を聴いている」という人にとっては、意外にマッチする1台かもしれない。
(協力:クリプトン)