AV Watchアワード

レグザ待望のマイクロレンズ有機EL「X9900N」。パネル性能が大幅強化【AV Watchアワード参戦製品(5)】

有機ELテレビ「65X9900N」

その年に登場した製品から、読者に本当にオススメしたい優れた製品を決める「AV Watchアワード」。2023年に引き続いて今年も“No.1テレビ”を決めるべく、テレビメーカー7社から11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、比較テストを行なった。本稿では11月1日のNo.1モデル発表に先立ち、テストを実施した全11モデルを順次掲載していく。

今回取り上げるテレビは、TVS REGZA(レグザ)が2024年7月に発売した4K有機ELテレビ「65X9900N」(646,800円前後)。製品の概要・仕様の紹介と合わせ、昨年好評だったマスターモニターとの比較動画および各種測定データも合わせて掲載する。

レグザ「65X9900N」製品概要

「X9900Nシリーズ」は、4K有機ELレグザのフラッグシップモデル。サイズは、65型と55型の2種類。

最大の特徴が、レグザ待望となるマイクロレンズアレイ有機EL(MLA-OLED)パネルの採用。

MLA-OLEDは、1画素あたり数千個におよぶ微細な凸レンズを発光層に一体成型することで、従来パネルでは内部反射でロスしていた光を効率的に取り出す構造を備えた最新パネル。従来と同じ消費電力のまま、輝度とコントラストを大幅に稼ぐことができるという利点が注目され、ハイエンドテレビやゲーミングモニター等で採用例が増えている。

レグザでは、MLA-OLEDパネルの2024年バージョンを使いつつ、背面に3層のアルミシート/プレートを仕込むことで放熱性能を高める独自の冷却構造を構築。ピーク輝度は前モデル比約2倍超、全白輝度も約1.3倍を達成し、パネル性能を最大化させた。

有機ELテレビ「65X9900N」

信号処理を司るのは、レグザのフラッグシップモデルにのみ搭載している「レグザエンジンZRα」。前段のSoCと、後段のレグザ専用チップの2段構成とすることで、最上位機種だけの複雑な信号処理を可能にしている。

2024年モデルでは、AIがシーンを判別してシーンに応じた映像処理を加える「AIシーン高画質PRO」が新搭載され、「夜景」「花火/星空」「リング競技」「ゴルフ/サッカー」の映像がよりリアルに再現されるような信号処理が追加された。

対応するHDR規格は、HDR10、HLG、HDR10+、Dolby Visionのほか、視聴環境にあわせて最適な映像を映すHDR10+ ADAPTIVE、Dolby Vision IQにも対応する。

ゲーム機能では、4K/1080p 144Hz信号(VRR)を新たにサポート。対戦型ゲームで要求される低遅延とスムーズな表示を実現した。ほかにも、4K/1080p 120Hz、2,560×1,440 60Hzのゲーム信号もサポート。ゲームプレイに特化した、ゲーミングメニューも新搭載している。

サウンドシステムは、2023年モデル「X9900M」の10スピーカー“レグザ重低音立体音響システムXHR”から、18スピーカー“重低音立体音響システムXIS”へ大きく進化。総合出力180Wのマルチアンプで独立駆動させると共に、トップスピーカーとサイドスピーカーによる音の拡がりと定位を強化。さらに、テレビ内蔵のマルチスピーカーシステムとエンジンで立体音響を再現する「レグザイマーシブサウンド 360 PRO」も搭載した。

18スピーカーの構造

搭載チューナーは、地上デジタル×9、BS/110度CSデジタル×3、BS/CS 4K放送×2。別売のUSB HDDを用意すれば、地デジ/BS/CSの2番組同時、4K放送の裏番組録画のほか、地デジ6チャンネルを同時録画できるレグザ独自のタイムシフトマシンも楽しめる。

HDMI入力は4系統。ARC/eARC、ALLM機能をサポート。4極ミニプラグのビデオ入力(映像・音声LR)、光デジタル音声出力、ヘッドフォン出力、LANを各1系統用意。USB端子は4系統。スタンドは、左右水平15度動かせる回転式。

消費電力は561Wで、年間消費電力は271kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、144.2×30×89.2cm(幅×奥行き×高さ)/32kg。

マスターモニターとの比較動画、および各種測定データ

【AV Watchアワード】有機ELテレビ③TVS REGZA「65X9900N」~マスターモニターとの映像比較
※これはHDRで撮影した映像です。鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
パネル性能
映像メニュー「映画プロ」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」
輝度値 ※測定モデルは65型
映像メニュー
「おまかせAI」
X9900N
(2024年モデル)
X9900M
(2023年モデル)
10%輝度
(最大)
925 cd/m2591 cd/m2
全白輝度
(最大)
196 cd/m2153 cd/m2
映像メニュー
「映画プロ」
X9900N
(2024年モデル)
X9900M
(2023年モデル)
10%輝度
(最大)
895 cd/m2608 cd/m2
全白輝度
(最大)
218 cd/m2153 cd/m2
カラースペクトラムとBT.2020カバー率 ※測定モデルは65型
カラースペクトラム
映像メニュー
「映画プロ」
X9900N
(2024年モデル)
X9900M
(2023年モデル)
BT.2020
1931カバー率
72.06%71.38%
BT.2020
1976カバー率
74.39%75.72%
画素構造
入力遅延と仕様
映像メニュー
「ゲーム」
X9900N
(2024年モデル)
X9900M
(2023年モデル)
スタンダード
シューティング
4k60p:1.8ms
2K120p:1.4ms
4k60p:3.0ms
2K120p:3.1ms
ロールプレイング4k60p:51.6ms
2K120p:1.4ms
4k60p:3.0ms
2K120p:3.1ms
レトロゲーム4k60p:1.8ms
2K120p:1.4ms
HDMI入力信号X9900N
(2024年モデル)
X9900M
(2023年モデル)
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision120Hzまで60Hzまで
4K50Hz
1440p60Hzまで60Hzまで
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他X9900N
(2024年モデル)
X9900M
(2023年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
阿部邦弘