プレイバック2021
Apple TV 4Kが活躍! ストリーミングを楽しみまくった1年 by 逆木一
2021年12月27日 08:30
2021年はストリーミングのさらなる発展を実感した1年だった。
まずは音楽。2019年に開始されたAmazon Musicに続き、今年の6月にはApple Musicが追加料金なしでロスレス/ハイレゾ配信を開始した。
単に「ロスレス/ハイレゾクオリティの音楽ストリーミングサービス」というだけなら、既にTIDALやQobuzといったサービスが数年前から存在し、熱心なオーディオファンからすれば「何を今さら」という感覚はあるかもしれない。しかし、Amazon MusicとApple Musicという、広く一般層を抱えるメジャーなサービスで、CD相当のクオリティが担保されたというのは歴史的一大事である。
「ストリーミングでCDと同等の音が聴けるのは当たり前」という時代の到来。ついに音質面におけるボトルネック――「ロスレスか否か」は、「ハイレゾか否か」よりも遥かに重要である――が解消されたことで、本当の意味でストリーミングサービスはCDを踏み越える新しい音楽メディアとなっていくのだろう。再生装置であるオーディオ機器の側にも、こうした時代の変化に歩調を合わせ、より一層ネットワーク機能の拡充と洗練を期待したい。
メジャーの一角であるSpotifyがロスレス配信の「Spotify HiFi」を今年後半に始めると発表し、未だに音沙汰がないのは残念だが、こちらも早いうちに始まってほしいところだ。
映像ストリーミングサービスも、言わずもがなますます活況を呈している。
最近のトピックといえば、日本でのディズニープラスが4K画質とサラウンド音声での配信に(ようやく)対応したことが挙げられる。発売と同時に購入したApple TV(2021)でさっそく確認してみたが、4K/Dolby Vision & Dolby Atmosコンテンツのクオリティは、現状のストリーミングサービスでトップクラスと言っていい。オリジナルタイトルとしても、今年後半に公開された「スター・ウォーズ:ビジョンズ」や「ホワット・イフ...?」など、ディズニーの圧倒的なコンテンツ力を実感させる作品が目白押しだ。
Netflixの「タイラー・レイク -命の奪還-」やAmazon prime videoの「ザ・ボーイズ」など、各サービスのオリジナルタイトルは配信という形態に最適化できるという事情もあってか、画質・音質ともに極めて優秀なものが多い。というより、もはや下手なUHD BDを凌駕していると言っても過言ではない状況だ。最近ではディズニープラス以外の映像サービスも操作レスポンスに優れるApple TVで見るようになり、「この小さな箱でこんなにも高品質な映像を楽しめるのか」と感じ入る日々を過ごしている。「映像鑑賞における最高のクオリティを実現するメディア」としてUHD BD/BDはまだまだ筆者にとって大切だが、今ではストリーミングもまた、質と量の両面で欠かすことのできないものとなった。
音楽と映像における物理メディアからストリーミングへの移行は、はたしてそれが善いことなのか悪いことなのかとは無関係に、世界中のあらゆるところで進んでいるというのが現実である。それに逆らったところでどうしようもない。
幸いにして筆者は「大切なのはメディアそのものではなくコンテンツである」と考えるタイプなので、物理メディアとストリーミングの両方に価値を認め、両方の恩恵を活かす形で、このうえなくコンテンツが豊かになった現代を楽しんでいきたいと思う。