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5万円切るAtmosサウンドバーJBL「BAR 300」。衝撃のWi-Fiスピーカーがサブウーファに!?
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- ハーマンインターナショナル
2023年11月2日 08:00
省スペースで迫力あるホームシアターが実現できるとして、Dolby Atmosに対応したサウンドバーが人気だ。ただ、本格的なモデルは大きなサブウーファーがセットになっていたり、価格も10万円近かったりと、手が届きにくかった。そんな状況を打破する注目機が登場した。10月から発売された、JBL「BAR 300」(49,500円)だ。
AV Watch読者であれば、JBLのコンパクトなサウンドバー「Bar 5.0 MultiBeam」が以前から人気だったのは覚えているかもしれない。あのBar 5.0 MultiBeamの後継機種が、BAR 300だ。
独自の“ビームフォーミグ”技術を使い、ワンバーだけで広がりのあるホームシアターを構築できるのが特徴だ。だが、注目点はそこだけではない。
「ワンバータイプの入門機でしょ?」と思った人も、ちょっと待って欲しい。確かにBAR 300はワンバーだけの入門モデルだが、実は“JBLのWi-Fiスピーカー新製品をサブウーファーにしたり、リアスピーカーにできる”という、「え、ちょっと反則じゃね!?」という新機能を備えている。いったいどんな音になっているのか、聴いてみよう。
ビームフォーミング + ドルビーアトモスバーチャライザーの合せ技
気になる連携機能の前に、BAR 300単体のスペックを振り返ろう。
Dolby Atmosにも対応したサウンドバーで、外形寸法は820×104×56mm(幅×奥行き×高さ)。前モデルのBar 5.0 MultiBeam(709×101×61mm/同)よりもほんの少し大きくなっているが、他社ライバル機種と比べるとかなりコンパクト。巨大なAVラックを用意しなくても、気軽に設置できるのが魅力だ。
筐体はコンパクトだが、中には様々なユニットや技術が詰め込まれている。以下が内部を見えるようにした画像だが、青いマークがついているのが前面ユニットで、左右で計4基搭載している。
さらに緑マークの部分に、斜め上に向けてサラウンドスピーカーが左右で計2基搭載されている。これが、音をビーム状に放出し、壁の反射でサラウンドを再現するための「ビームフォーミングスピーカー」だ。
ビームフォーミング技術は、信号処理によって擬似的にサラウンド感を出す、いわゆるバーチャルサラウンド系の技術と比べて、実際に音を左右後方に反射させているため、「なんとなく後ろから聴こえる」のではなく、「リアルに後ろから聴こえる」というリアルさが最大の特徴だ。
さらに、BAR 300では「ドルビーアトモスバーチャライザー」技術も搭載している。これは、知覚がむずかしい高さ方向の空間表現を、頭部伝達関数を用いた音響処理をする事で、擬似的に3次元空間するというもの。反射のリアルなサラウンドと、音響処理の擬似的な空間再現、2つの技術を組み合わせたハイブリッドなサウンドバーというわけだ。
合計6基のユニットには様々な役割があり、チャンネルや帯域毎に組み合わせ、ビームフォーミング技術も使い、ワンバータイプのスピーカーながら、5.0chのサラウンド再生を実現している。総合出力は260Wとパワフルだ。
また、“駆動の仕方”にもオーディオメーカーJBLらしいこだわりがある。1つ1つのユニットを、なんと独立した個別のアンプでドライブしているのだ。具体的には50Wのアンプ×4基と、ツイーター用に30W×2基を搭載しており、その合計が260Wとなる。ワンバーの中に、これだけの物量を投入しているのは凄い。
内部を細かく見ると、難しそうな印象を受けるが、使い方は超簡単。
スマホに「JBL ONE」というアプリを入れ、BAR 300の電源を入れると、アプリがBAR 300を認識。そこからガイドに従えば、設置した部屋に最適なサウンドに自動的に調整してくれる「Calibration」機能を備えている。リモコンにも専用のCalibrationボタンを備えているので、アプリを使わなくても調整可能だ。
キャリブレーションを開始すると、「ビュイ、ビュイ」という測定音がしばらく鳴り、BAR 300内蔵マイクで、音の反響や反射具合を測定。ビームフォーミングスピーカーによる反射も含めて、2、3分で最適化してくれる。あとは映画やテレビ、ゲームなどのコンテンツを楽しむだけ。サウンドバーが初めてという人も戸惑わないだろう。
入力端子はHDMI eARC、HDMI入力、光デジタル入力を各1系統搭載。LAN端子も備えている。テレビ側が対応していれば、HDMI eARC端子を使ってHDMIケーブル1本でテレビと接続するだけで、テレビで表示している番組や、テレビ内蔵アプリで再生しているYouTubeやNetflixなどの音声もBAR 300から再生できる。
HDMI CECにも対応しているので、テレビのリモコンからサウンドバーの音量調整も可能。
HDMI eARCとは別にHDCP 2.3に準拠したHDMI入力も備えているので、ここにFire TVやApple TV 4Kなどを接続しても良い。ゲーム機も接続可能だ。4KのDolby Visionや、HDR10のパススルーにも対応している。
また、光デジタル音声入力もあるので、HDMI ARC非対応の昔のテレビと接続する事も可能だ。
サウンドバー本体に大型の液晶ディスプレイを備えており、例えばDolby Atmos信号が入力されると、ATMOSと表示される。サウンドバーはディスプレイを備えていない製品が多く、「ここが青く光ったらDolby Atmosが入力されている」など、色と挙動を覚えなければならない製品もあるが、BAR 300は大きなディスプレイがあるのでわかりやすい。
また、AirPlay 2やBluetoothにも対応しているので、スマホなどの音楽を再生するスピーカーとして使うこともできる。AmazonのAlexaや、Googleアシスタントの音声操作にも対応する。
BAR 300単体でサラウンド再生
まずはBAR 300単品で、どのくらいの実力があるかを聴いてみよう。HDMI入力にUHD BDプレーヤーや、Fire TV Cube(第3世代)を接続して、「トップガン マーヴェリック」や「ラ・ラ・ランド」などを再生した。
「トップガン マーヴェリック」の冒頭、ケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」が流れた瞬間に分かるのは、音の解像度の高さや、高域の抜けの良さが、明らかに従来モデルのBar 5.0 MultiBeamよりも良くなっている事。
ワンバータイプのサウンドバーでは、当然ながら低音もバースピーカーで再生するわけだが、迫力を出そうと低音をパワフルにすると、その振動に筐体が負けてしまい、鳴きが発生して音を汚してしまうケースがある。しかし、BAR 300の筐体は剛性が高く、振動対策も念入りにほどこしているようで、ボリュームを上げていっても筐体がビビらず、音が不明瞭にならない。クリアでキレの良い低域が、ズバッと展開し、非常に気持ちが良い。これぞまさにJBLサウンドだ。
マーヴェリックが戦闘機のハンガーで会話するシーン。音の反響が豊富に含まれているのだが、BAR 300で再生すると、ワンバーとは思えないほど広大な音場が広がる。左右の広がりはテレビ画面を遥かに超え、自分の真横まで超え、やや後方にまで展開する。この明瞭さを伴ったサラウンドの広がりは、ビームフォーミングスピーカーの威力だろう。
さらに上下の空間も広く、上からの響きも感じられる。「ああ、天井も凄い高いハンガーなんだな」というのが、映像ではなく、音だけで感じられる。ドルビーアトモスバーチャライザーによるバーチャルハイトの効果だ。
ダークスターで“マッハ10超え”を狙うシーン。
ダークスターに乗り込んだマーヴェリックの声、管制ルームのオペレーター達の声、ハンガーでの声と、シーンが切り替わると、それに連動して音場の広がりもパッ、パッ、パッと変わっていくのだが、その広さの違いも明瞭。狭いコックピットではマーヴェリックの声はくぐもってあまり広がらないのだが、広い完成ルームではマーヴェリックの声が無線で流れ、それが広い空間に広がる様子がハッキリわかる。細かな描写ではあるのだが、こうした描写の積み重ねが、映画の世界に入り込む臨場感を生み出している。
BAR 300はスピーカーとしての実力があるため、情熱的な歌が各所に入る「ラ・ラ・ランド」も観ていて楽しい。夕暮れの丘で歌うシーンでは、遠くに風な流れ、虫の声が公園を取り囲んでいるのだが、スッと歌が途切れた瞬間に、そうした小さな音が耳に入り、「ああ、ここは外の丘の上だったんだ」とわかる。虫の声もクリアで付帯音が少ないため、非常にリアル。映画の中ではなく、自分の家の外から虫の声が聴こえているのではと、一瞬錯覚してしまう。
Bar 5.0 MultiBeamには無く、新たに追加されて便利だった機能は「PureVoice」だ。もともと、10万円を超える最上位サウンドバー「BAR 1000」のために開発された技術で、それがBAR 300にも投入された。
映画などを鑑賞している時に、セリフを聞き取りやすくするものだ。実際に使ってみると、確かに、背後にエンジンの轟音が鳴り響く中で喋る主人公の声や、街中での会話シーンなどで、重要なセリフの音像がよりクッキリと明瞭になり、背後の音に埋もれずにハッキリ聴き取れるようになる。アクション映画などで特に重宝するだろう。また、セリフの音像の輪郭をカリカリに強調するような不自然さもないので、「これなら常用してもいいな」と思わせるクオリティだ。
このPureVoiceは、リモコン右上のスピーカーマークを5秒以上長押しし、次に「BASS」ボタンを押すことでON/OFFが切り替えられる。電源を落としても、次回の使用時に電源を入れると、PureVoiceは再度、自動的に有効になる。
付属リモコンは、シンプルだったBar 5.0 MultiBeamのリモコンから進化し、バーチャルDolby AtmosサウンドエフェクトのON/OFF切り替えボタンや、低温レベルを変更するBASSボタン、アプリでカスタマイした音楽プレイリストにアクセスできるハートマークのボタン、前述のキャリブレーション用ボタンも搭載。より直感的に操作できるようになった。
JBLのWi-Fi対応スピーカーがサブウーファー/リアスピーカーになる
ワンバーでも広がりのあるサラウンド再生ができるのはわかった。では、ここからステップアップするとどうなるのか、試してみよう。
前述の通り、BAR 300は、11月10日発売のWi-Fi/Bluetoothスピーカー新製品「JBL CHARGE 5 Wi-Fi」(33,000円)をリアスピーカーとして、「JBL BOOMBOX 3 Wi-Fi」(77,000円)をサブウーファーとして使用する機能が搭載されている。
注意が必要なのは、将来的には増加すると思われるが、現時点でBAR 300と連携できるのはWi-Fi対応スピーカーのCHARGE 5 Wi-FiとBOOMBOX 3 Wi-Fiの2機種だけ。既存モデルでWi-Fi非対応の「BOOMBOX 3」、「CHARGE 5」とは連携できない。また、リア用のCHARGE 5 Wi-Fiは、左右で2台必要だ。
連携方法は簡単。前述のアプリ「JBL ONE」で、既にCHARGE 5 Wi-FiとBOOMBOX 3 Wi-Fiを認識・登録してある状態であれば、「グループ作成」を選び、そこでBAR 300、CHARGE 5 Wi-Fi×2台とBOOMBOX 3 Wi-Fiを選べば、1つのグループとして登録できる。あとは自動でキャリブレーションがスタートし、最適な音で連携サウンドが楽しめるというわけだ。
実際にBOOMBOX 3 Wi-Fiをサブウーファーとし、リアにCHARGE 5 Wi-Fi×2台を並べて、「トップガン マーヴェリック」を再生してみたが、これが驚き。「本格的なホームシアターの音」がするのだ。
反響音やBGMが、背後に置いたCHARGE 5 Wi-Fiから流れ出すのだが、BAR 300内蔵ビームフォーミングスピーカーで反射した音よりも、リアルなCHARGE 5 Wi-Fiで再生した方が、音像の明瞭さや、音圧の豊かさが大幅に高まる。それによって、背後からも含めた、全体の方位感が高まり、臨場感がさらにアップする。
感心するのはCHARGE 5 Wi-Fiのレンジの広さだ。片手で簡単につかめる小さなスピーカーなので、聴く前は「大丈夫なのかな?」と心配になるが、見た目と裏腹に中低域がしっかり出せるパワフルさを兼ね備えているので、リアスピーカーとして使った場合でも、存在感がある。しかもバッテリー駆動のポータブルなので、スピーカーケーブルはおろか、電源ケーブルも不要な“真のワイヤレスサラウンド”が構築できている。これは凄い。
さらに驚くのはBOOMBOX 3 Wi-Fiの低音再生能力だ。BOOMBOX 3 Wi-Fiは、センターに長円形サブウーファー×1基(189×114mm/80W)、左右にミッドレンジ×2基(φ80.9mm/40W×2)、その同軸上にツイーター×2基(φ20mm/10W×2)の3ウェイ構成になっており、両端にはパッシブラジエーターを搭載し、低音再生能力を高めている。
迫力のあるサウンドが持ち味で、ホームパーティーや屋外のレジャーなどを想定したスピーカーだが、その強力な重低音サウンドは、ホームシアターのサブウーファーとしても十分通用する。
ダークスター離陸に向けて、どんどん盛り上がり、重厚になっていくBGMや、エンジンスタート時の爆音まで、お腹にビリビリと響くような低音がBOOMBOX 3 Wi-Fiから再生されている。「BOOMBOXシリーズとはいえ、ホームシアターのサブウーファーとして通用するの?」と半信半疑だったが、このサウンドには脱帽だ。
BOOMBOX 3 Wi-Fiが凄いのは、両端のパッシブラジエーターが大暴れするようなボリューム状態でも、筐体がビビったり、設置した床に振動が伝わっていない事だ。BAR 300自体は前述のようにクリアなサウンドが持ち味だが、それと組み合わせても、解像度の面で見劣りしない。そのため、BOOMBOX 3 Wi-Fiと組み合わせた状態でも、繋がりに不自然さは無く、自然に聴いていられる。BOOMBOX 3 Wi-Fi側も、筐体の剛性を高めたり、脚部を工夫して床に振動を伝えないなど、工夫した成果だろう。
YouTubeで聴くミュージックビデオやゲームも次元が違う音に
BAR 300だけに戻して、YouTubeアプリで音楽も聴いてみよう。
THE FIRST TAKEから「Aimer/カタオモイ」を再生したが、これも良い音だ。アコースティックギターの弦の描写が繊細で、細かい。Aimerが歌い出す瞬間のスッと息を吸う音まで明瞭に描写する。
同じくTHE FIRST TAKEから「鈴木雅之 - DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理」も聴いたが、ワンバーだけでも、鈴木雅之の声の低い部分はしっかりお腹から出ており、鈴木愛理のコーラスも広大に広がる。2chでも音楽に包み込まる感覚が十分に味わえ、楽しい。
映画だけでなく、ミュージックビデオやオンラインライブを楽しむスピーカーとしても活躍しそうだ。
PlayStation 5と接続し、人気のバトロワゲーム「Apex Legends」もプレイした。
テレビの内蔵スピーカーでは、どうしても音が痩せて、高音ばかりが目立ってしまうのだが、BAR 300で再生すると、まさに世界が変わる。
銃撃音も「ズドドド」と低い音がしっかり出せるため、迫力の次元が違う。音場も広いため、広大なフィールドを仲間と一緒に走り抜けている感覚が得られ、プレイがグッと面白くなる。
このゲーム内に「ランページ」という武器があり、テルミットグレネードというアイテムをその武器にドッキングすると、連射速度が上がるというシステムがあるのだが、「ブシュウーー!!」というチャージ音が、BAR 300で聴くと鋭くて、アツアツ感が高まる。連射速度がアップすると「ドドドド!!」という凄まじ連射音になるのだが、その重低音もキレキレで描写してくれる。さらに倉庫のような場所で戦えば、耳の近くで鳴る連射音と、その反響音に包み込まれ、まさにトリガーハッピー。気持ち良すぎて無意味に連射して撃ち尽くしてしまった。
ホームシアターを気軽に……だけではない魅力
映画や音楽の試聴後、テレビに接続しっぱなしで、数日間、夕飯を食べながらのテレビや、朝起きた時のニュース番組などを見ていたが、笑ってしまうほど生活が変わる。いや、テレビの内容は変わらないのだが、音が良くなると、聞こえ方がまったく変わるので、テレビへの意識の向け方そのものが変化する。
例えば、上杉謙信の強さの秘密に迫る歴史番組とか、普段は「へぇー」くらいのスタンスで眺めている番組も、BGMが重厚に沈み、SEが綺羅びやかに広がると「お、すごいな」と、ちょっと姿勢を正してじっくり見ようという気になる。ニュース番組でも、男性アナウンサーの落ち着いた声がしっかりお腹から出てくるため、説得力がアップしたように感じる。野球中継やバレーボール中継でも、観客席の歓声の広がり方で、会場の広さや臨場感が伝わってきて、よりドラマチックに楽しめる。細かな変化だが、QOLを上昇させるツールとしてもサウンドバーはアリだと感じる。
さらにBAR 300は、入門モデルとして楽しむだけでなく、BOOMBOX 3 Wi-FiやCHARGE 5 Wi-Fiと組み合わせ、より本格的なシアターシステムにステップアップする楽しみも備えている。ポイントは、追加で必要なスピーカーが、単品としても魅力的かつ、人気があるという事だ。
「サウンドバーをステップアップさせるために追加でスピーカーを買いましょう」だと、ハードルが高いが、「ちょっといい感じのWi-Fi/Bluetoothスピーカーが欲しいな」と思った時に、当然候補として入ってくるBOOMBOX 3 Wi-FiやCHARGE 5 Wi-Fiと連携できるというのは大きい。
例えば、リビングにBAR 300を置いて、子供部屋にCHARGE 5 Wi-Fi、お風呂場にもう1台CHARGE 5 Wi-Fiを設置。アウトドアで使うように車にBOOMBOX 3 Wi-Fiを積んでいる……みたいな家族の場合は、週末の映画鑑賞の時だけリビングにBOOMBOX 3 Wi-Fi + CHARGE 5 Wi-Fi×2を持ち寄り、映画を楽しんだ後に、またもとの場所に戻す……なんて使い方もアリだろう。
BAR 300は単体でホームシアターを身近にするだけでなく、本格シアターも、より気軽に楽しめるようにしてくれる、大きな可能性を秘めたサウンドバーと言えるだろう。