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さようなら銀座ソニービル、来年ソニーパークへ。It's a Sony展の後半が22日開幕

 東京・銀座ソニービル建て替え前のカウントダウンイベント「It's a Sony展」。その後半(Part-2)が2月22日よりスタートする。会場はソニービルの1階~4階(東京都中央区銀座5-3-1)、時間は11時~19時で、入場は無料。

第1弾には96万人が来場。今度は「未来」がテーマ

 1966年にオープンした現在の銀座ソニービルは、'17年3月31日をもって営業を終了。7年がかりのリニューアルプロジェクトを、2つのフェーズで実施。第1フェーズ(2018年~2020年)は、取り壊したビルの跡地をイベントスペースの「銀座ソニーパーク」として利用。公園のように自然の豊かなスペースとし、イベントを開催するほか、残された地下5階の空間は、ソニーグループのショールームや、飲食、物販スペースなどに活用される。

現在のソニービル

 2020年秋には、新しいソニービルの建設に着工。2022年秋に営業開始予定で、この2022年からが第2フェーズと位置付けられている。新しいソニービルも、イベントスペース、ショールーム、飲食、物販などに使われる。

リニューアルプロジェクトの流れ

 「It's a Sony展」は、2017年4月から予定されているソニービルの建て替えに先立ち、ソニービルが歩んだ50年の歴史と、今後の進化について紹介するカウントダウンイベント。'16年11月12日~'17年2月12日に前半(Part-1)が行なわれ、来場者数は96万人に達した。

 終了したPart-1は「歴史」をテーマに、日本初のトランジスタラジオ「TR-55」や初代ウォークマン「TPS-L2」、エンターテインメントロボット「AIBO」など、ソニー創業(1946年)以来の商品を展示する内容となっていた。

 22日からのPart-2は「未来」をテーマに、ソニービルの建築上の特徴である花びら構造を活かしたインスタレーションや、ライブやトークショーなどのイベントを展開。“都会の真ん中のパーク”を体感できる空間を作るという。

 ソニービルに入って階段を上がると、「ソニーパーク」のイメージを表現した模型が展示。銀座の中心とは思えないほど、自然の豊かな雰囲気が表現されており、開放的な空間が想像できる。ビルが建ち並ぶ中では逆に目立ち、待ち合わせにも分かりやすいかも知れない。

'18年のソニーパークのイメージ

 1階から4階までのフロアには人工芝を敷き詰め、2階から4階までの内部壁面には大規模なウォールアート(幅約120m、標高差約9m)を設置。この作品は1人のイラストレーターが手がけているもので、実は未完成。期間内に、そのウォールアートを仕上げている様子を見ることもできる。

実際に壁に描いている様子も見られる

 アートは白い壁に黒いペンで描かれており、その上に、プロジェクタを用いて映像を投写。実在する様々な建物や、人などが描かれている部分にプロジェクションマッピングのように色を付けたり、夕焼けなど時間の動きを表現。プロジェクタは全部で15台使用しており、平らなモノクロのアートに立体感を持たせたり、雰囲気を大きく変えるといった効果を持たせている。

プロジェクタの映像で、絵の雰囲気も大きく変わる
壁の絵にプロジェクタで投写

 このアートにもちょっとした楽しみがあり、様々な場所に小さく書かれたキーワードを探し、これを完成するとオリジナルステッカーがプレゼントされる。想像していたよりもキーワードは小さく書かれているため、すぐには見つけられなかったが、小さな子供と一緒に楽しめそうな仕組みになっている。

見つけたキーワードを書き込める用紙が配布される
プレゼントのステッカー

 建物の中央には、4階から2階まで連なる約35mの“パークの木琴”を設置。上層階から下層階にむけて階段状に設置された木琴に木の玉を転がすと楽曲が演奏されるインスタレーションとなっており、一定時間ごとに演奏される。曲はルイ・アームストロングの「What a Wonderful World」で、静かな館内にアコースティックな音が響く。ボールは約2分がかりで下に転がっていくため、曲の最初から最後までは聴けないが、思わずボールを追いかけて聴き続けたくなるような仕掛けになっている。

“パークの木琴”から音が流れる。玉を転がすのはスタッフで、来場者は転がすことはできないようだ
パークの木琴

 上層の4Dフロアには、ソニービルや、歴代商品をオリジナルラバーストラップにしたカプセルトイコーナーもPart-1に引き続き設置。ラバーストラップは毎月5種類のデザインが入れ替わる。1回 500円で、1人1日1回となる。そのほか、「DAVID BOWIE is ~プレミアム・トークショー~」などの様々な館内イベントも行なわれる予定。

カプセルトイのコーナー
22日からのストラップ。スカイセンサーや、AIBO、初代PlayStationなど

 この他にも、期間中には各フロアでちょっとしたイベントが用意され、大道芸人が登場したり、音楽ライブや、ウォールアート制作に参加するワークショップなども計画しているという。イベントは週末などを中心に行ない、どんなイベントがあるかはIt's a Sony展のサイトで案内される予定だが、詳細は“来てからのお楽しみ”となりそうだ。

これまでの「銀座ソニーパークプロジェクト」のイベントの模様などがまとめられた新聞風のフリーペーパーも配布。会場でしか入手できないという

“銀座の庭”から“公園”へ。ソニーの変化を体現する器に

 1Dから4Dまでのフロアを見回ると、“展示物の数”として見ればかなり絞られており、フロアによっては、ほぼベンチだけのようなスペースもある。過去のソニー製品が所狭しと並んでいたPart-1へ来た人にとっては、Part-2での変化に驚きそうだ。Part-1のように展示物を見るというよりは、壁のキーワードを探したり、シールを貼ったりといった、来場者が参加する形の企画が多い。ただ、座れるだけのスペースも多いので、こうした企画に参加しない人も、好きなように時間を過ごせそうだ。

壁に描かれた木に、様々な形の葉のシールを貼れる場所

 壁一面に描かれたアートは、東京や横浜、ニューヨークなどの都市にある有名な建物をモチーフにしたものが多いが、その配置は自由で“想像上の場所”のような空間。見覚えのあるいくつかの風景が、一つの空間のように同居して描かれたり、プロジェクタで彩られることで全く別の場所のように変化するなど、自然に“次を見たくなる”気持ちになり、見飽きない。

よく見ると、ゴーストバスターズのような人もいた

 ソニーPCL コーポレートサービス事業部 プロデュース部 スペースクリエイション課 プロデューサーの小塚悠介氏は「ソニーの新しいプロダクトのように、('18年からの)ソニーパークに対してもワクワクしてもらいたいのが一番。プロダクトはほとんど置かずに、いろんなものがあっていいというパークのように、“余白”を作った。変化も楽しんでいただける」とその意図を説明。

ソニーのブランドデザインプラットフォーム GSPプロジェクト室の佐々木康浩氏(左)と、ソニーPCL コーポレートサービス事業部 プロデュース部 スペースクリエイション課 プロデューサーの小塚悠介氏(右)

 ソニーのブランドデザインプラットフォーム GSPプロジェクト室の佐々木康浩氏は、「ソニー自体が変化し続けるところがミッション。変化し続けることを、ソニービルがどうやって体現する器となるか考えた時に、“建物”では難しい部分もある。2022年の新ソニービルも“パークを上に持ち上げる”のがコンセプト。パークには、その可能性があり、挑戦でもある」という。

 「盛田(創業者の盛田昭夫氏)がソニービルを建てた時に“銀座の庭”と表現したように、開かれた庭をより大きな“公園”としていくという、継承の意味もある。銀座の入り口としても機能していけばと考えており、ここが最終目的地ではなくても、『何か起こっているかもしれない』と感じていただける場所になれば」としている。