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画面スピーカーと音声検索、Android TVでテレビに新たな価値を。BRAVIA A1登場

 ソニーは8日、4K有機ELテレビ「BRAVIA A1シリーズ」など有機EL/液晶テレビ「BRAVIA」新製品を発表した。BRAVIA A1は、4Kテレビとしてはソニー初の有機EL採用となり、2007年の「XEL-1」以来10年ぶりのソニー有機ELテレビとなる。65型の「KJ-65A1」と55型「KJ-55A1」の2モデル展開で、店頭予想価格は65型が80万円前後、55型が50万円前後。BRAVIA A1シリーズの詳細は別記事で紹介している

日本唯一のグローバルテレビブランド。ソニーならではの有機EL

 ソニー 執行役 EVP ホームエンタテインメント&サウンド事業担当、コンスーマーAV セールス&マーケティング担当の高木 一郎氏は、世界的な視点でのソニーテレビ事業のポジションについて説明。IHS調査による4K/55型以上のテレビにおけるブランド別シェアは11.6%で3位で、「日本メーカーでは圧倒的ナンバーワンで、唯一グローバルでテレビ事業を展開しているブランド。プレミアム戦略を軸に、常に新たな業界のトレンドを作り出している。商品開発力、パネル調達力などの基本的な競争力において、今後も業界をリードできるプレミアムブランドとしての絶好のポジションに立てている」と語った。

ソニー 執行役 EVP 高木 一郎氏
日本唯一のグローバルテレビメーカーをアピール

 プレミアム戦略を軸に、国内4Kテレビ市場をリードしたBRAVIAだが、'17年も「商品戦略の軸は不変。高画質・高音質の臨場感、デザイン、使い勝手のそれぞれを進化させ、画・音一体の最高の視聴体験を提供する」と言及、高画質プロセッサの「X1 Xtreme」や有機EL、液晶バックライト駆動などの技術蓄積をアピールした。

ソニーの独自技術

 '16年発売の液晶最上位モデル「BRAVIA Z9D」と並ぶ、有機EL最上位モデルとして追加されるのが「BRAVIA A1」。高木氏は、有機ELマスターモニター「BVM」で培ったノウハウに「X1 Xtreme」などのBRAVIAの映像技術を融合しただけでなく、同社の「サウンティーナ」、「グラスサウンドスピーカー」における有機ガラスを使ったスピーカー技術などを組み合わせて、“画面が鳴る”「アコースティックサーフェイス」を搭載したことを強調。「ソニーの技術を結集したBRAVIA A1」をアピールした。

ソニー有機ELのノウハウ
ソニーの技術を組み合わせ

 HDRについては、「Netflixやアマゾンプライムビデオ、スカパー! 4K、ひかりTVなどに加え、Ultra HD Blu-rayも続々発売されている。PS4 Proのゲームソフトも拡大する。いよいよ本格的な4K HDR時代が来た」と説明。「HDRが増え、スポーツインベントも目白押し、ぜひ4K BRAVIAで楽しんでほしい」と語った。

65型の「KJ-65A1」

Android TVとネット連動が武器に。音声検索は68%が利用

 ソニーマーケティング 代表取締役 社長の河野 弘氏は、2016年度のテレビ販売において、4Kテレビが金額ベースで50%を超え、国内市場の金額シェアではソニーが4年連続ナンバーワンであることを紹介。「ソニーはいち早く、4Kテレビ市場を創造し、牽引してきた。そこをさらに活性化するものが、有機ELテレビ『BRAVIA A1』」と説明した。

ソニーマーケティング 河野社長

 新BRAVIAの特徴は、「圧倒的な高画質・高音質」と「Android TV機能による新しい楽しみ方」の2点を挙げる。画質・音質については、没入感の高さや黒表現力の高さによる究極のコントラストとリアリティ、映像から直接出る音をアピール。

4Kテレビ市場における量販店販売実績
2017年のチャレンジ

 特にアコースティックサーフェイスによる「画面そのものがスピーカーになる」特徴については、実際に音を出し、アクチュエータの動作などを紹介。「画と音に一体感がある。より被写体に近い位置で音が鳴り、没入感を高めている」とした。

 加えて、2017年に強くアピールする点が「Android TV」。ソニーのAndroid TV搭載BRAVIAは「インターネット接続率が70%を超えている」という。従来のテレビより大幅に高いネット接続率となっており、ユーザー調査においても、音声検索の便利さやCast機能、さらにアプリ追加により「進化する」点が支持されており、「BRAVIAはネット接続が当たり前」と語る。

 河野氏によれば、Android TVユーザーは「テレビ視聴時間が10時間伸びている」という。この“伸び”を支えるものが、YouTubeやNetflixといった映像配信など、ネットワークサービス。「従来のテレビの枠組みを超えた、新しい楽しみ方が出てきている。ネットワークでユーザーの楽しみ方が広がっている。Android TVに確かな手ごたえを感じている」と語る。

 その中でも、強くユーザーに支持されているのが「音声検索」。リモコンの音声検索ボタンの利用率は68%('16年秋発売のAndroid TV搭載BRAVIAのデータ)で、音声検索ボタンの月平均利用回数は46.2回。「1日1回以上使われている。目的に応じた検索は“音声”で行なわれる」とし、新BRAVIAでも重点的に強化した。

 新しいBRAVIAでは、音声検索による番組の視聴/録画予約にも対応。「『週末の音楽番組を録画したい』と話しかければ、番組の録画候補が表示され、決定するだけで録画予約が完了する。さらに、ネットワーク内のBDレコーダの録画番組も音声で検索できる」と説明。河野氏は「圧倒的な高画質・高音質というテレビの基本性能に加え、簡単に検索し、視聴・録画できる、ゲームや知育アプリも楽しめる素晴らしいテレビになっている。テレビの概念を変える新しい製品」と語り、「テレビを『見る』から『楽しむ』へ」をキーワードにテレビの新しい使い方を積極的に展開していく。「これから買うテレビはこういうテレビ。テレビの魅力を改めて提案していく。買い替え需要の促進だけでなく、テレビ産業の再発展につなげたい」とした。

ソニーエグゼクティブは「Z9D」と「A1」どっちを選ぶ?

 BRAVIA A1の販売目標は明らかにしていないが、ソニーグローバルの販売目標は、「この3年間、1,200万台/年は変えていない。台数は据え置くが、構成比はプレミアムモデルを高めていきたい。ローエンドの強化は考えていない。しっかり利益率を確保しながら、市場拡大していく。ある程度数を限定し、価値をお届けするのが基本姿勢」(高木氏)とした。

55型「KJ-55A1」

 新BRAVIAでは、液晶の「BRAVIA Z9D」と有機ELの「BRAVIA A1」の2つの4K BRAVIAフラッグシップモデルが併存することになる。高木氏と河野氏は、「どちらを導入したいか? 」と聞かれると、高野氏は「リビングにはZ9DをプライベートルームにはA1。明るさはやはり液晶のZ9Dだけれど、映画はA1でひとりでじっくり見たい」と回答。河野氏は「私は2台は置けないので(笑)、A1を持ちたい。なぜかというと、ここには新しい提案があるから。Z9Dは『ソニーの最高画質』という看板がある。ただ、A1には、画質に加え、佇まい、そして画面から音が鳴るというデザインの要素がある。『テレビが進化する』という提案と魅力がある。だからA1を使いたい」と語った。