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ド肝を抜かれる超高画質、ソニーの440型、8K Crystal LEDでW杯を見てみた

 ソニーの440型、8K Crystal LEDディスプレイシステムを使った「2018 FIFA ワールドカップ ロシア」の8Kスーパーハイビジョンパブリックビューイングを、NHKが7月14日~16日にかけて、東京・渋谷の渋谷ヒカリエホール ホールBで開催する。入場は無料。開催に先駆け、8K Crystal LEDディスプレイシステムの映像を体験した。

440型、8K Crystal LEDディスプレイシステム

 Crystal LEDは、微細なLED素子を配列した画素を、画素ごとに駆動させる自発光のディスプレイ方式。高コントラスト、広色域が特徴であるほか、高速動画応答性能にも優れており、最大120fpsでの表示が可能。

 ディスプレイユニットとディスプレイコントローラーを組み合わせ、設置スペースや演出意図に応じた任意のサイズを構成できるのも特徴(440型では288個のユニットを使用)。ソニーPCLが、世界初となるレンタルサービスを4月からスタートしており、8K4K(7,680×4,320ドット)の440型構成を基本とし、イベントやプロモーション、ショールームや展示施設などへの導入を想定。今回はNHKのワールドカップ8Kパブリックビューイングに、このシステムが採用された形となる。

 会場となる、渋谷ヒカリエホール「ホールB」に足を踏み入れると、奥の壁ほぼ一面といっていいサイズに8K Crystal LEDディスプレイが設置されており、ド肝を抜かれる。まずインパクトが強いのが“明るさ”だ。輝度は最大1,000nits。太陽の光のきらめきなどが鮮烈で、現実に太陽を見上げた時のように目を細めてしまうほどまばゆい。それでいて暗部の描写力も高く、非常にリアルな映像だ。ディスプレイが置いてあると言うより、ホールの奥の壁を取り払って、現実の風景が見えているような感覚すら覚える。

 ワールドカップの映像は、8K×4K解像度、フレームレートは60pで表示。スタジアムには強い陽の光が射し込んでおり、観客席はその反射で目をほそめるほど明るい。それでいて、選手が走っているピッチは手前側が影になっており、暗い。だが、暗部の中でも芝生の輪郭は細かく解像されており、明部から暗部にかけてのグラデーションも豊かだ。

 日本 VS コロンビア戦では、カルロス・サンチェス選手のハンドにより、日本代表がPKを得たが、そのシーンもリアリティがスゴイ。審判のもとに集まる選手たちの、緊迫した表情、肌の質感、流れる汗が細かく見える。触ってもいないのに、着ているユニフォームが「つるつるしていそう」だとわかる。ユニフォームに縫い付けられたワッペンの周囲の、縫い目まで見えて思わず笑ってしまった。

 ワールドカップ以外のデモ映像も鑑賞したが、綺羅びやかなリオのカーニバルでは、装飾の光沢、群衆の細かな描写に圧倒される。驚いたのは、風景の映像で太陽の光が画面上部から射し込むシーン。8K/440型の場合、画面サイズは横約9.7m、縦約5.4mと見上げるほど大きいのだが、Crystal LEDらしい強烈な光が上部から表示されると、“本当に屋外で太陽に照らされている”ように体が錯覚し、おでこのあたりがカーッと熱くなってくる。クーラーの効いたホール内にいるにも関わらずだ。VR映像を体験すると、現実には存在しない人の気配を皮膚に感じる事があるが、あの感覚に似たものがある。

画面にかなり近づいたところ
側面

 圧巻は、レースゲーム「グランツーリスモSPORT」の8K×4K/120p映像。夕日の光と、それがアスファルトに反射する強烈な光の中を、猛スピードで疾走するスポーツカー。ドライバー視点の映像だが、強い光の中でも、前の車の黒いタイヤの動きや、流れる周囲の森の奥など、暗い部分の映像もしっかりと情報として描かれている。

 これだけ大きな画面で、ドライバーズ視点の映像を見上げていると酔ってしまうのではと心配したが、120pの映像は非常に滑らかで、なおかつコントラストの高いキレの良い映像であるため、まったく気持ち悪さを感じない。むしろ爽快で、画面の中に入り込み過ぎて、カーブで思わずブレーキを踏みたくなって右足が突っ張ってしまった。

「グランツーリスモSPORT」の8K×4K/120p映像

「よりパブリックな場所に展開して“あれは何?”と言われたい」

 この440型、8K Crystal LEDディスプレイシステムは、米ラスベガスで4月に開催された「国際放送機器展NAB 2018」で初公開された。それ以前にも、Crystal LEDディスプレイとしては、既に4K×2Kサイズなどが存在していたが、8K/440型のインパクトと反響は桁違いに大きなものだったという。

 ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズのプロフェッショナル・ソリューション&サービス本部 CLED事業室の鈴木徹事業室長は、「以前から、Crystal LEDの露出度を高め、レンタルシステムとして訴求するためには、最高の8K×4Kで行ないたい、そして一番目立つ展示会でデビューさせたいと考えていました」と振り返る。

ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズのプロフェッショナル・ソリューション&サービス本部 CLED事業室の鈴木徹事業室長

 展示する前は、「8Kで大きなサイズになっただけでしょ? なんて反応が多かったのですが、実際に8K、440型の展示をしたところ、皆ド肝を抜かれて“今までとぜんぜん違う”と、非常に良い反響をいただきました。その場に、パブリックビューイングを8K化していきたいと考えていたNHKの技術者の方もいらっしゃっていて、すぐにこのシステムを8Kの出口(表示機器)の1つとして使わせて欲しいというお話になった」という。12月の新4K8K放送スタートに向け、8K映像の魅力を広めていきたいNHKと、8K映像を超高画質で表示できる8K Crystal LEDディスプレイを訴求したいソニーの目的が合致し、今回のパブリックビューイングが実現したというわけだ。

 鈴木氏は8K Crystal LEDディスプレイの今後について、「より多くの方に、この映像体験をしていただきたいという気持ちです。人目につくところ、よりパブリックな場所に展開して“あれは何?”と言われたいですね。また、ソニーの技術を使い、この映像にマッチするサウンドを再生できるシステムも手がけていきたい。(Crystal LEDを)最終的には家庭に持っていきたいですが、そこにはまだ時間がかかりますので、海外も含め、まず認知度を上げていきたいと考えています」。

パブリックビューイングは7月14日~16日

 会場は渋谷ヒカリエホール ホールB(東京都渋谷区渋谷2-21-1 9F)。各日の実施スケジュールと内容は後述する。15日午後11時45分~の決勝ライブ中継以外は入場自由。しかし、16日(月・祝)午前3時~の準決勝は深夜実施のため、保護者同伴であっても18歳未満は参加できない。決勝ライブ中継は観覧申し込みが必要だが、申し込みは既に終了している。

  • 7月14日(土)
    午後2時~準決勝(録画)
    午後4時30分~準決勝(録画)
  • 7月15日(日)
    午前11時~準決勝(録画)
    午後1時30分~準決勝(録画)※5.1ch
    午後4時~3位決定戦(録画)※5.1ch
    午後8時30分~準決勝(録画)
    午後11時45分~ 決勝(LIVE)※要事前申し込み
  • 7月16日(月・祝)
    午前3時~準決勝(録画)
    午前10時30分~決勝(録画)
会場は渋谷ヒカリエホール