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新レンズ+1型センサーで4K360度動画も高画質化「RICOH THETA Z1」

リコーイメージングは、新レンズユニットと1型センサーを搭載して高画質化を図り、4K全天球動画も撮れる360度カメラ「RICOH THETA Z1」を3月下旬より発売する。価格はオープンプライス。直販価格は117,500円。カラーはブラック。

THETA Z1を手にしたところ

2月28日からパシフィコ横浜で開催される、国内最大級の写真映像関連イベント「CP+ 2019」リコーイメージングブースにおいて、THETA Z1を先行展示する。

THETA Z1を持つ、リコー THETA事業部事業部長の藤木仁氏

ワンショットで360度動画/静止画撮影ができるTHETAシリーズの上位モデル。4K解像度(3,840×1,920ドット/30fps)の動画撮影性能などを既存の「THETA V」から引き継ぎつつ、ユーザーからの要望が多かったという、静止画撮影時の高画質化と、撮影機能の強化を実現。

新規開発のレンズ+センサーユニットを前後に搭載

コンシューマー向けの360度カメラで最大級となる、1.0型裏面照射型CMOSセンサーを2基搭載。有効画素数は約2,000万画素で、約2,300万画素相当の高精細360度静止画を撮影できる(THETA Vは1/2.3型12メガピクセルCMOS)。

新型レンズユニットのモックアップ。下部の四角い部分が1型センサー
1型と1/2.3型のセンサーサイズの比較

新型レンズユニットは独自の三回屈曲構造技術を採用し、イメージセンサーを大型化しながら厚さ24mmという薄型ボディを実現。新たに多段階の絞り機構を搭載し、F値をF2.1、F3.5、F5.6の3段階から選べるようにした。ゴーストやフレア、パープルフリンジを効果的に抑制するという。動画撮影時には電子式の回転3軸補正による手ブレ補正が利用できる。

独自の三回屈曲構造技術を採用。下部の対になっている四角いパーツが1型センサーで、薄緑の三角形・四角形パーツがプリズム。丸いのはTHETA Z1のレンズ
THETA V(左)よりもTHETA Z1(右)のレンズ部が大きい

画像処理アルゴリズムを一新。低感度から高感度まで低ノイズで解像感の高い画像が得られるようにしており、暗所や夜間の星空撮影時などでの高感度撮影性能を強化。また、通常撮影時は自動でダイナミックレンジ補正を行ない、屋外など明暗差のある場所で白飛びを抑える。

ボリビア・ウユニ塩湖で星空を360度撮影した、写真家の谷角靖氏の作品
同じく写真家の谷角靖氏の作品。夕暮れの繁華街を撮っても明るい街の光と暗い箇所を綺麗に写し取れている

シャッタースピードは最速1/25,000秒。最高ISO感度は6400。ノイズレベルは、従来のISO800とTHETA Z1のISO1600のノイズがほぼ同等で1段分ほど改善したとする。

静止画の記録形式は、JPEGに加えて新たにRAWファイル形式にも対応。解像度は、JPEGが最大6,720×3,360ドット、RAWが7,296×3,648ドット。

THETA Z1の作例(静止画)

無線LANとBluetooth機能を搭載。全天球のコンテンツはFacebookやLINE、InstagramなどのSNSにアップロード可能。YouTubeの360度動画や、Google Mapsへアップロードできる。

センサーとレンズユニットを強化したことで、暗い場所での動画撮影性能も向上したとする。動画記録モードは、4K/3,840×1,920/29.97fps/56Mbpsと2K/1,920×960/29.97fps/16Mbps。4K動画の1回の撮影時間は最大5分で、約40分記録可能。2K動画は最大25分/回、約130分。ファイル形式はMP4(MPEG-4 AVC/H.264)。音声は4chマイク内蔵で360度音声記録に対応し、モノラル録音時がAAC-LC、4ch空間音声時がリニアPCM。

USBからの4K動画のリアルタイム出力にも対応し、PCや高速なインターネットを利用することでライブストリーミング配信が行なえる。ライブストリーミング時の画質は4K/3,840×1,920/29.97fps/120Mbpsと2K/1,920×960/29.97fps/42Mbpsで、音声はリニアPCM。

ボディ素材には軽量で堅牢性の高いマグネシウム合金を採用。表面にシボ塗装を施して「最上位機種にふさわしい上質な質感」とした。

前面に0.93型有機ELディスプレイを搭載し、カメラ単体で電池残量や撮影モード、撮影残り枚数、F値やISO感度値などの撮影情報が一目で確認できるようにした。

側面に電源ボタン、無線LAN/Bluetoothボタン、Modeボタン、Fn(ファンクション)ボタンを装備。Fnボタンで有機ELパネル表示の切り替えや「通常撮影」と「セルフタイマー撮影」の切り替え、3種のプラグインの切り替え、消灯・消音モードへの切り替え等が可能。

側面に電源ボタン、無線LAN/Bluetoothボタン、Modeボタン、Fn(ファンクション)ボタンを装備

内蔵メモリーの容量は約19GB。スマホ/タブレット用アプリ「THETA+」との連携をコンセプトのひとつとして開発しており、microSDカードなどの外部メモリーを使ったストレージ拡張には対応しない。

外形寸法は48×132.5×29.7mm(幅×高さ×厚み)で、レンズ部を除く厚みは24mm。重量は182g。底面にはUSB 3.0対応のUSB Type-C端子と、金属製の三脚用ネジ穴を備える。

THETA Z1の本体底面(右)。左はTHETA V

シリーズ最高画質のTHETA Z1、「360度は表現の領域へ。」

THETA Z1は、THETA Vと同様のクアルコム製「Snapdragon」プロセッサとAndroidベースのシステムを搭載し、ファームウェアアップデートによる機能拡張・性能向上や、プラグインによる機能拡張も利用できる。

発表会にはTHETA Z1のスケルトンモデルが展示されていた

デフォルトで360度映像の「リモート再生機能」プラグインを搭載し、対応するワイヤレスディスプレイアダプターを介してカメラ内に記録した360度静止画/動画データをミラーリング再生できる。

さらに、3月には新プラグイン「Time-shift Shooting(レンズ別時間差撮影)」をリリース予定。2つのレンズで撮影タイミングをずらすことで、撮影者が物陰に隠れたりせずに“撮影者の映り込み”を避けられるようになるという。純正プラグイン以外にも、「RICOH THETA プラグイン パートナープログラム」で開発されたサードパーティ製プラグインも利用できる。

スマホアプリにも改良を加え、近日中にアプリからTHETA Z1と簡単に無線接続できるようにするという。

このほか、THETA Z1で撮った360度静止画のRAWデータをAdobe「Lightroom Classic CC」でスティッチングできるプラグインアプリ「RICOH THETA Sticher」を無償提供予定。RAWデータを現像した後、プラグインで繋ぎ目の見えない全天球画像を生成できる。天頂補正や方位補正、スティッチング時の距離指定の詳細も変更可能で、一眼レフカメラで撮ったRAWのように本格的な色味などの編集ができるようになるという。

Lightroom用のプラグインアプリ「RICOH THETA Sticher」

リコー 執行役員Smart Vision事業本部事業本部長の大谷渉氏は、製品発表会の中でこれまでのTHETAシリーズの歩みを振り返り、「(エントリーモデルから上位モデルまで)同じフォルムだが中身を進化させ続け、360度カメラのトップブランドを確立してきたと自負している。360度の新しい映像の作り方、見せ方をつくるといった、映像文化の発展の一端を担ってきた」とコメント。

リコー 執行役員Smart Vision事業本部事業本部長の大谷渉氏(右から2人目)

THETAシリーズの最上位モデルとなる「THETA Z1」の開発テーマは「品質への追求」。シリーズ最高画質を謳い、パンフレットには「360度は表現の領域へ。」をキャッチコピーとして掲げる。

THETAユーザーから最も要望の多かった、「もっと綺麗で美しい映像を撮りたい」という声に応え、「我々カメラメーカーとしての『プライド・誇り』と『遊び心』。この2つを新製品に込め、カメラメーカーとしての挑戦というかたちで、エネルギーを込めて作った。ぜひそのあたりを実際に触って感じていただきたい」(大谷氏)。なお、既存のTHETAシリーズも引き続き現行機種として展開していく。

THETA Z1(中央)と既存のTHETAシリーズ