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8K有機センサー搭載カメラ、8K/HDR 55型モニター、HEVC対VVC。Inter BEE注目展示
2019年11月14日 07:30
幕張メッセで11月15日まで開催中の国際放送機器展「Inter BEE 2019」。パナソニックやキヤノン、Blackmagic Designなどのブースで展示されている注目製品や技術をレポートする。
なお、ソニーブースの展示や、NHKとシャープが共同開発したフレキシブル有機ELディスプレイについては別記事でレポートしている。
パナソニックは8K有機センサーの多用途カメラや肩のせ4Kカメラ
世界初という8K対応有機センサーを採用したカメラシステムも披露した。8Kマルチパーパスカメラ「AK-SHB810」と、イメージプロセッシングユニット「AK-SHU810」で構成。8K/HDRの映像を、約4kgのカメラヘッド部で撮影可能にする。受注生産モデルとなる。
Super 35mmの単板有機センサー搭載で、PLレンズマウントを採用。8K/4K/HDのサイマル出力に対応する。グローバルシャッター対応で歪みに強いほか、電子NDフィルター搭載で無段階の感度設定が行なえ、撮影の自由度が向上するという。
12月に発売する、放送用肩のせ4Kカメラの新モデル「AJ-CX4000GJ」も披露。価格は270万円。1,114万画素イメージセンサーを搭載し、オーバーサンプリングによる4K/HDR(HLG)撮影に対応。4K/10bit映像をビットレート約100Mbpsで長時間収録できる。IP接続も可能で、HDダイレクトストリーミング機能を使った各種ライブ配信もサポートしている。
キヤノン「C500 Mark II」披露、55型8K/HDRモニターも
CINEMA EOS SYSTEMの新モデルとして、5.9KフルサイズCMOSセンサーと新エンジンDIGIC DV 7を搭載した「EOS C500 Mark II」を展示。12月下旬発売で、想定価格は176万円前後。様々なレンズと組み合わせてブース内で操作できるコーナーを用意している。
内部RAW記録(Cinema RAW Light)や4:2:2 10bit記録(XF-AVC)に対応。フレシキブルなマウントシステムを採用し、EFマウントとPLマウントをユーザーが交換できるのも特徴で、別売拡張ユニットで用途に応じたシステム構成ができる点もアピールしている。
モニターは、スタジオやグレーディングルームなどで、複数人で映像を確認できるという55型8K/HDR対応モデルを参考出展。自社開発映像処理エンジンにより、色精度や階調精度、均一性を高めた。HDRを実輝度でカバーできるという点も特徴で、最高輝度は全白1,000cd/m2、コントラスト比は20万:1以上。
クロマキーを使わず通常のスタジオセットで高度な演出が行なえる、エム・ソフトのリアルタイム映像合成システム「RayBrid KeyMaker」を使ったシステムをデモ。遠隔地からのライブ映像とスタジオ内の人物を合成した、中継ニュースのような演出ができる点などを紹介している。
小型6Kシネマカメラ、次世代映像コーデックVVC、新人VTuber
Blackmagic Designは、6K(6,144×3,456ドット)/50fpsの撮影ができる小型シネマカメラ「Pocket Cinema Camera 6K」(283,800円)を展示。Super 35mmセンサー搭載で、13ストップのダイナミックレンジをサポート。USB Type-C拡張ポートを備え、外付けディスクへの収録もできる。
また、このカメラに装着できるバッテリーグリップ(27,980円)も展示。2個のLシリーズバッテリーを使用可能で、Pocket Cinema Camera 6Kに装着すると2時間以上の撮影が可能になる。収録用の外部ディスクなどへの給電も可能。
NECブースでは、地上テレビ高度化に向けた技術として、HEVC比30%の圧縮効率改善を実現するという次世代映像符号化のVVCを参考展示。2020年7月の標準化が見込まれている。地上波放送での採用に向けて開発や実証実験を進めている。
Inter BEEには、デジタルコンテンツなどの展示も多く行なわれている。タケナカ/シムディレクトのブースでは、VTuberの出演するスペシャルライブステージのシステムをデモ。ディスプレイで円柱も作れるというカーブLEDや、立体音響などを組み合わせたもので、今回のステージには“さみしがりVTuber”の新人「りむ(RIM)」が登場。カードを使ったマジックなどを披露した。