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取り付けるだけで頭外定位を実現するというイヤーピース「JIJU」

東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックが主催する「ポータブルオーディオ研究会(ポタ研) 2020冬」が、2月8日に中野サンプラザで開催された。各社が新製品や開発途中の試作機などを出展するイベント。ここではLIZER LABやトップウイングのブースをレポートする。

中野サンプラザ

頭外定位を実現するというイヤーピース「JIJU」

イヤフォンのイヤーピースの中に、フェーズプラグを組み込むことで頭外定位を実現するというユニークなモデルが、LIZER LABブースに登場した「JIJU」だ。昨年の11月からAmazonで販売しており、価格は4,280円~。

頭外定位を実現するというイヤーピース「JIJU」

通常のイヤーピースと逆向きに、ラッパのような形で取り付けるもので、内部中央にステンレス製のフェーズプラグが配置されている。また、よく見ると、傘のシリコン部分に小さな穴があいている。

よく見ると、傘のシリコン部分に小さな穴があいている
ピースの断面

この「JIJU」を使うことで、通常のイヤフォンで問題となる、外耳道との密閉性悪化による低音不足や漏れ、位置差による違和感、固有値共振によるノイズ感、共鳴管現象による音質劣化、左右相互間の音伝達の遮断などを解決するという。

さらに、前述のカップの小さな穴は、低音不足にならないような小さなサイズとしながら、これを使って前方に出音を発生させ、耳介で集音した音を同じ孔から聴取出来るようにし、頭外定位(前方定位)を実現するという。

実際に使ってみると、確かに音場が広くなり、音像が頭の中央に集中する頭内定位の違和感が少なくなる。会場では穴の無い特別なモデルも用意。穴のある/なしによる、聴こえ方の違いも体験できるようになっていた。

トップウイング

トップウイングのブースでは、取り扱うiFiの新製品として、同社史上最小というポータブルアンプで、DACも搭載した「hip-dac」を展示していた。今春の発売予定で、価格は18,000円を予定している。

ペトロールブルー(緑がかった青色)に銅をあしらった筐体は、スキットルをイメージしているという。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットとの接続も想定。DAC部分には、バーブラウンのチップを採用。

データは、PCMが384kHzまで、DSDは12.4MHzまでサポート。DXDにも対応するほか、MQAのレンダラーとしても動作する。ロータリー式ボリューム・コントロールの両側にLEDを搭載しており、再生中のファイルのフォーマットとサンプリングレートに応じて色が変わる。

幅広くクロック・ロッキングを行なうことで、ジッターを根絶。iFiのGMTフェムト精度のクロック・システムを使用し、デジタル信号の純度をアナログ変換まで維持するという。また、USBインターフェイス用XMOSチップ向けに、iFiが独自に作成したファームを使用している。

アンプ回路はバランス設計。iFiの技術顧問を務めるジョン・カール氏がこだわる部分で、トルステン・レッシュ氏が率いるiFiの社内テクニカル・チームと密接に活動、「この種の機器では例外的なほどの品質を持ったアナログステージを生み出した」という。

iFi特製のOVオペアンプ、TDKのC0Gクラス1セラミック・キャパシター、テキサス・インスツルメンツの高精度低ノイズ電源IC、高品質なアナログ・ボリューム・ポテンショメーターなども採用。

ヘッドフォンアンプ出力は公称値が400mW。ゲインの切り替え機能も備えている。出力は2系統装備。シングルエンド用に3.5mm、バランス用に4.4mmを採用。3.5mmの出力も、専用のS-バランス回路を搭載する事で、クロストークや歪みを半減させているという。2,200mAhのバッテリーを搭載。8~12時間の再生が可能。

AROMA「ACE」

AROMAのハイエンドモデルとして発表されている「ACE」も展示。価格が62万円の予定で、春に発売するという。

MUSIN

MUSINブースでは、SHANLINGの新製品として1月末に発売されたばかりの、Bluetoothレシーバー「UP4」を紹介。実売は12,980円前後(税込)だ。

新機能として、2.5mm4極ジャックを利用したバランス出力、2段階のゲイン調整、4種類のデジタルフィルター設定、シングルエンド(ステレオミニ)接続時の駆動DAC数の切替機能を追加。

スマートフォンなどとワイヤレスで接続。出力端子としてステレオミニジャックも備えており、2.5mmのバランス出力にも対応。ユーザーが持っているイヤフォンを接続し、ワイヤレスイヤフォンとして使えるようになる。

Bluetooth 5.0に準拠。コーデックはSBC、AAC、aptX、aptX LL、aptX HD、HWA LHDC、LDACをサポートする。BluetoothのチップはQualcommの「CSR8675」を採用。接続安定性を高めている。

DACチップは、ESS ES9218Pを2基内蔵。「電力効率が良い一方で、高い解像度やクリアでパワフルな出力を実現」としている。S/N比は120dB、歪率は0.003%。Dual DACモードは3.5mmシングルエンド出力時でも選択できる。Low、Highの2段階のゲイン調整機能と、音質を変化させる4つのデジタルフィルター「ナチュラルサウンド」「モニターサウンド」「メロウサウンド」「ウォームサウンド」も搭載する。

また、iBasso Audioの新イヤフォンとして「IT00」も参考出品。7,000円ほどを予定しているというエントリーモデルで、「IT01」からコストダウンを図りつつ、高い音質は維持しているという。ダイナミック型ドライバー×1基を搭載する。

「IT00」

また、iBassoのポータブルプレーヤー用の交換アンプモジュールの限定モデル「AMP8-EX」を紹介。このモジュールは「AMP8」とは異なり、海外のヘッドフォン・ファン・コミュニティ「Head-Fi」のメンバーであるWhitigir氏が、独自に改造したAMP8のMOD版をiBasso社自身が限定的に製造したモデル。

違いとしては、全てのタンタルコンデンサをKEMET KO-CAPの最新のものにアップグレード。フィルムコンデンサをパナソニック製ECHUに、電解コンデンサをNichicon製KAに、電解コンデンサをELNA製Silmic IIにそれぞれアップグレードしている。

MUSINでは2月8日~2月15日の7日間限定で、受注購入受付をWebから募集するという。詳細はMUSINの公式サイトを参照のこと。

「AMP8-EX」

サイラス

サイラスブースでは、TP AUDIO earphonesというブランドの2モデルを参考展示。「TP AUDIO AURORA」は、デンマークSonion製BAドライバーを採用した1BAモデルで、価格は未定だが3、4万円をイメージ。「TP AUDIO AURORA 3」もSonion製BAドライバーを採用しており、3BAモデル。価格イメージは6、7万円だという。

共通する特徴は、シェルを3Dプリンタで作成する際に、ユニットを保持する構造やノズル部分など、細かな部分まで作り込んで作成。そこに後からドライバーなどを配置していく。こうする事で密閉度が高まり、より精密なサウンドが再生できるという。

「TP AUDIO AURORA」
「TP AUDIO AURORA 3」

4基のコンデンサー型ドライバーとBAを組み合わせた「Traillii JP」というハイブリッドイヤフォンも参考展示した。