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DJI新ドローン「Mavic Air 2」の進化ポイント、最長34分飛行、4K/60p空撮

新ドローン「Mavic Air 2」

DJIは、4K/60p撮影に対応する新ドローン「Mavic Air 2」のオンライン説明会を開催。空撮能力の高さや、安定飛行機能の進化、同社コンシューマー向けドローンの中で最長となる34分の飛行を実現した背景などを説明した。既報の通り、出荷は5月21日から開始。標準パッケージの価格は105,600円(税込)、ショルダーバッグ、NDフィルター、充電ハブ、バッテリー3個を同梱した「Fly Moreコンボ」は132,000円(税込)。

「Mavic Air 2」は折りたたみ式のドローンで、折りたたんだ状態でのサイズは97×180×84mm(幅×奥行き×高さ)、展開時は253×183×77mm(同)。初代Mavic Airの83×168×49mm(同)、184×168×64mm(同)よりも大きくなっており、サイズ感としてはMavic 2シリーズ(Mavic 2 Pro/Mavic 2 Zoom)に近くなっている。

現行Mavicシリーズを並べたところ
Mavic Air 2。折りたたみ時
初代Mavic Air。新モデルとはサイズだけでなく、デザインが異なる

新たに、4K/60pの空撮に対応

カメラは1/2型、1,200万画素のベイヤー配列CMOSセンサーを搭載し、4K(3,840×2,160)/60pまでの撮影に対応。4K/30pまで対応のMavic 2 Pro/Mavic 2 Zoomよりもハイスペックとなる。ビットレートは120Mbpsまでサポートし、H.265コーデックも採用。1080/120pの4倍スローモーションや、1080/240pの8倍スローモーション撮影も可能になった。

また、DJIでは新ドローン開発のたびに、ジンバル部分も新たに研究開発しており、Mavic Air 2では制御精度0.01度を実現。非常に精密な制御が可能になったという。

露出の異なる撮影を自動で行ない、それらを合成し、HDR写真を撮影する事も可能。通常の写真に加え、HDRでパノラマ撮影も可能になった。さらに、HDR動画撮影も可能だが、その際は最大4K/30pまでとなる。

HDR撮影は静止画、パノラマ、動画でも利用可能に

また、1,200万画素のCMOSセンサーだが、静止画撮影では高度処理とピクセルビニングを組み合わせ、4,800万画素で記録するモードも用意。遠くから撮影した場合でも、建物の細かなディテールが残せるという。

さらに「スマートフォト」という新機能も搭載。これは、シーン認識/ハイパーライト/HDRを1つのモードに統合した機能で、夕焼け/空/草地/雪/森林の5つのカテゴリーのインテリジェント認識機能を活用。それに合わせたパラメーターで撮影してくれるもので、シャッターボタンを押すだけで、美しい写真が残せるという。なお、ハイパーライトは低照度条件下で撮影された写真を最適化し、ノイズを低減し、クリアな映像に仕上げる技術のこと。

DJI - Mavic Air 2 実写映像

インテリジェント撮影機能も進化

撮影を補助し、「誰でもクールでクリエイティブな空撮が可能になる」というインテリジェント機能も進化。

被写体を追跡するフォーカストラック機能の1つである「ActiveTrack」は、「ActiveTrack 3.0」に進化。被写体を選択するとドローンが自動的に追跡してくれる機能だが、Mavic Air 2では前方、後方、下方に障害物を検知するビジョンセンサーを搭載している。これを用いて、リアルタイムに周囲の環境を3Dマッピング。新しい飛行経路アルゴリズムを組み合わせる事で、自動的に障害物を回避しながら、被写体を追尾する能力が大幅に強化されたという。

また、被写体とMavic Air 2間が何かの物体で一時的に遮られた場合でも、被写体を素早く再捕捉できるようになった。

海岸での「ActiveTrack 3.0」デモ。人物を追尾して前に飛行するが、岩にぶつかりそうになったため、自動で停止。異なる飛行ルートを自動で作り出し、被写体が見えなくなっていても予測で追尾。岩を避けて、再び人物を補足したところ

被写体と、一定距離を保ちながら周回する「Point of Interest 3.0」では、被写体を動的に追跡するように平面認識機能が改善。人や車、ボートなど、動いているものでも指定できる。

「Spotlight 2.0」は、ユーザーがドローンを自由に操作していても、 カメラはフレーム内で被写体を捉え続ける機能。

ハイパーラプス機能も搭載。ドローンを物理的に移動させることで、タイムラプスの視覚効果をより魅力的に見せることができる。Mavic Air 2では新たに、最大8Kでの撮影も可能になった。

フライトモードはフリー、サークル、コースロック、ウェイポイントの4つから選択できるほか、複雑な飛行をプリセットした「クイックショット」も搭載。事前にプログラム化された飛行操作を選択するもので、ロケット、サークル、ドローニー、ヘリックス、ブーメラン、アステロイドの中から、動きを選択できる。

安全に飛行するための機能も進化

前述の通り、障害物センサー(ビジョンセンサー)は前方、後方、下方に搭載。下方には赤外線センサー、LEDライトも搭載する。

センサーからの情報を使い、障害物を回避するのが「APAS 3.0」(高度操縦支援システム)だ。進む方向に障害物があった場合、障害物の周辺や上下に新たな経路を作成して衝突を回避する。

最新バージョン「3.0」では、周囲の状況をリアルタイムに3Dマッピングを使用することで、障害物を回避しながら、スムーズかつ滑らかな飛行をアシスト。回避能力が大幅に強化され、より多様な飛行が可能になったという。

ビジョンセンサーは下方の特徴も補足し、それを生かして、空中に制止するホバリングにも活用される。

ドローンと、スマホを接続したコントローラーの間で、映像などのデータを伝送する独自技術も「OcuSync 2.0」に進化。より安定したHD動画の伝送を、ドローンから最長10km(日本国内では最長6km)の距離まで実現した。なお、OcuSync 2.0は、2.4GHzと5.8GHzの両周波数帯に対応するが、日本は2.4GHzのみ対応となる。

新しいモーターと電子速度コントローラー(ESC)、強化されたバッテリー技術も搭載。航空力学に基づいた設計で、同社コンシューマー向けドローンの中で最長となる34分の飛行を実現した。

コントローラーは、下部にスマホを固定する従来のデザインから、上部に固定するデザインへと大幅に変更。人間工学に基づいた新設計で、グリップしやすく、操作もしやすいという。なお、ドローンに伝送するためのアンテナは、スマホを固定するクランプ部分に内蔵している。

スマホ用の操作アプリは「DJI Fly」を使用。飛行のチュートリアルや、撮影した映像の編集と調整なども可能になっている。

コントローラーは新しいデザインになった
DJI - Mavic Air 2 紹介映像

「旅のVlogから、映画のような作品撮りまでサポートできる意欲的なモデル」

2016年に、折りたたみ式のドローンとして登場した「Mavic Pro」から、Mavicシリーズがスタート。2017年に、より小型な「Mavic Air」が登場。その後、カメラに1型センサーを搭載した高画質モデルの「Mavic 2 Pro」、センサーは1/2.3型で、24mm~48mmの光学2倍ズームレンズを搭載した「Mavic 2 Zoom」が発売。そして、2019年末には、200gを切る軽量・小型な「Mavic Mini」が登場した。

このようにMavicシリーズはそれぞれ特徴を持つ機種をラインナップ展開しているが、新モデル「Mavic Air 2」の立ち位置がどうなるのか、若干わかりにくくなっている。

コンシューマー マーケティングの川中良之ディレクターは、「Mavic 2シリーズ(Mavic 2 Pro/Mavic 2 Zoom)と比べると、Mavic Air 2はミドルクラスの製品。しかし、2シリーズの技術の粋を結集し、飛行機能も大幅に強化した。旅のVlogから、映画のような作品撮りまでサポートできる意欲的なモデル。また、Mavic Miniのユーザーにとっては、ステップアップに最適な製品。初心者からベテランまでご満足いただける製品に仕上がっている」と説明。

一方で、「Mavic 2 Pro/Mavic 2 Zoomには、Airにはない特徴がある。新旧モデルで優劣があるわけではなく、それぞれの機種に特徴がある」とした。

コンシューマー マーケティングの川中良之ディレクター

プロダクト マーケティングの皆川正昭マネージャーは、Mavic 2 Proには1型センサー、Mavic 2 Zoomには光学ズームといった特徴がある事を説明し、さらに「Mavic 2 Proでは、10bitのlog撮影(Dlog-M)や、Hasselbladが独自に開発したハッセルブラッド ナチュラルカラー ソリューション技術も搭載している。また、Mavicシリーズで唯一、レンズのF値の調整もできる」とした。

プロダクト マーケティングの皆川正昭マネージャー

また、Mavic Air 2が、従来のAirのデザインを踏襲せず、Mavic 2シリーズに近いデザインになっている理由について、皆川マネージャは、「ユーザーにとって飛行時間は空撮体験の中でも最も重要な要素の1つと考えている。初代Airには、プロペラサイズ、流体効率、カバーの面積など、改善の余地があった。これらの改善を通して、飛行時間を向上させるため、今のようなデザインになった」と説明した。

川中ディレクターは、ここ数年実施してきた、自治体などと連携しながら空撮できるスポットを増やしていく取り組みを、2020年も強化していく方針を説明。「新しい生活様式、新しい“当たり前”が始まる中で、ドローンは、新たな趣味として広がる可能性を秘めている。これを更に発展させるため、夏・秋頃に新たな施策を行なう。自治体と連携し、“ソラタビマップ”と題した特設Webサイトで、空撮したくなるスポットの紹介、地域ごとの飛行ルール、スポット特集ページ、安全飛行のガイドラインなどを拡充していく。(具体的な展開時期は)コロナ感染拡大防止のための動向を注視しながら設定していきたい」とした。

ソラタビマップ
オンライン説明会での飛行デモの様子