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DJI、新ドローン「Mavic Air」日本公開。折りたたみでより小型、追尾撮影も進化

 DJIは25日、4K/30pの空撮が可能な新ドローン「Mavic Air」を日本で公開した。直販サイトでの価格は、送信機セットが104,000円(税込)で、初回出荷は1月28日を予定。バッテリを3個、プロペラ6組、バッテリ充電ハブなどもセットにしたFly Moreコンボも129,000円(税込)で用意する。なお、Mavic Airには、賠償責任保険が1年間無償付帯されている(要登録)。

新ドローン「Mavic Air」

 詳細は既報の通りだが、Mavicシリーズの新モデルで、既発売のMavic Proの下位モデルにあたる。Mavic Proと同様に、プロペラを備えたアームを折りたたんでコンパクトに持ち運べるのが特徴。Mavic Proよりさらに小型化しており、折りたたんだ状態でのMavic Airは83×168×49mm(幅×奥行き×高さ)、Mavic Proは83×198×83mm(同)と、約半分のサイズになっている。アームを展開した状態で比べると、下位モデルのSparkよりも小さい。

「Mavic Air」を折りたたんだところ

 重さはMavic Airが430g、Mavic Proジンバルカバーを含まない状態で734gと、41%軽量化した。なお、200g以上であるため、改正航空法の対象となる。

左がMavic Air、右がMavic Pro

 小型化しつつも、Mavic Proと同様に3軸のジンバルを採用したカメラを装備。1/2.3型、1,200万画素のCMOSを搭載し、4K(3,840×2,160)/30pまでの動画撮影が可能で、これはMavic Proと同じ。3軸ジンバルの角度ぶれ範囲は0.005度まで抑えられており、衝撃吸収部は三方に配置。「抜群に安定性のある撮影を実現する」という。

 筐体のカラーはアークティックホワイト、オニキスブラック、フレイムレッドを用意。

Mavic Proと同様に3軸のジンバルを採用したカメラを装備
左からオニキスブラック、アークティックホワイト、フレイムレッド
DJI - Mavic Air 紹介映像

4K/30pの空撮が可能

 4K/30pの100Mbpsでの録画が可能。1080/120pでの撮影にも対応する。レンズは85度、35mm換算で焦点距離は24mm。絞りはF2.8。動画はMP4/MOV(MPEG-4 AVC/H.264)で撮影、静止画はJPEG/DNG(RAW)での撮影が可能。静止画解像度は4:3で4,056×3,040ドット。水平方向/垂直方向/180度のパノラマ撮影にも対応。25枚の写真を8秒で合成し、3,200万画素の“スフィアパノラマ”写真を撮る事も可能。

 このスフィアパノラマは、360度カメラで撮影できる“リトルプラネット”風の静止画を撮影するもの。静止画撮影用の機能だが、後述する新たに追加されたインテリジェントフライト機能の1つである「Asteroid(アステロイド:小惑星)」を選ぶと、リトルプラネット写真からどんどんズームし、ドローンの通常視点に到達し、そのまま撮影動画とシームレスに繋がるクリップを作る事もできる。

 静止画撮影機能ではさらに、HDR写真の撮影にも対応。別売のVRグラス「DJI Goggles」とも連携できる。

 ストレージとしてmicroSDカードスロットを備えるほか、8GBのストレージメモリも搭載。「うっかりmicroSDカードを入れ忘れてしまった時も大丈夫」(プロダクトマーケティング担当の丸川英也氏)だという。

プロダクトマーケティング担当の丸川英也氏

 アーム部は、「空気力学の観点から徹底的に考え抜き、極力無駄を取り除いた」という設計で、折りたたむと本体にぴったりと収まる。マグネシウム合金製ブラケットが7つの搭載カメラ(センサーカメラ含む)を保護。メインのジンバルカメラ部分は、付属のカバーで保護できる。

付属のカメラカバー

 プロペラの下には折りたたみ式のランディングギアを搭載。その中に無指向性アンテナを搭載しており、ドローン本体からアンテナを離す事で信号範囲を向上させた。

 新しいWi-Fi動画伝送システムは、2.4/5.8GHzのデュアル周波数と、最大4kmまでの720pライブビューに対応するが、日本国内では2.4GHzのみの利用となり、4kmではなく最大2kmとなる。送信機に接続したスマートフォンのアプリで、ドローンからの映像を確認しながら飛行できる。また、送信機を使わず、スマホと無線LANで直接接続して飛行する事も可能だが、その場合の飛行距離は80mまでとなる。スマホや送信機を使わず、ジェスチャーでコントロールする事も可能。

 最大飛行時間は無風で21分。最大風速10m/sまでの耐風性と、海抜最大5,000mまでの安定した飛行を実現。Sport Mode(Sモード)を使うと、最大時速約68.4kmで飛行できる。モーターが高性能化し、FOC(磁界方向制御)正弦波駆動アーキテクチャーESCも性能が向上。高い推進力を実現した。

5.9インチディスプレイのスマートフォンHUAWEI「Mate 9」と並べたところ
アウトドアグッズとのサイズ比較

 GPS/GLONASSで自分の位置を把握するほか、VIOテクノロジーを搭載したFlightAutonomy 2.0と呼ばれるセンサーシステムを搭載。メインのジンバルカメラ、前方/後方/下方に配置したデュアルビジョン センサー、下方赤外線検知システム、デュアルIMU、プロセッサー群で構成するもので、周囲の環境から情報を収集し、プロセッサに伝送。正確なホバリングと優れた飛行性能を実現。高度操縦支援システム(APAS)を使い、機体の前方と後方にある障害物は自動で回避する。

底部にもセンサーを装備
背後にもセンサーを備えている

 専用の送信機も可搬性が向上。飛び出しているコントロールスティック部分を着脱し、フラットにして持ち運べる。

スティックが着脱でき、可搬性が向上した送信機
バッテリ
手前がACアダプタ

インテリジェントな空撮機能も強化

 Mavic Proに搭載されている、アプリを組み合わせたインテリジェントな空撮機能「uickShot」は、Mavic Airにも全て搭載。選択するとドローンが自動で飛行・空撮してくれるもので、従来からあるRocket、 Dronie、CircleとHelix(ヘリックス:螺旋)撮影モードに加え、新たにAsteroid(アステロイド:小惑星)とBoomerang(ブーメラン)が追加された。

 Asteroidは前述の通り、全天球写真を撮影した上で、動画の空撮映像にシームレスに繋げた撮影ができるもの。例えば、山頂に立って撮影する場合、リトルプラネットの写真から、その中の山に一気にズームアップし、山頂の空撮動画へと繋げられる。

Asteroidの作例

 Boomerangはその名の通り、撮影者が投げたブーメランが戻ってくるような軌跡を描きながら空撮するもの。ドローンは楕円状に上昇しながら被写体の周辺を周回し、飛行開始地点まで戻り、動画の撮影を終了する。

Boomerangの作例

 被写体を認識・追尾するActiveTrack機能も強化。追尾精度がより進化し、走ったり、自転車に乗った被写体も、より正確に追尾できるという。複数の被写体を同時に自動検知する事もでき、最大16体までの被写体に対応可能。離陸地点に自動で戻るリターントゥーホーム(RTH)機能なども備えている。

 Sparkで導入された、ドローンに向かって手をかざし、その手を動かして機体の位置を操作したり、カメラに向かって特定のポーズをとる事で、コントローラーを使わずに自撮りができる「ジェスチャーコントロール」も、Mavic Airでは「根本的に見直した」(丸川氏)という。

 その結果、機能名は「スマートキャプチャー」に変更。離陸、操作、着陸までの一連の動作を、手のひらを使って、よりスムーズにできるように改良された。

Mavic Air スマートキャプチャー機能のデモ -AV Watch

Mavic Proは併売

 丸川氏は、従来のMavic Proが実現した、折りたたみ機構による携帯性の高さや、4K撮影機能などを振り返り「プロから趣味で使う人まで、幅広い人に愛用されるドローンとなった」と説明。その上で、「本日、パワフルな撮影能力、高い安全性、優れた携帯性、その全てを兼ね備えた新しいドローン」としてMavic Airを紹介した。

 なお、Mavic Air登場後もMavic Proはより遠くまでの飛行が可能な点や、飛行時間が30分に延びた「Mavic Pro Platinum」などが存在するため、上位機種として継続販売するという。

 丸川氏はMavic Airの出荷開始後に、「カーチャージャーやNDフィルタなども予定している。また、クリエイター向けに、SDKの提供も実施していく」と語った。

 発表会には、世界を旅し、旅の魅力を伝えるプロトラベラーのAOIさんも登壇。Phantom 3からドローンを愛用し、旅先で様々な空撮も行なうAOIさんは、Mavic Airのコンパクトさや、インテリジェント撮影機能の進化などの魅力を語った。

旅の魅力を伝えるプロトラベラーのAOIさん