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東芝、クラウドAI高画質の最上位4K有機ELレグザ「X9400」。10スピーカーで142W出力

タイムシフトマシン搭載4K有機ELレグザ「X9400シリーズ」

東芝映像ソリューションは、4Kレグザの新製品として、タイムシフトマシン機能を搭載した有機EL方式の最上位機「X9400シリーズ」を6月19日より順次発売する。77・65・55・48型の全4サイズをラインナップ。全て価格はオープンプライスで、店頭予想価格は65型が47万円前後、55型が30万円前後。77型と48型の価格は未定。


    タイムシフトマシン搭載4K有機ELレグザ「X9400シリーズ」
  • 77型「77X9400」 未定 2020年秋発売
  • 65型「65X9400」 約47万円 6月19日発売
  • 55型「55X9400」 約30万円 6月19日発売
  • 48型「48X9400」 未定 2020年秋発売

'19年7月に発売した「X930シリーズ」の後継機種。新モデルでは、クラウド技術を使って放送番組を高画質化する「クラウドAI高画質テクノロジー」や、レグザ専用開発の有機ELパネルの採用、インパルスモードの搭載といった画質の強化に加え、4K有機ELテレビでは最高クラスとなる総合出力142W・10スピーカーの強力なオーディオシステムを搭載し、音質の底上げも図った。

X930で搭載していた、全録のタイムシフトマシン、プロユース映像分析・設定機能、7系統のHDMI入力、同軸/光デジタル音声出力など、マニアックな仕様もそのまま継承する。

77型4K有機ELレグザ「77X9400」

X9400シリーズでは、4K有機ELレグザ初のインチサイズとなる、77型と48型を用意。

新しいサイズ展開について、ブランド統括マネージャーの本村裕史氏は「48型から77型まで、有機ELにおいてもサイズ選択の幅が広がった。77型は有機ELレグザ最大サイズで、まさに大画面の感動と、高画質の感動を高次元で実現したモデル。“超大画面”の繊細な輝きとコントラストによる臨場感は、リビングを心震える感動空間へと変える。一方の48型は、凝縮された“濃密高画質”が最大のポイント。画面から溢れる圧倒的なコントラスト感に心を奪われるはず。リビングに設置するもいいし、自室においてプライベートで堪能するのもいい。ゲーミングテレビとしてもオススメしたい」と新サイズの魅力を話す。

なお、採用するパネル方式の区別をより明確にするため、今回の新製品から、有機ELモデルの型名が“数字4桁”に変更された。

ブランド統括マネージャーの本村裕史氏

65型と55型に自社開発専用設計の高放熱プレートを搭載

全サイズで、4K/3,840×2,160ドットの新世代有機ELパネルを搭載。今回新たに、独自のガンマ特性、輝度特性のレグザ専用チューニングを行なうことで、高いコントラストと高い階調性を実現した。

さらに、65型・55型モデルに限り、自社開発専用設計の高放熱プレートを有機ELセルとメタルバックカバーの間に挿入。これにより、従来よりも高い輝度・高コントラストを実現している。

東芝が独自に開発した放熱プレートを挿入できた理由は「(セットメーカー側での)カスタマイズが許可されたから」とのこと。77型と48型はレグザ専用高放熱プレートは非搭載。製造元のオリジナルをそのまま使っているという。

65型4K有機ELレグザ「65X9400」
自社開発専用設計の高放熱プレート(65型と55型のみ)

映像エンジンには新開発の「ダブルレグザエンジン Cloud PRO」を搭載。

東芝製の画質処理LSIとSoCからなるレグザエンジン Cloud PROでは、再構成型超解像や自己合同性超解像などの高画質処理を行なうことで、ノイズを抑えた高精細映像を生み出すが、X9400ではこれに独自の処理回路を追加。ダブルエンジン構成により、さらに緻密な高精細処理・低ノイズ処理が可能となり、更なる高画質を実現したという。

新エンジンについて、同社映像マイスターの住吉肇氏は「X9400で追加した新エンジンは、BSや地デジなどの2K放送素材で効果を発揮するもので、主に地デジAIビューティPRO機能などに使っている。本来であれば“トリプル”と表現するべきかもしれないが、我々が開発したエンジンを2基使う、という意味で“ダブルレグザエンジン”と名付けている。基本的な高画質機能はX9400とX8400とで差は無いが、2K放送に関しては、X9400がより高画質に楽しめる」という。

新映像エンジン「レグザエンジン Cloud PRO」
写真左のメインボードが「X8400」のもの、右が「X9400」

クラウドAI高画質テクノロジーが、ジャンル・番組毎にパラメータを最適化

'20年春発表の4K液晶レグザ・Z740X/M540Xシリーズに搭載された高画質機能「クラウドAI高画質テクノロジー」がX9400にも追加された。

番組の詳細ジャンルごとの画質特性や、コンテンツ事の画質特徴から導き出された高画質調整データベースをクラウド上に構築。クラウドから有機ELレグザに最適な映像調整データをインプットすることでリアルな高画質を実現する。

クラウドAI高画質テクノロジー

クラウドとの連携機能は、新製品の発売と合わせた6月に開始予定。5月現在、クラウドのデータバンクには23ジャンル、113番組の映像パラメータが各シリーズ・インチサイズごとに準備されているという。レグザはネットを通じてデータを取得。アニメ、ドラマ、スポーツなどの該当ジャンル、及び該当番組を視聴した場合に、自動で最適化が行なわれる。

「例えばアニメジャンルでは、セルアニメ、スタンダードアニメ、シンプルアニメ、3Dアニメなどに分類し、それぞれに応じた処理を施している。具体的には、セルアニメはセル画をスキャンして取り込む際に発生しがちなブレや揺れを補正、CGを想定したスタンダードアニメではフレーム超解像等の処理をオフに、シンプルアニメはべた塗りの輪郭線周辺に発生するモスキートノイズを抑制する処理、3Dアニメでは3Dアニメに最適なパラメータを用意している」という(住吉氏)。

同社映像マイスターの住吉肇氏

最適化は全ての放送番組で行なわれるわけではなく、あくまで「開発陣が考える標準的な番組や評価用コンテンツと見比べて、偏差がある番組」が対象。色の濃さや色合い、ガンマなどに特徴がある番組などが補正されるようになっている。

動画配信サービスごとに異なる画質特性やフレームレート、圧縮方式、解像度に応じて最適なパラメータを適応させる「ネット動画ビューティPRO」機能も加わった。コントラストや色階調、精細感を調整するほか、低フレームレートの場合はコマを補間して滑らかに再生するなど、YouTubeやNetflix、Amazon Prime Videoなどの動画コンテンツをより高画質に楽しめる。

ネット動画ビューティPRO

地デジやBSデジタル放送の伝送圧縮において、失われた精細感やエリアごとに現れるノイズを超解像処理で高精細化する「地デジAIビューティPRO」を搭載。文字テロップ周辺に発生するノイズや、平坦部の気になるノイズを抑えると共に、人物の肌やきめ細かい部分の精細感を向上する。

色温度センサーを本体前面に搭載。室内の明るさだけでなく色温度の違いをリアルタイムに検出し、環境に応じて画質を自動調整する「おまかせAIピクチャー」を実現。新モデルでは新たに「おまかせシアター」モードが追加されており、全暗視聴での映画・ライブコンサートが最適な映像で楽しめるようになった。

HDR規格は従来通り、HDR10、HLG、Dolby Vision、HDR10+をサポートする。

地デジAIビューティPROの処理前(写真左)と処理後(右)のイメージ
おまかせAIピクチャー

従来の倍速駆動に加え、黒挿入を行なうことで残像感を低減する「インパルスモーションモード」を新搭載。表示輝度をアップさせることで、インパルス駆動時でも輝度低下を抑制し、十分な明るさと、ぼやけのない動画像表示を両立させた。

「従来パネルで黒挿入を行なうと、どうしてもフリッカーが気になっていた。パネルの進化で240Hz駆動的な処理が可能になったことで、フリッカーが見えず、しかも明るいインパルス表示が実現できた」(本村氏)とする。

インパルスモーションを活用した、有機EL瞬速ゲームモードを開発。有機EL方式による動画応答性と、前述のインパルス駆動を組み合わせることで、リアルでキレのある高速移動キャラクター映像を描写する。

1080p/120Hz入力時で約9.2msecの低遅延表示を実現。また1080p/60Hz 12bit、1440p/60Hz 12bit、4K/60Hz 12bit入力時でも約17.5msecの遅延に抑えている。

インパルスモーションモード
有機EL瞬速ゲームモード

総合出力142W×10個スピーカーのサウンドシステム

X930から大幅にブラッシュアップされたのが、サウンドシステム「レグザパワーオーディオX-PRO」(77・65・55型のみ)。

“有機ELテレビで最も音に優れたモデル”を掲げ、メインスピーカー、トップツイーター、バズーカユニットの10スピーカーと、計142Wの大出力マルチアンプシステムを搭載。

前面配置のメインスピーカーは、CNFコーティングダブルフルレンジスピーカーと、アルミ振動板によるハードドームツイーターの2ウェイ。対向型パッシブラジエータと組み合わせることで高解像度でクリアな音を再生。トップツイーターは、新開発の大口径シルクドームでできており、「背面上方に向けて配置し、高域のエネルギーを放射。あたかも画面から聞こえるような音像定位と広がり感を実現した」(同社音声マイスターの桑原光孝氏)という。

同社音声マイスターの桑原光孝氏

背面中央の重低音バズーカでは、CNFコーティング振動板ダブルウーファーと対向型パッシブラジエーターによるキレを良い重低音を再生。77型モデルに限っては、バズーカを2基搭載し、大画面モデルに相応しい豊かで迫力のある低音再生を目指した。

メインスピーカーは12W×6、トップツイーターは15W×2、重低音バズーカは20W×2。なお48型のみ、トップツイーターと重低音バズーカ非搭載の「レグザパワーオーディオXD」(72W)となる。

レグザパワーオーディオX-PRO

新しい試みとして、市販スピーカーをテレビに接続することで、内蔵スピーカー的な使い方ができる「外部スピーカー出力端子」を搭載。「自宅にあるスピーカーを活用したい」とのユーザーの声を反映させた機能とのことで、テレビ内部には20W×2(6Ω)の外部スピーカー専用高効率デジタルアンプを搭載。大・中・小と接続するスピーカーのサイズに合わせたプリセットイコライジング機能も備えているという。

高精度な全帯域補正を行ない、フラットで明瞭な音質と自然な音像定位の実現する「VIRイコライザー」や、放送などの音声圧縮時に失われた微小信号を復元し、圧縮前の豊かな倍音成分を含む音質を再現する「レグザサウンドリマスター」を搭載。自然な音像定位と豊かな音質、多彩な音響効果を実現した。

全録のタイムシフトマシン機能、テレビ最多の7入力HDMIも引き続き搭載

搭載チューナーは、地上デジタル×9(タイムシフトマシン含む)とBS/110度CSデジタル×3、BS/CS 4K放送×2、スカパー! プレミアムチューナー×1系統。別売のUSB HDDへの録画に対応する。地デジ/BS/CSは2番組の同時録画に対応。4K放送の録画は1番組のみ。

放送済みの番組をさかのぼって見られるレグザ独自のまる録り機能「タイムシフトマシン」を搭載。「過去番組表」のほか、テレビ起動時やチャンネル選局時に気になる番組を見つけてもボタン1つでオープニングから視聴できる「はじめにジャンプ」、ジャンル別リストから見たい番組をすぐに再生できる「ざんまいスマートアクセス」にも対応する。

X9400シリーズには、タイムシフトマシン機能を搭載

レグザのネットサービス「みるコレ」を使えば、AIレコメンドシステムが抽出したオススメ番組がピックアップされ、「これからの注目番組(未来番組)」や、「おすすめの番組(録画済み番組)」に一覧表示してくれる。またみるコレパックを使った、おまかせ録画にも対応する。

みるコレ

映像配信サービスは、Netflix、Amazon Prime Video、YouTube、dTV、ABEMA、Hulu、TSUTAYA TV、DMM.com、U-NEXT、DAZN、Paravi、スカパー! オンデマンド、ひかりTV 4K、クランクイン! ビデオ、アクトビラ、Rakuten TVに対応。リモコンのダイレクトボタンは、ABEMA、Netflix、Hulu、U-NEXT、YouTube、Amazon Prime Videoの6つ。

リモコン

スマートスピーカーから音声で操作できる機能を搭載。Googleアシスタント、Amazon Alexa、LINE Clova搭載デバイス・スピーカーに対応する。レグザリモコンの音声機能を使った番組検索やシーン検索などの「ボイス機能」もサポートし、タイムシフトマシンの録画済み番組のなかから、見たい番組名やシーン名を声で探すことも可能。

レグザ本体にもマイクが内蔵されているので、テレビに発話することで様々な操作が可能になるハンズフリーレグザボイスにも対応する。

インターフェイスは、HDMI入力が7系統。コンポジット映像・LRアナログ音声入力が各1系統。光デジタル音声出力、同軸デジタル音声出力、外部スピーカー出力ほか、ヘッドフォン出力を各1系統用意する。USB端子は4系統。電源は着脱式。B-CASカードは付属せず、ACASチップを内蔵する。

消費電力・年間消費電力(参考値)は、65型が517W・225kWh/年、55型が413W・230kWh/年、48型が313W・223kWh/年。77型は未定。

スタンド含む外形寸法は、65型が145.7×29.6×86.2cm(幅×奥行き×高さ)、55型が123.4×27.9×73.6cm(同)、48型が107.6×27.9×64.8cm(同)。77型は未定。

55型4K有機ELレグザ「55X9400」
48型4K有機ELレグザ「48X9400」