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デノン、「もはや別次元」110周年記念のモンスターAVアンプ

8K対応13ch AVアンプ「AVC-A110」

ディーアンドエムホールディングスは、デノンブランドの創立110周年記念モデルとして、フラッグシップを超える8K対応13ch AVアンプ「AVC-A110」を10月上旬に発売する。価格は680,000円。カラーはグラファイト・シルバー。

「今持てる技術とノウハウの全てを投入することで、AVアンプのフラッグシップモデルであるAVC-X8500Hを超えるパフォーマンスを実現することを目標に開発された」という。

AVC-X8500Hが開発された際に、開発期間やパーツのコスト、検証に要するリソースなど、様々な要因により採用に至らなかった高音質化のためのアイデアを全て見直し、サウンドマネージャー・高橋祐規氏の鋭敏な感性によって再構築したものがAVC-A110となる。

ブロックコンデンサーや電源トランス、鋳鉄製フットをはじめ、純銅製のトランスベース、パワーアンプ回路のフィルムコンデンサーやインダクターなど、新たに開発、採用されたパーツは数百点にも及ぶ。それらを投入した事で、サウンドは「どこまでも広がる雄大なスケール感と手を伸ばせば触れられそうな音像の密度感を獲得し、サウンドマネージャーをして“もはや別次元”と言わしめるサウンドを実現した」とのこと。

パワーアンプは、最大260W(6Ω、1kHz、THD 10%、1ch駆動)の大出力を備えながら、一筐体に13chものパワーアンプを搭載するため、パワーアンプ回路をチャンネル毎に個別の基板に独立させたモノリス・コンストラクション構成を採用。

チャンネル間のクロストーク、振動による音質への影響を排除することで、チャンネルセパレーションを極限まで高め、純度の高いリアルな音場再生を実現した。

増幅素子にはHi-Fiアンプの設計思想を踏襲した大電流タイプのパワートランジスタ「Denon High Current Transistor (DHCT)」を採用。このDHCTをヒートシンク上に格子状にレイアウト、ヒートシンク全体をカバーする2mm厚の銅板によって放熱効率を高め、発熱が大きくなる大音量再生時であっても安定性の高いスピーカー駆動を実現している。

ヒートシンクには共振の少ないアルミ押し出し材を使用。さらに、新開発のフィルムコンデンサーやインダクターなど、厳選された高音質パーツをふんだんに採用。基板パターンの箔厚を2倍にしてインピーダンスを下げることにより、エネルギー感と安定感を向上させた。

オブジェクトオーディオのDolby Atmos、DTS:Xに対応。13chのパワーアンプを搭載しているため、パワーアンプの追加なしに7.1.6やフロントワイドを含む9.1.4システムを構築できる。

さらに、Dolby Surround、Neural:Xにより、ステレオや5.1ch、7.1chの信号を立体的な3Dサウンドにアップミックスすることも可能。IMAX Enhanced認定も受けており、サウンドモードとしてIMAX DTS、IMAX DTS:Xも用意する。

Auro-3Dにも対応。5.1ch+サラウンドバックの7.1chシステムにフロントハイト(FHL+FHR)、センターハイト(CH)、サラウンドハイト(SHL+SHR)、およびトップサラウンドスピーカー(TS)を組み合わせた13.1chシステムで、自然で臨場感豊かな3Dサウンドが楽しめる。

新4K/8K衛星放送で使用されている音声フォーマット、MPEG-4 AAC(ステレオ、5.1ch)のデコードも可能。4Kや8K番組を、臨場感豊かなサラウンド音声と共に再生できる。

バーチャル3DサラウンドテクノロジーのDolby Atmos Height Virtualizerと、DTS Virtual:Xにも対応。ハイトスピーカーやサラウンドスピーカーを設置していない環境においても、高さ方向を含むあらゆる方向からのサウンドに包み込まれるイマーシブオーディオ体験が可能。

15ch分のスピーカー出力端子を装備し、フロントワイドやサラウンドバックを含む最大9chのフロアスピーカーと、センターハイトやトップサラウンドを含む最大8chのハイトスピーカーの内、15chを同時に接続可能。最大13chの同時出力に対応し、再生するフォーマットやサウンドモードに合わせて再生するスピーカーを自動で切り替えられる。

プリセットされた9通りのアサインモードに加え、それぞれの端子に出力するチャンネルを自由に割り当てられる「カスタム」モードも搭載。フロントスピーカーの駆動に4つのアンプを使って高音質化するバイアンプ駆動に加え、センター、サラウンドも含む5チャンネルのスピーカーをバイアンプ駆動する5chフルバイアンプ機能も搭載する。

2組の異なるフロントスピーカーを切り替えて使用できる「A+B」も可能。メインゾーンで使用していないパワーアンプをゾーン2、ゾーン3のスピーカーに割り当てることでもできる。

音声信号の処理に、32bitデュアルコアDSP「SHARC」プロセッサーを2基搭載。13.2ch分のデコードやアップミックス、AL 32 Processing Multi Channel、音場補正などの高負荷な処理も同時に行なえる。

15.2chプリアウトも装備し、パワーアンプを追加してシステムの拡張や音質のグレードアップが可能。パワーアンプの動作を停止させ、高品位なAVプリアンプとしての使用を可能にする「プリアンプモード」も搭載する。

「コンテンツ制作者の意図をありのままに再現すること」を具現化するために開発されたD.D.S.C.(Dynamic Discrete Surround Circuit)を設計思想として投入。サラウンド再生のために必要な信号処理回路を一つ一つのブロックに独立させ、32bitフローティングポイントDSPなど高性能な専用デバイスを用いてディスクリート化した。

全チャンネル同一レスポンス、同一クオリティを念頭に構成。ピュアオーディオで培ったノウハウを基にパフォーマンスを最大限に引き出すよう、オーディオ回路をはじめ各回路に厳密なチューニングを施し、「ロスレスオーディオやイマーシブオーディオの圧倒的高音質をダビングステージに迫るクオリティで再現する」という。

アナログ波形再現技術 「AL 32 Processing Multi Channel」も投入。CDの16bit信号を20bitに拡張して再生する。独自のアルゴリズムによって、補間ポイントの前後に存在する多数のデータからあるべき点を導き出し、限りなく原音に近付ける理想的な補間処理を行なう。

DACには、リスニングテストを繰り返して厳選した32bit対応プレミアムステレオD/Aコンバーターを8基搭載。D/A変換回路を映像回路やネットワーク回路から独立した、専用基板にマウントすることにより周辺回路との相互干渉を排除。専用基板を用いることで、D/A変換回路、信号ラインおよび電源ラインのレイアウトの最適化を行ない、音質対策パーツの選定、ポストフィルターの設計などと合わせ、高性能なDACの性能を最大限に引き出している。

信号経路を最短化し、音質を最優先した回路のレイアウトを実現するために、サプライヤーと共同開発した入力セレクター、ボリューム、出力セレクターそれぞれの機能に特化した高性能カスタムデバイスを採用。専用のデバイスを使うことで、プリアンプ回路のレイアウトの自由度が飛躍的に高まり、無駄な引き回しのないストレートな信号経路を実現している。

電源部には、AVC-A110専用のEIコアトランスを開発。トランス単体で8kgを超える重さだが、純銅製のトランスベースを追加し、放熱性を向上。このトランスとトランスベースの質量を支えるために、メインシャーシにそれぞれ1.2mm厚のトランスプレート、ボトムプレートを追加。合計3.6mmの堅牢なシャーシによって振動の伝搬を防止した。

電源部のブロックコンデンサーには、AVC-A110専用にチューニングされた大容量22,000uFのカスタムコンデンサーを2個使用。余裕のある電源供給能力を持ちつつ、AVC-X8500Hと比較してもさらに低い重心と豊かなスケール感を実現したとする。

デジタル電源回路のスイッチング周波数を従来の約3倍とすることでスイッチングノイズを可聴帯域外へシフトさせ、再生音への影響を排除。デジタル回路用のスイッチングトランスにはシールドプレートを追加。さらに、電源回路全体をシールドプレートで覆うことにより、周辺回路への干渉を抑えた。

ヒートシンクや電源トランスなどの重量物はスチール製のプレートを介してメインシャーシに強固に固定。専用の鋳鉄製フットを新たに採用し、大質量、高剛性なフットによりシャーシを支え、制振性を高めている。

設置する部屋によって異なる音響的な問題を補正する音場補正技術「Audyssey MultEQ XT32」も搭載。Sub EQ HTも搭載し、2台のサブウーハーを接続した際には個別に測定し、それぞれに最適な音量、距離の補正およびイコライジングを行なう。

スマホやタブレット向けに、「Audyssey MultEQ Editor」アプリを用意。AVアンプ単体では設定できない詳細な調整項目が用意され、部屋に起因する音響的な問題に対して精密なカスタマイズが可能。

8K/60p、4K/120pの映像信号に対応するHDMI入力を1系統(HDMI 7)、出力を2系統(モニター1/2)装備。8入力/3出力すべてのHDMI端子が最新の映像コンテンツに対する著作権保護技術「HDCP 2.3」に対応する。

2系統のモニターHDMI出力で、TVとプロジェクターなど2つの画面に8Kまでの映像を同時に出力可能。ゾーン2 HDMI出力からは、4K映像を別室に配信することもできる。

HDR映像のパススルーにも対応。HDR10、Dolby Vision、HLGに加えて、HDR10+およびDynamic HDRにも対応、「パッケージメディア、ストリーミング、放送などソースを問わず表現力豊かなHDR映像を楽しめる」という。

モニター1のHDMI出力端子は、ARCおよびeARCに対応。eARCではTVからAVレシーバーへの5.1ch、7.1chリニアPCM音声やDolby Atmos、DTS:Xなどのオブジェクトオーディオの伝送が可能。

HDMI 2.1の新機能「ALLM(Auto Low Latency Mode)」、「VRR(Variable Refresh Rate)」、「QMS(Quick Media Switching)」、「QFT(Quick Frame Transport)」にも対応。

ALLMはコンテンツの種類に応じて画質とレイテンシーのどちらを優先するかを自動で切り替える。例えばゲームやVRコンテンツを再生する際には、レイテンシーが最小になるよう設定され、操作に対する画面表示の遅れを最小化。その際AVレシーバーは、画質調整やi/pスケーラー、オートリップシンクなど、レイテンシーに影響する機能を停止する。

VRRは、PCやゲーム機などの映像ソース機器とディスプレイを同期させ、任意のタイミングでリフレッシュレートを切り替える。これにより画面割れ(ティアリング)やカクつきなしに映像を表示できる。

QFTは、ディスプレイ側のフレームレートは変更せずに、映像ソース機器からの伝送速度を上げることでレイテンシーを低減。ゲームやVRコンテンツにおける表示の遅延を解消し、スムーズでシームレスな映像を実現する。QMSは、ディスプレイとソース機器のリンクを維持したままフレームレートや解像度を切り替えるようにあする。これにより従来発生していた画面のブラックアウトや表示の乱れの問題を解決した。

入力された映像信号を8K/60pや4K/60pなどにアップスケーリングしてHDMI出力も可能。ただし、フレームレート変換は行なわない。

ネットワークオーディオ再生も可能。HEOSテクノロジーを搭載し、ストリーミングサービスやインターネットラジオ、LAN内のNAS/PC/Macや、USBメモリーに保存した音源やスマートフォン、タブレット、Bluetooth機器などのサウンドも再生できる。Amazon Music HDやAWA、Spotify、SoundCloudにも対応する。Amazon Alexaによる音声コントロールも可能。

ネットワーク再生では、ハイレゾファイルも再生可能。DSDは5.6MHzまで、PCMは192kHz/24bitまで再生可能。DSD、WAV、 FLAC、Apple Losslessファイルのギャップレス再生にも対応する。

iPhoneやiPad、Macなどから手軽に音楽を再生できる「AirPlay 2」に対応。Bluetoothにも対応し、A2DPプロファイルに加え、AVRCPプロファイルにも対応、AVアンプのリモコンで再生、一時停止、スキップなどの操作が行なえる。最大8台までのBluetooth機器とペアリングも可能。

iOS/Android向けに、リモコンアプリ 「Denon 2016 AVR Remote」を用意。AVC-A110の操作や設定が可能。

HDMI端子は、入力×8(フロント×1)。出力×3(モニター×2、ゾーン2×1)。アナログ映像入出力端子は、コンポジット入力×4、コンポーネント入力×3、コンポジット出力×2、コンポーネント出力×1を用意。

音声入出力端子は、アナログ音声入力×7、Phono入力(MM)×1、アナログ7.1ch入力×1、光デジタル入力×2、同軸デジタル入力×2、15.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドフォン出力×1。Denon Link HD×1、LAN×1、USB-A×2なども備えている。

外形寸法は、アンテナを寝かせた状態で434×482×195mm(幅×奥行き×高さ)。重量は25.4kg。消費電力は900Wで、待機電力では0.1W(通常スタンバイ)、0.5W(CECスタンバイ)。