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イヤフォンジャックを”引き抜いて”交換するDAP、Acoustune新最上位も
2020年11月9日 00:00
フジヤエービックは、オンラインイベント「秋のヘッドフォン祭 2020 ONLINE」を11月7日に配信。スペシャルMC & イベントMCとして小岩井ことりさんと野村ケンジさんが登場し、オーディオテクニカやミックスウェーブなど、多くのメーカーが自社の新製品を紹介した。
ここでは、イベントで初披露された商品を中心にピックアップしてレポートする。
ミックスウェーブ
FAudioの、5周年を記念したフラッグシップイヤフォン「Project Y」が披露された。これまでプロトタイプが何度もイベントに登場していたが、イベント会場での意見をフィードバックし、完成度を高めた製品版としていよいよ登場する。
静電型×2、フルレンジBA×2、ミッドハイBA×2、9.2mmダイナミック型×1の7ドライバー構成。ダイナミック型は振動板から新規開発し、低音がより深く、ハイスピードに進化したという。
FAudio独自技術として、フルレンジユニットを中心として、足りない帯域を補うように他のユニットを配置する「True Crossover Technology(T.C.T)」や、トリプル・アコースティックチャンバー構造(T.B.A.C)を採用。筐体には、スポーツカー業界から着想を得て、フェイスプレードに「フォージドカーボン」を採用。ランボルギーニやマクラーレンなどのスーパーカーの内装にも使われる最高峰のカーボン素材とのこと。さらに、超軽量アルミも筐体に使っている。
ケーブルは24AWGのドイツ製ピュアシルバーに、OCCカッパープレーテッドシルバー、ピュアシルバーのシールドなどを組み合わせたもの。PVCジャケットもかなり柔らかいものを採用している。入力端子は2.5mmのバランス。新開発のイヤーピースを同梱。素材を新しいものに変更し、歪を低減させたそうだ。
世界399台限定で、日本に入ってくるのは100~120台くらいの予定。11月下旬~12月頃の発売開始を予定しており、価格は28万円台のイメージだという。
MUSIN
MUSINは、iBasso Audioブランドの新製品を紹介。先日発表したばかりの、バランスド・アーマチュア・ドライバー(BAドライバー)を6基搭載したハイブリッド型イヤフォン「IT07」(11月13日発売/オープンプライス/店頭予想価格税込99,000円前後)からスタートした。
同じくiBasso Audioブランドから、小型USB DACアダプタ「DC03 BLACK」を11月13日に発売(オープンプライス/店頭予想価格税込6,820円前後)も先日発表しているが、さらに「DC04」というモデルも、12月を目標に投入する予定である事が発表された。価格は未定だが「DC03から大きく変動することはなく、1,000円以上変わる事はない」とのこと。
DC03とDC04の大きな違いはイヤフォン出力で、DC03が3.5mmのステレオミニである事に対し、DC04は4.4mmのバランス出力を採用。それより、筐体が少し大きくなっている。
内蔵するDACチップはDC03と同じで、シーラス・ロジック製「CS43131」をデュアルで搭載。一方で、SN比がDC03の127dBから、DC04では133dBになるなど、スペック面ではDC04の方が上となる。また、「音の方向性が異なり、DC03はメリハリがあり、楽しく音楽を楽しむ傾向。DC04はニュートラルでより分析的に音楽を楽しむ人向け。上位機種ではなく、好みで選んでいただきたい」とのこと。
さらに、Shanlingブランドからも初披露の製品が登場。ハイレゾプレーヤー「M6 Pro」を超えるフラッグシップモデルとして開発されている「M8」で、11月末の発売を予定。価格は未定だが、「税込みで18万円を下回るくらいのイメージ」だという。フジヤエービックでの先行販売も予定している。
5型のフルHDディスプレイを採用。DACはAK4499EQをデュアルで搭載。Qualcommの「CSR8675」を備え、PCMで768kHz/32bit、DSDで22.4MHzまでの再生が可能。OSにはAndroidを採用する。内蔵ストレージは64GBで、Bluetooth 5.0に対応。7,000mAhの大容量バッテリーも搭載する。
最大の特徴は、本体上部に備えているイヤフォンジャックそのものを、専用のツールで“引き抜き”、別のものに交換できる事。例えば、3.5mmのジャックを抜いて、4.4mmに変更するといった事ができ、将来的な拡張性を備えたとしている。また、この方式を採用する事で、「オーディオ回路の面積にも余裕ができた」とのこと。
音の傾向としては、「硬質でドライでシャープなM6 Proと比べ、柔らかく暖かみを感じさせる、誇張のないニュートラルな音。音の立体感、音場の広さなども特徴」だという。
アユート
当初のイベントスケジュールには無かったが、Acoustuneから新イヤフォンが急遽到着したと、アユートも発表に乱入。Acoustuneのフラッグシップとなる予定の、最新機種のプロトタイプを披露した。
開発コードネーム「HS2000MX」で、価格は未定だが、「税抜で15~18万円程度のイメージ」だという。
既に2年半開発しているというモデルで、現在は搭載する新しいミリンクスドライバーの第一試作にこぎ着けた段階だという。このドライバーの特徴は、医療分野で人工皮膚や手術縫合糸などに使われる合成素材であるミリンクスを薄膜成型した振動板と、同じく超薄膜成型した金属ドームを組み合わせている事。今まで量産が困難だった素材とプロセスに、あえて取り組んだモデルになるという。
また、Acoustuneカプセルテクノロジー規格「ACT規格」を新たに作り、採用。これは、ユーザー自身がイヤフォンの音響チャンバーの安全に換装できるようにする規格だという。
トップウイングサイバーサウンドグループ
トップウイングサイバーサウンドグループは、9月から発売している英iFi-Audioのヘッドフォンアンプ「ZEN CAN」を紹介したほか、iFi-Audioの新製品として、「ifi audio NEO iDSD」を公開した。
薄型のDAC兼ヘッドフォンアンプで、縦向きに設置する事も可能。パソコンのデスクトップなどに設置しやすい。2020年末の発売で、予価は95,000円。
データはDSD 22.4MHz、PCMは768kHz/32bitまでサポート。さらにMQAのフルデコードが可能なのも特徴。USB、同軸、光デジタル入力を各1系統搭載。RCAのアンバランス、XLRのバランス出力に加え、ヘッドフォン出力として4.4mmのバランスと、6.3mmのアンバランスを搭載する。
Bluetoothにも対応しているのが特徴で、コーデックはSBC/aptX/aptX HD/aptX Adaptive/aptX LL/LDAC/HWAなどもサポートする。
Lotooからは、お馴染みのハイレゾプレーヤー「PAW Gold」の限定モデルとして、無垢のチタン筐体を採用した「Lotoo PAW Gold Titanium」が999台限定で登場予定。価格は55万円を予定しているという。発売は12月上旬。
コペックジャパン
コペックジャパンは、ポータブルヘッドフォンアンプの新製品として、Cayin「C9」のプロトタイプを紹介。次世代真空管のNutubeを、4ch分搭載しているほか、ソリッドステート回路も搭載。ヘッドフォン出力のシングルエンド、そしてバランス出力においても、真空管の音と、ソリッドステートの音、好きな方で楽しめるようになっている。音声入力は3.5mmのシングルエンドと、4.4mmのバランス入力を搭載する。
Nutube回路は、2本のKORG Nutube 6P1ミニチュアバイポーラチューブから構成。ソリッドステート回路は、MOSFETの「2SK209」を軸とし、オーディオに特化したJFET型FETトランジスタで構成している。
ポータブルではあるが、大柄な筐体で、重量は550g。価格は未定だが、年末の発売を目指しているという。
ダルマオーディオ
2019年4月に、深センで設立された新興メーカーのダルマオーディオは、自社ブランドのVento Conductorを展開中。その新製品として、有線イヤフォンの「Vento Conductor T-500Pro」を紹介した。
T-500をベースに、ダイナミック型ドライバーを大型タイプに置き換えているのが特徴。ドライバーは自社開発で、サイズは8.5mmから8.6mmへ大きくなった。振動板には、独自素材を使っている。
「T-800」からステム径の小型化にも成功。独自のメッシュを採用する事で、T-500と比べ、250~400Hzの帯域を抑制。解像度のアップ、低音域の弾力性などを改良したという。リケーブル対応で、2ピン端子を採用。オリジナルケーブルの「燦爛(さんらん)」を標準で付属する。
11月中旬から、試聴機の無料貸出を開始する予定。販売開始は12月中旬の予定で、公式サイトで販売する。価格は後日発表される。