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AIがBGM尺を自動調整。Premiere Pro CCなど機能強化

「Premiere Pro CC」にパブリックベータとして導入されたリミックス機能

アドビは10月27~28日の2日間に渡ってオンライン開催するクリエイティブイベント「Adobe MAX 2021」にあわせて、「Adobe Creative Cloud(Adobe CC)」のアップデートを提供開始した。映像編集/制作ソフト「Premiere Pro CC」では、音声テキスト機能が強化されたほか、最新のミラーレスカメラやiPhoneの10bitおよびHDRメディアを含むH.264、HEVCフォーマットに対応した新カラーマネジメントなどが提供される。

Adobe CCビデオ/オーディオ製品には、Premiere Pro CCのほか、Adobe After Effects、Adobe Character Animator、Adobe Auditionなどが含まれる。今回のリリースでアドビのビデオ/オーディオアプリケーションのバージョン番号は、すべて22.0に統一された。

そのほか「協調型クリエイティビティの実現」として、「Adobe Creative Cloud Web」(ベータ版)や、コンテンツの真正性を担保する「コンテンツクレデンシャル機能」の導入なども明かされた。

Premiere Pro CC

音声テキスト変換

音声テキスト変換が強化され、対応する13の言語でポップカルチャー用語の変換精度が向上。日付や数字のフォーマットも改善され、キャプションをサイドカーファイルとしてのみ書き出す新しいオプションも追加された。

Lumetri機能も強化された

新しいカラーマネジメントにより、読み込み時と書き出し時に正しいカラースペースで映像を解釈し、カラー対応したベクトルスコープやカーブコントロールの改良などのLumetri機能の強化により、カラーワークフローが効率化される。

シーケンスの簡略化が利用可能に

10bit 4:2:2 HEVCのハードウェアアクセラレーションにより、Appleシリコン搭載MacとIntel搭載Windowsで、同フォーマットのスムーズな再生が可能に。またギャップ、未使用のトラック、ユーザーが指定したクリップ、またはエフェクトなどを削除して、現在のシーケンスのクリーンなコピーを作成できる「シーケンスの簡略化」も提供される。

さらにAI機能「Adobe Sensei」を使ったパブリックベータ版新機能も登場する。リミックス機能では、音楽トラックを、映像にマッチするよう“インテリジェント”に再配置。レーザーツールでカットしたり、クロスフェードを手動で適用するかわりに、Adobe Sensei AIテクノロジーによって、楽曲のオーディオパターンと音の強弱が分析され、特定の尺に収まる新しいリミックスが生成される。同機能は「Adobe Audition」に先行搭載されていたもの。

そのほか、より高速な書き起こしパフォーマンスを実現し、インターネット接続なしに音声テキスト変換を使えるようになる「オンデバイス音声テキスト変換」も提供する。同機能は希望者が言語パックをダウンロードし、ベータ版ビルドにインストールすることで利用可能。最初のパブリックベータでは英語のみに対応する。先日買収が完了したクラウド型ビデオコラボレーションプラットフォーム「Frame.io」の機能も利用可能。

After Effects/Character Animator

パブリックベータ版で好評だったというマルチフレームレンダリングが利用可能となった

After Effectsでは、パブリックベータ版で好評だったというマルチフレームレンダリングが利用可能に。最大4倍のパフォーマンスを発揮するマルチフレームレンダリングは、CPUを最大限に活用することで「クリエイティブな作業を加速」させるという。そのほか、システムがアイドル状態のときにバックグラウンドでコンポジションを自動的にレンダリングするための「スペキュラティブプレビュー」も提供。

書き出しに関しては、レンダリング完了時にAdobe Creative Cloudアプリを介してデスクトップやユーザーのスマートフォン、スマートウォッチに通知する機能も提供される。パブリックベータ版にはAdobe Senseiを搭載したシーン編集検出も導入されるほか、Apple M1チップへのネイティブ対応も行なわれた。

Character AnimatorではノートPCの内蔵カメラでボディトラッキングが可能に

Character Animatorには「Adobe Sensei搭載のボディートラッカー」が登場。ノートPCのインカメラなどを使ったボディトラッキングが可能になるもので、従来の表情だけでなく、手足の動きも検出してくれる。

コンテンツクレデンシャル機能/Adobe Creative Cloud Web

コンテンツクレデンシャル機能は、2年前にアドビが立ち上げた「コンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative=CAI)」を次の段階に進めるための機能に位置づけられる。Adobe Photoshop、Adobe Stock、Behanceをはじめとしたさまざまな製品で提供される。

「コンテンツクレデンシャル機能」の例。どのアプリで、どういった編集が行なわれたかといった情報が表示される
確認用Webサイト「Verify」で画像とそのコンテンツクレデンシャル情報の概要、詳細を確認できる

Photoshopのデスクトップアプリでは、制作中の画像の編集内容やアイデンティティ情報をキャプチャし、画像を書き出す際はその情報を画像に添付することが可能に。このメタデータは改ざん不可能で「プロ、アマを問わず、作品の帰属を表明する新たな選択肢」になるとのこと。

あわせて、画像とそのコンテンツクレデンシャル情報の概要、詳細を確認できるWebサイト「Verify」も提供する。

「Adobe Creative Cloud スペース」(プライベートベータ版)
「Adobe Creative Cloud カンバス」(プライベートベータ版)
ブラウザ版「Adobe Photoshop web版」(ベータ版)

プロジェクトに関連するすべての素材や資料を1カ所で共有できるデジタルスペース「Adobe Creative Cloud スペース」(プライベートベータ版)や、共有ステージ「Adobe Creative Cloud カンバス」(プライベートベータ版)を提供。さらに共有と閲覧、レビュー、ライトな編集がブラウザだけでできる「Adobe Photoshop web版」(ベータ版)、「Adobe Illustrator web版」(プライベートベータ版)などを提供する。

10月27~28日のAdobe MAXは参加無料

オンライン開催されるAdobe MAXは、誰でも無料で参加可能。期間中はお笑い芸人の渡辺直美やクリエイティブディレクターの佐藤可士和、映像監督/写真家の林響太朗、Youtuberのあさぎーにょなどによるセッションが行なわれる。

27日、28日の両日20時からは、ストリーミング番組「Creative Cloud道場」を生配信する、Adobe MAXオンライン打ち上げも開催。プロデューサーとしても活躍する俳優・山田孝之などが登場する。