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Premiere Pro新UIが本実装。素材を読み込んですぐ編集可能に

新UIの読み込みモード

アドビは、動画編集ソフト「Premiere Pro」「After Effects」をアップデート。Premiere Proには、ベータ版で公開されていた新インターフェイスを本実装したほか、Adobe Senseiを活用したオートカラー機能などを追加。After Effectsには、レンダリング済みの動画をシーン毎に区切る「シーン編集の検出」などが追加された。

Premiere Pro

2021年6月にベータ版にて公開された新インターフェイスが製品版に本実装。「読み込み」「編集」「書き出し」いう、編集プロセスにおける3つの主要フェーズが統合されたヘッダーバーを導入。ホーム画面から「新規プロジェクト」を選択すると、そのまま「読み込み」モードに推移し、編集に使う素材の選択が行なえる。

従来の「新規プロジェクト」や「新規シーケンス」のような、複雑で分かりにくいダイアログで設定をする必要がなくなった。

選択して読み込んだ素材は、シーケンスウィンドウに自動で取り込まれ、そのまま編集作業が行なえる。編集中に、再度読み込みたい素材ができた場合でも、ヘッダーバーの「読み込み」をクリックすれば、読み込みモードの画面に戻って素材を選択できる。

素材の選択画面では、ベータ版提供時の要望が多かったというマウスドラッグによる複数選択にも対応。アイコンの表示も切り替え可能で、詳細表示にすることで、動画のサイズやアスペクト比、4KやHDRで撮影しているか、などといったことが確認できる。スマホで縦位置で撮影した動画についても縦長でプレビュー表示されるほか、サイズの表記で確認しやすくなった。

読み込みモードで素材の詳細を表示した様子
決定すると、選んだ素材がシーケンスに自動で挿入される

「書き出し」についても、書き出し先優先の設計に変更。ローカルドライブに複数のファイルを簡単に書き出し可能で、コンテンツの投稿および保存先に応じたオプションも用意。例えば、YouTubeやTwitterといった投稿先のメディアを選択することで、そのメディアに投稿するのに最適化されたプリセットで書き出しが行なえる。

書き出しモード。投稿したいSNSを選択するだけで、それに合わせて最適なプリセットで書き出してくれる

メディアの選択時に、書き出した動画を直接投稿できる機能の設定も表示。YouTubeなどへ直接投稿できる機能は、従来から搭載していたものの、深い階層にあったことからあまり使われていなかったという。

メディアファイルの複製も可能。書き出すファイル毎に解像度などの設定も行なえるため、例えば、4Kのオリジナルのデータと720pのプロキシデータも作成したいと言った際に、同時に書き出しが行なえる。

「学習」「アセンブリ」「カラー」など従来ヘッダーバーに表示されていたワークスペースメニューは、ウインドウ右上にワークスペースアイコンに集約。この表示もPhotoshopやIllustratorに合わせた仕様となっており、これまで別のAdobeソフトを使っていたユーザーがPremiere Proを扱う際にも、直感的に使えるように改善したという。

ワークスペースは右上のアイコンに集約されている

ウインドウ上部右端には、最大化アイコンを設置。これまでコマンドのみで対応していた、プレビュー画面の最大化がアイコンのクリックで可能になった。

また、ベータ版にて公開していたオートトーン機能を「オートカラー機能」として本実装。Lumetriカラーの基本補正の欄に「自動」というボタンが追加され、クリックすることで、AdobeのAI技術Adobe Senseiによって、カラーを自動補正する。また、「自動」の項目の下には「強度」を調整できるバーを装備。左右に動かすことで、補正の度合いを調整できる。

Lumetriカラーの基本補正の欄に「自動」ボタンが追加された。下の強度バーで補正の微調整も可能

Lumetriカラー内メニューの表記は、Lightroomに合わせて変更しており、ホワイトバランスや色温度、色かぶり補正などの項目を「カラー」、露光量、コントラスト、ハイライトなどの項目を「ライト」にそれぞれ集約している。

After Effects

After Effectsは、製品版でもApple Siliconへネイティブ対応。M1 MacにてAfter Effects 22.2を起動した場合、最大3倍高速化する。

「シーン編集の検出」機能がAfter Effectsにも実装。Adobe Senseiの機械学習により、レンダリング済みのシーケンス内のカットポイントを特定する機能で、編集済みコンテンツを素材にしたモーションデザインの作業がより効率的に行なえる。Premiere Proに実装された機能と同じもので、After Effectsユーザーからも「同じ機能が欲しい」という要望が多かったため、実装に至ったという。

「シーン編集の検出」機能
レンダリング済みのデータもシーン毎にカットされる

フレームの外側にある2Dおよび3Dレイヤーを表示できる「拡張ビューア」も追加。フレームからはみ出した部分を隠したり、透明度を変更したりして、最終的な見え方を確認しながら作業が行なえるほか、フレームの外側の素材も編集でき、作業効率を向上するとしている。

拡張ビューア

「Frame.io」がCreativeCloudのプランに追加

映像制作中に、チーム間などで修正点や改善点を指摘できるコラボレーションサービス「Frame.io」がCreative Cloudのプランに追加。コンプリートプラン、Premiere Pro/After Effectsの各単品プラン、学生/教員向けコンプリートプランを契約しているユーザーは、追加料金無しで、従来のFrame.io有料プランと同等の機能を利用できるようになる。

Premiere Pro/After Effectsを最新版にアップデートし、「Frame.ioでレビュー」パネルからAdobe IDでサインインすると利用可能。古いバージョンのPremiere Pro/After Effectsでも、Frame.ioパネルを別途インストールするか、ブラウザ経由でWebアプリにアクセスすると利用できる。

Premiere ProでFrame.ioのパネルを開いた例

Premiere Proから動画のアップロード、コメントの確認ができるほか、付いたコメントをクリックして確認した際に、編集中の動画のシーケンスバーも該当の位置に自動で移動するため、指摘を受けたシーンの編集が手軽に行なえる。

Premiere Proのウィンドウメニューに「Frame.ioで確認」の項目が追加され、開いたウィンドウで「アクティブシーケンス」を選択することで、編集中の動画のデータがそのままアップロードされ、リアルタイムにコメントが反映される。

Frame.ioでアップロードされた動画のチェックやコメントを入れる側の人は、CreativeCloudユーザーであればPCのほか、スマホ版でも利用できる。そのほか、Creative Cloudのストレージとは別に、100GBの専用ストレージも用意されている。