ニュース
Acoustune、新素材と最新技術多数投入の旗艦イヤフォン「SHO-笙-」
2021年10月29日 11:00
アユートは、Acoustuneブランドより、新素材と最新技術を多数投入したフラッグシップモデルの密閉ダイナミック型有線イヤフォン「SHO-笙-」を、11月19日に発売する。価格は219,980円。
当初の開発コードネームは「HS2000MX」。独自のダイナミックドライバーを基軸とするAcoustuneが、過去の製品で培った技術と知見を、最新の設計思想をもとに、これまでの量産品では採用をやむを得ず諦めていた新素材、技術を投入して作り上げたフラッグシップモデルとなる。
ブランドで初めて製品に「笙(しょう)」と愛称も設けられた。笙は雅楽で使用される竹管楽器で、一竹(いっちく)と呼ばれる短音と、合竹(あいたけ)と呼ばれる和音の響きが特に美しく、その音色は天光を表すとも言われる。
今回、HS2000MXが笙のように美しい響きを奏でるようにとの想いに加え、笙はその形状から翼を立ててたたずむ「鳳凰」に見立てられ「鳳生」とも呼ばれることから、イヤフォン本来の音楽性の追求と、それを所有することを歓びとする商品としてのデザイン性の両立を高次元で実現させるという想いも込めて、この愛称を与えたとのこと。
ドライバーには医療グレードのポリマーバイオマテリアルを基本素材に使用した「ミリンクス振動板」に「日本製ベリリウム薄膜加工ドーム」を組み合わせた複合構成を採用。従来製品では入手性、量産性、コストなどの兼ね合いから採用できなかった素材を、新規サプライヤーの開拓などから見直した上で実現した。口径は10mm。
ダイナミック型ドライバーの特性である、全帯域において継ぎ目のないスムーズでリニアな再生と豊かな低音といった特徴はそのままに、高剛性なメタルドームにて共振を抑制しつつ制動の効いた締まりのある低音も実現。「まるで統率のとれたオーケストラのように音楽を奏でる」という。
チャンバー素材には、ドライバーレスポンスを最大限に高めるため、CNC切削の超々ジュラルミンを採用。同モデルで使用されるA7075は、ほかの金属に比べて軽量なアルミニウム合金の中で、最も高い強度を持つ。従来のモデルに使用されてきたチタンやステンレスのような難削材に比べて切削性が優れるため、精度をさらに追い込むができ、従来の材料に比べてリジッドにマウントできるメリットもある。
これまでのAcoustune製品は、音響チャンバーと機構ハウジング部が完全分離したモジュラー構造を採用していることが特徴だったが、今回そのモジュラー構造がさらに進化。高精度でガタつきの少ない可動式アウターハウジングを開閉することで、ユーザー自身が音響チャンバー部を交換でき、今後のオプションやアップグレードにも対応可能な「Acoustune Capsule Technology(A.C.T)」が初めて採用された。
再生周波数帯域は10Hz~25kHz、インピーダンスは24Ω@1KHz。感度は110dB@1mW。
ケーブルにはAcoustuneの新世代ケーブル、「ARS100」シリーズを採用。線材や芯数、編み方など試行錯誤を重ねた結果、ケーブルとしての完成度の高さとイヤフォン全体のバランスを考慮し、最終的に標準品と同等のものが採用された。
オーディオケーブル専業メーカーと共同開発されたケーブルで、シルバーコートOFC線と極細OFC線のハイブリッドケーブルを16芯構造化した線材や、日本ディックス製Pentaconn Ear端子を継続採用。工作精度の高い金属パーツなどはそのままに、本体色のDeep Sea Blueをコネクター部、スプリッター部、イヤホンジャック部といった金属パーツ部にも採用し、全体での調和をとり、高級感が演出されている。プラグは3.5mmの3極ステレオミニで、ケーブル長は約1.2m。
イヤーピースは、同ブランドのイヤフォン開発にも使われているリファレンスモデル「AET07」をリニューアルした「AEX07」と、本製品で初めて同梱される新形状イヤーピース「AEX50」が同梱される。AEX07は、AET07の基本設計をもとに、3Dカスタムフィットインターシェル「ST1000」作製実績で得られた数多くの耳型データなどから、形状の微調整とサイズバリエーション展開が見直されている。S/M/Lの3サイズが各1ペアずつ同梱される。
初登場のAEX50では、SMPテクノロジーズ製形状記憶ポリマー「SMP iFit」を素材としてダブルウィング形状を採用。広いウィング部分は、外耳道入り口付近の肌に対し、通常タイプのイヤーピースより広い面積で密着。素材のもつ装着時の形状を維持する特性と相まって、外耳道入り口付近で耳にぴったりとフィットするため、奥まで挿入する必要がなく、違和感をなくしているという。さらに装着位置の関係から外耳道内の空間容積をより確保するため、通常タイプのイヤーピースとは異なる音場感を感じられるとのこと。SHO-笙-では、このAEX50がリファレンスイヤーピースとなる。XS/S/M/L/XLの全5サイズを各1ペアずつ同梱。
そのほか、AET02フォームイヤーピース、AZLA SednaEarfit XELASTECイヤーピース(SS/MS/ML)、キャリングケースも付属する。重さはケーブルを含めて約57g。
ファーストインプレッション
ミリンクス振動板を採用したAcoustuneのイヤフォンは、もともと細かな音の表現が得意で、音楽の中で埋もれがちな小さな音や、楽曲エンコード時のビットレートの違いによる音の差なども非常にチェックしやすい。
SHO-笙-は、そうした特徴をさらに進化させ、さらに細かな情報まで克明に描写。恐ろしいほどの解像度を見せつける。音色に色付けはまったく無く、音自体を微細に表現しつつ、SNも非常に良いため、「宇多田ヒカル/花束を君に」を聴きながら“音が無い”無音部分に注目すると“しっかりと無音”だ。
空間の中での音像の描き方も、どこまでもシャープ。音像と音像の間の空間にも、しっかりと距離があり、まるでスピーカーのように音離れが良い。「コーネリアス/Beep It」を再生すると、ビートのキレと、情報量の波が今まで経験した事のないレベルで押し寄せてくる。要注目のハイエンドイヤフォンだ。