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ウクライナ製イヤフォンや「FitEar TG224s」、88台限定「intime翔 スペシャル版」も
2023年7月15日 16:45
フジヤエービックによるイベント「夏のヘッドフォン祭 mini 2023」が7月15日に開催。会場はこれまでの中野サンプラザではなく、東京駅の隣にあるステーションコンファレンス東京に移動した。入場は無料だが、登録入場制。ここではFitEarやアユート、トップウイングなどのブースをレポートする。
FitEar
FitEarのブースでは、カスタムイヤフォンをベースとしたユニバーサル化した「TGシリーズ」の第5弾として、「FitEar TG224s」を参考出品している。試聴も可能。
2020年5月から発売しているカスタムイヤフォン「FitEar 224」のユニット構成などはそのままに、ユニバーサル化したもの。フルレンジBA×2、高域BA×2で、発売時期や価格は未定。「既存のTGシリーズと同様の価格をイメージしており、年内にはリリースしたい」という。
FitEar Silverなどで得た知見を活かし、従来のTGシリーズよりもコンパクトなユニバーサルシェルを採用しているのも特徴。耳穴への干渉を抑える楕円形のステム断面と、高域減衰を抑制するホーン形状の音導穴開放部により、カスタム設計時に想定された本来の遮音性と、音質バランスを実現する、独自技術から生まれたデザインだという。
アユート
アユートのブースでは、Maestraudio(マエストローディオ)のユニークなイヤフォンが聴ける。
Maestraudioの製品は、3.5mmアンバランスケーブルの「MA910S」(11,000円)と、4.4mmバランスケーブルを採用しチューニングをバランス接続用に再調整した「MA910SB」(13,200円)、3.5mmアンバランスながらPentaconn earでケーブル着脱可能な「MA910SR」(19,800円)が発売されている。
会場に参考出品されたのは、この中のMA910SRのケーブルを、4.4mmバランス化したもので、発売は未定。実は、MA910SRは基本的にアンバランスケーブルに特化してチューニングされているため、ケーブルだけそのままバランス化すると、低域が薄まってしまうという。
一方で、既発売の4.4mmバランスケーブル採用「MA910SB」は、バランスケーブル用にチューニングを施されているため、そのような傾向は無い。つまり参考出品されたイヤフォンは、「ケーブルをバランスにするだけではダメで、そのケーブルに合うようチューニングすることの大事さ」がわかるイヤフォンになっている。
他にも、qdc初となる10mm径シングルフルレンジダイナミックドライバー搭載の「SUPERIOR」も、7月22日の発売を前に体験可能。“アユートの営業S氏”が、約200時間のエージングを済ませた“本領発揮バージョン”の音が楽しめる。価格は14,300円と、qdcとしては価格を抑えつつ、音質や質感を高めている。
また、今後発売予定のULTRASONE「Signature PURE」(3万円強)では、通常と異なるイヤーパッドを装着して出展。パッドの違いによる、音の変化を体験できる。
トップウイングサイバーサウンドグループ
iFi audioから今後登場予定の製品として、非常にユニークな「iCAN Phantom」を参考展示している。試聴はできないが、興味深い仕様をチェックできる。
一見すると、黒い製品の上にシルバーの製品が重なっているようだが、上下は一体となっており、上部の前面にボリュームコントロールなどの操作系を、下部の前面と背面にヘッドフォン用の各種入出力端子を備えている。
特徴は、4.4mmバランスや、XLRバランスなどのヘッドフォン出力に加え、エレクトロスタティック型の出力も備えている事。さらに、エレクトロスタティック型はヘッドフォンによって電圧が異なるが、それらの製品に向けて電圧を変えるカードを6種類(500VDC~640VDC)同梱。例えばゼンハイザーHE-60向け、STAX向けなどのカードがあり、それらをスロットに挿入すると、それに対応したヘッドフォンをドライブできるという。
なお、エレクトロスタティック型を接続しない場合は、同回路をOFFにして、音質への影響を低減するボタンも備えている。
飯田ピアノ
飯田ピアノのブースでは、ウクライナ・Ambient Acousticsブランドの製品で、片側に24基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載した有線イヤフォン「MAD24-U」を展示。8月4日発売予定で、価格はオープンプライス、店頭予想価格は55万円前後。
電気的なパッシブフィルターを使わずに帯域を分割しているのが特徴で、各ドライバーの周波数帯域の自然な減衰と、音響回路(音導管)にさまざまな音響負荷を用いることで周波数帯域を分離する、独自の音響フィルター「ANOR(Acoustic Notch Resonator)」を活用した。
もともとはカスタムIEM(インイヤーモニター)として発売された「MAD24」を、3Dモデリングと3Dプリント技術を導入することでユニバーサルイヤフォン化したモデルとなる。
さらにブースでは、BAを16基搭載(低域×4、中域×8、高域×4)したユニバーサルの下位モデル「MAD16-U」も、今後登場予定のイヤフォンとして紹介している。
また、飯田ピアノが今後取り扱いを開始予定の、主にアナログレコード製品分野を扱う中国Fennessy Groupの製品も参考展示。2007年に設立されたブランドで、レコードプレーヤーをライフスタイルと融合させたハイファッションスタイルの「Fennessy」、よりカジュアル・かつストリートファッションスタイルを持つ「HYM」、Hi-Fiオーディオの要素に特化した音質を追求する「Jasmine」と、ジャンル別に3つのブランドを有している。
オーツェイド
88台限定のイヤフォン「intime翔 Special Version」が注目を集めている。7月29日発売で、価格は149,000円。
2020年12月に発売した「intime翔」の販売台数が300台に達したことを記念した限定イヤフォン。非鉛系圧電セラミックツイータKNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)を用いたVST-Kを搭載。従来のVSTと比較してダイナミックレンジは劣るが、セラミックスの構造を変更して、その排除体積を増大させて感度を補正したという。
筐体も全て切削加工による金属部材で構成。特にユニット固定部材はより頑強であることが必要があるため、アルミニウムを用いてユニットを強固に固定した。
さらに、切削加工されたチタン筐体の表面には加工変質層(加工歪)が存在し、この変質層が筐体剛性のバラツキになるため、群馬県の職人によるサンドブラスト加工を筐体表面に施し、加工変質層を取り除き表面の加工状態を均一にしている。
さらにサンドブラストした筐体表面が肌触りの良いモノにするために燕三条の職人による陽極酸化加工を施すことで表面をなめらかにし、同時にintimeブルーを着色。非常に手の込んだ仕上げになっている。
プリモ
プリモは、1980年~1990年代に好評だったヘッドフォンを復刻した、オープンエアタイプの「CD-3」を販売中だが、このヘッドフォンをMMCXのリケーブル対応にしつつ、バランスケーブルを採用したモデルを参考出品。既存のモデルと比べ、少し高価になる見込みだという。
ピクセル
Acoustuneブランドのイヤフォン、「HS2000MX SHO -笙-/HS2000MX SHO -笙- MKII」専用の交換チャンバー「ACT06」「ACT07」を展示しているほか、先週のポタフェスではできなかった試聴が可能になっている。
さらに、交換用ケーブル「ARX210」(3.5mmアンバランス)と、「ARX220」(4.4mmバランス)も出展。耐久性を上げるために純銀も取り入れているのが特徴で、どちらも8月下旬頃の発売予定。ARX210が2.8万円、ARX220が3万円ちょっとになる見込み。
デノン
ディーアンドエムホールディングスのブースでは、7月1日に発売されたばかりのデノン新イヤフォンで、革新的なパーソナライズ化機能を備えた「PerL Pro(AH-C15PL/57,200円前後)」、「PerL(AH-C10PL/33,000円前後)」を紹介。
パーソナライズ化において、ユーザーの自己申告ではなく、医療機器の技術を応用した測定で“聴こえ方”を自動で調べ、それを踏まえて音の補正をしてくれる「Masimo AAT」機能が特徴。ブースではその体験もできる。
ラックスマン
ラックスマンブースでは、同社初のネットワークトランスポート「NT-07」(7月発売/594,000円)が登場。
最新世代のアプリケーションプロセッサーによるハイパフォーマンス音声信号処理モジュールや、オーディオ的アプローチによる徹底したノイズ対策、スマホやタブレットに対応した専用のコントロールアプリと赤外線リモコンの付属、既存のシステムにアドオンしやすい薄型フルサイズ筐体といった、「オーディオ再生のみに完全に特化した高品位なデジタルオーディオトランスポート」として開発。
HDMI入出力も用意しており、映像ソースの音声信号を2チャンネルオーディオ環境に取り込む機器としても使用できるのが特徴。Blu-rayプレーヤーなどを接続するHDMI入力端子と、テレビの音声を受けるためのHDMI ARC端子を搭載する。