ニュース
DALI、KOREの技術を多数投入した新フロア型スピーカー「EPIKORE 11」
2023年9月27日 11:00
ディーアンドエムホールディングスは、DALIブランドのフロア型スピーカー「EPIKORE 11」を10月6日に発売する。価格は1台400万円(税別)で、ペアのみでの販売。仕上げはグロスブラック、グロスマルーン、グロスウォールナット。
デンマークで設計・生産されるスピーカーで、ラグジュアリーなキャビネットが特徴。2022年に発表されたフラッグシップスピーカー「KORE」の新技術を取り入れており、「EPICONとKOREを繋ぐDALIの新しいラインナップ」になるという。
天然木突板を採用。新しいロゴプレートや、グリルデザインも新しくなっている。コストを抑えるため、昨年発表された「KORE」のような積層のキャビネットではないが、18mm厚の曲面と突き板仕上げのMDF製リアシェル、各バスドライバー・セクション用のなだらかなプロファイルを施した40mm厚のMDF製フロントパネル、そしてミッドレンジドライバーとEVO-Kハイブリッド・ツイーターを収納するアルミダイキャスト製エレメントで構成されている。
ユニット構成としては、4+1/2ウェイで、ハイブリッド・ツイーター・モジュールの「EVO-K」と、6+1/2インチウッドファイバーコーンミッドレンジを1基、8インチのウッドファイバーコーンウーファーを4基搭載する。
EVO-KはKOREで採用されたものと全く同じ。35mmのソフトドームツイーターと、55×10mmのリボンツイーターを、アルミダイキャストのバッフルに取り付けている。いずれもデンマーク自社製のユニット。低周波数帯域での性能向上、クロスオーバー周波数でのシームレスな統合、低歪み、コンプレッションの低減などを実現しているという。
ドームツイーターは35mmと大型で、ミッドレンジとの自然でスムーズな繋がりを実現。磁気回路にはネオジウムマグネットを採用。磁性流体を使わないことで、低機械的損失構造になっている。
リボンツイーターは進化した振動板や、パワフルになったネオジウムマグネットの磁気回路を採用。新しいシェイプのウェーブガイドも備えた。
ミッドレンジとウーファーには、独自の第2世代SMCウッドファイバーコーンを採用した。SMC(Soft Magnetic Compound)は、磁気回路に用いている技術。磁気回路に砂鉄を使っているのだが、鉄は磁気を通すだけでなく、電気も通す性質がある。そこで電気抵抗の高いものにする必要があるが、SMCでは、砂鉄の一粒一粒に化学的なコーティングを施した。これにより、高い透磁率と、低い導電率を実現。第2世代になったことで、さらなる低歪を実現したという。
ミッドレンジはEPIKORE 11専用に新開発されたもの。低損失のラバーエッジを採用するほか、より大きなサイズのマグネットを採用している。ボイスコイルは25.4mm。チタン製のボイスコイルフォーマーや、エンボス加工した振動板を採用している。
ウーファーも専用に新開発されたもので、低損失ラバーエッジや、新ボイスコイル、38mmの新しいチタン製ボイスコイルボビンを採用。マグネットも大型になった。
スピーカーターミナルは新設計で、削り出しの金メッキ仕上げ。4mmのバナナプラグに加え、スペードにも対応。バイワイヤリング接続も可能。脚部には、高さ調整可能なアウトリガータイプのスパイクシステムを搭載する。
再生周波数帯域は29Hz~34kHz ±3dB、感度は89dB(1m/2.83V)、公称インピーダンスは4Ω。クロスオーバー周波数は170/370/3,100/12,500Hz。推奨アンプは40~1,000W。外形寸法は422×554×1,602mm(幅×奥行き×高さ/スパイク含まず)。重量は75.6kg。
音を聴いてみる
圧倒されるサイズだったKOREと比べると、高さこそあるものの、EPIKORE 11は使いやすいサイズ感に収まっている。
それでいて、サウンドはKOREの特徴に近く、圧倒的に雄大な音場と、おだやかを感じさせるナチュラルな音が聴いていて心地が良い。ストレスが無いため、ハイエンドスピーカーによくある「音と対峙している」ような緊張感が良い意味で無い。
しかし、“眠い音”ではなく、意識を集中させると細かな音は微細に描写されているのがわかる。シャープさと穏やかさが同居しているユニークなサウンドであり、これはDALIのより小型なスピーカーにも通じる特徴だ。そういった意味でも、大型モデルでありながら、DALIらしさをしっかりと貫いているのがEPIKORE 11と言えるだろう。