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ジャパンディスプレイ、茂原工場の’26年3月生産終了。eLEAPはファブレスへ
2025年2月14日 11:25
ジャパンディスプレイは12日の取締役会において、2026年3月を目途に千葉県にある茂原工場でのパネル生産終了を決議。工場は、「売却を主眼とするAI データセンターとしての活用を見込んでいる」という。
今後の国内生産は石川県の石川工場に集約。G4.5+G6高付加価値ディスプレイ、センサー、先端半導体パッケージングの同時生産を行なうMULTI-FAB工場として、「柔軟性、生産性、及びコスト競争力が極めて高く、幅広い顧客に対応可能な生産体制を構築する」という。
茂原工場での生産終了の理由について同社は、「厳しい過当競争が続くディスプレイ産業への依存による慢性的な赤字体質から脱却するためには、これまで以上に大きな戦略的転換が必要となってる。そのため、さらなる改革によりディスプレイ事業の早急な黒字化を図ると同時に、社会が求める高成長分野であるセンサー&ソリューション及び先端半導体パッケージングへの参入を図り、ディスプレイ専業メーカーから“BEYOND DISPLAY”への進化を遂げるための新たな戦略を推進している」と説明。
そのBEYOND DISPLAY戦略実現のため、経営資源の最適化として、「ディスプレイ事業についてはアセットライト化と生産効率の大幅な向上が早期の収益改善に向けて不可欠である」と判断。固定費負担の大きい茂原工場でのパネル生産を終了し、固定費がより小さく、先端半導体パッケージングとセンサーの生産において効率が良い石川工場に生産機能を集約することを決定した。
なお、茂原工場の人員については、「協業先と実行計画についての協議及び業界再編に向けた取り組みを進めている最中であり、決定次第お知らせする」としている。
工場資産は、現在、AIデータセンターのニーズのある多数の企業と資産売却を主眼に交渉を進めており、AIデータセンターとしての活用を推進。茂原工場で生産中の車載用を中心とするパネルは、「お客様と協議のうえ作り溜めや石川工場への生産移管を行なうほか、当社の設計したパネルをファウンドリーパートナーから調達することも含め、供給責任を果たしていく」という。
同工場にて生産しているOLEDディスプレイは、生産終了に伴い自社生産を中断する。その一方で、「eLEAPのファブレス事業展開とグローバルエコシステムの構築に向けてeLEAPパネルの委託生産先となるファウンドリーパートナーと協議を進めている」とのこと。
生産を集約する石川工場(基板サイズG4.5)は、茂原工場(同G6)と比較して固定費が約4分の1と小さいことに加え、G4.5基板サイズは今後注力する高収益が見込める先端半導体パッケージングやセンサーの生産に有利といった利点があるとのこと。これらを活かしつつ、競争優位性の高い製品に特化することで、収益改善を図る。
さらに、石川工場に茂原工場のG6液晶セル工程の設備を移設し、ファウンドリーパートナーからG6基板の調達を行なうことも予定。石川工場を「G4.5+G6」の工場に転換させ、MULTI-FAB工場としてG4.5+G6高付加価値ディスプレイ、センサー、先端半導体パッケージングの同時生産を可能とし、柔軟性、生産性、及びコスト競争力の高い、幅広い顧客に対応できる生産体制を構築するという。
石川工場における先端半導体パッケージング生産については、資本業務提携するテック・エクステンション、台湾PanelSemi Corporationの知見と技術と、JDIの高密度配線技術と薄膜・ガラス加工技術を融合。「これまでにない高性能かつコスト競争力の高い半導体パッケージングをグローバル顧客に提供する」とのこと。
茂原工場でのパネル生産終了と、eLEAP生産設備等に係る減損損失約204億円を第3四半期に特別損失として計上。これに伴い、2024年11月13日に公表した2025年3月期通期連結業績予想の純利益を、従来の393億円赤字から、620億円の赤字へと下方修正している。