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4K試験放送が6月2日13時スタート。4K番組は15本

W杯は日本戦など4試合をディレイ放送。受信機5台の船出

 次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)は、4K試験放送を6月2日13時より開始した。スカパーJSATの124/128度CS放送を利用し、チャンネル名は「Channel 4K」。無料で視聴でき、当初は1日6時間程度、13時から19時まで実施する。NexTV-F加盟各社が15本の4K番組を制作したほか、2014 FIFA ワールドカップも「日本 × コートジボワール戦」や決勝など、合計4試合を4K収録して放送するため調整中とのこと。なお、W杯は生中継ではなく、「1~3日遅れで、ゴールデンタイムに放送する」としている。

15番組を用意。ワールドカップは4試合

 加盟各社が4K試験放送予定の番組は、以下のとおり。

  • 富士山 ふしぎ水紀行
  • 観世流薪能
  • プロ野球中継 巨人×ヤクルト
  • フィギュアスケート GPファイナル2013
  • ワールドプレミアムスポーツ
  • THE 世界遺産
  • 熊川哲也バレエ
  • 大人の極上ゆるり旅
  • フジサンケイクラシック2013
  • ドラマW「チキンレース」
  • 城と酒蔵
  • 将棋棋戦特別対局 ~女流棋士対局
  • ラグビー関東大学対抗戦2013「早稲田大学 vss 明治大学」
  • アリスコンサートツアー 2013 ~It's a time~
  • ポール・マッカトニー アウト・ゼアー・ジャパン・ツアー
富士山 ふしぎ水紀行(NHK)
プロ野球中継 巨人×ヤクルト(日本テレビ)
ワールドプレミアムスポーツ(テレビ朝日)
熊川哲也バレエ(TBSテレビ)
THE 世界遺産(TBSテレビ)
大人の極上ゆるり旅(テレビ東京)

 2014 FIFAワールドカップについては、6月14日の「日本 対 コートジボワール」を含めて4試合を放送予定。生中継は行なわず、「1~3日遅れで、ゴールデンタイムに放送する」としている。また、パブリックビューイングなども予定している。

ワールドカップの4K放送予定

6月14日:1次リーググループC  日本 対 コートジボワール
6月28日:決勝トーナメント1回戦(ベスト16) グループC・1位対グループD・2位
7月4日:準々決勝
7月13日:決勝

 なお、4K収録が上記の4回になっているのは、「FIFAと協議の結果、(ベスト16以降の)4K撮影はマラカナン(スタジアム)で行なうので、機材の制限」としている。また、ワールドカップ関連の番組については現在も調整中のため、変更の可能性もあるとする。

ワールドカップの放送予定

当面無料放送。受信機5台での船出

 試験放送は124/128度CS放送のチャンネル「502」で実施。3,840×2,160ドットの4K60pで、映像圧縮はHEVCを採用する。

 受信に必要なものは以下の通り。

  • 4K放送に対応したテレビ
     4K対応テレビの内、Channel 4K対応受信機の出力に対応した HDMI入力があるテレビ
  • 今後発売予定の Channel 4K対応受信機と、スカパー!ICカード
  • チューナとテレビを接続するためのハイスピードHDMIケーブル(カテゴリ2)
  • 124/128度 CSデジタル放送対応アンテナ
シャープの4K放送レコーダ

 これらの機材を用意すれば、無料で視聴可能だが、著作権保護のためのスクランブルを解除する目的で、視聴の際には次世代放送推進フォーラムのコールセンターに視聴の申し込みが必要となる。このうちチューナは、シャープが4K試験放送の受信/録画に対応した初のデジタルチューナ/レコーダ「AQUOS 4Kレコーダー(TU-UD1000)」を6月25日から発売予定。

 今回の発表会では、ソニー、パナソニック、シャープ、東芝、LGの5社が4Kテレビを出展し、シャープの4Kチューナを使って、実際に衛星からの試験放送を受信し、4K放送の魅力をアピールした。6月2日時点での4K受信機の普及台数は「この会場にある5台のみ」とのことで、25日以前は番組を全編放送せずに、予告編などのリピート放送を行なう予定。

シャープ「LC-70UD20」
東芝「65Z9X」
ソニー「KDL-65X9200B」
パナソニック「TH-65AX800」
LG「65LA9700」
ソニーの4K放送チューナ試作機

 4K放送は、2016年に本放送へ移行予定だが、シャープ「AQUOS 4Kレコーダー(TU-UD1000)」は本放送の受信にも対応予定。ただし、2016年には8Kの試験放送がスタートし、その中でも4Kが含まれる可能性があるが、8Kでは衛星も110度CSに変更予定のためTU-UD1000では対応できない。

4K/8K放送のロードマップ

2020年4K/8Kオリンピックに向け加速

NextTV-Fの渡辺捷昭名誉会長

 NextTV-Fの渡辺捷昭名誉会長(トヨタ自動車前社長)は、「昨年総務省で4K/8Kのロードマップを決め、その目標である4K/8Kの高精細映像による放送サービスの早期実現に向けて取り組んできた。2014年に試験放送開始するという最初の目標に沿った形で、衛星放送、CATV、IPTV揃って放送開始を迎えることができた。フォーラム各社の皆様や関係の皆様の協力によるもの。引き続き、2016年、2020年の目標に向けて関係者が一致して取り組み、東京オリンピック/パラリンピックを全国で4K/8Kで視聴できるようにしてほしい。4K/8Kやスマートテレビなどは、グローバルでサービス導入が加速している。我が国の産業界はこうした厳しい環境の中で勝ち残っていかなければならない。一方で、4K/8Kの高精細映像技術は、医療や教育など多くの幅広い産業分野で新たな付加価値や課題解決手段になりうる。波及効果が期待できる。次世代サービス実現と市場創出が我が国のICT戦略の柱であり、同時に成長戦略を牽引するものと考える。最先端技術を日本のコンテンツや文化とともに、グローバルに展開してくことも大変重要。本日を大きな一歩として、4K/8Kの次世代放送/映像サービスの関連サービスが活性化し、我が国の経済成長を牽引することを期待している」と語った。

上川陽子総務副大臣

 上川陽子総務副大臣は、「オールジャパンで取り組んだNexTV-F参加の皆さんに敬意を表する。国際競争力の強化に向けた成長戦略の一環として、4K/8Kの早期推進を目指してきた。4Kは2014年、8Kは2016年にというロードマップを策定し、予算でも後押しした。この目標にそって、衛星やIPTV、CATVで試験放送が開始される。全国をカバーする衛星放送により、全国で4K放送が視聴可能になるのは世界初。大変喜ばしい。今後は2016年の4K本放送実現、8K試験放送開始を目標にする。2020年の東京オリンピックには、日本全国の多くの人に4K/8Kの臨場感ある映像を楽しんで欲しい。放送のみならず、医療や教育などの波及効果にも期待している。日本経済の活性化の鍵になる。総務省としても引き続きNexTV-Fの皆様と協力しながら、4K本放送、8K放送の実現に向けて取り組んでいく」と述べた。

NexTV-Fの須藤修理事長

 NexTV-Fの須藤修理事長(東京大学教授)は、試験放送チャンネル「Channel 4K」として、NexTV-Fが主体となり試験放送を運営することを紹介。また、衛星だけでなく、CATV、IPTVなどでの展開も予定していることを紹介。さらに、FIFA ワールドカップを4試合4Kで放送することを発表した。

 「4Kや8Kは、放送やVODだけでなく、様々な産業や公共サービスの高度化に役立つ、日本が優位性を持っているテクノロジー。今日の放送開始をきっかけにし、社会や暮らしをより便利にするサービスに育てていきたい」とした。

 カウントダウンイベントには、4K番組「アリス コンサート ツアー 2013 ~It's time~」で協力したアリスの谷村新司氏も登場。渡辺名誉会長と須藤理事長、上川総務副大臣と一緒にカウントダウンを行なった。

放送開始の13時を前にカウントダウン
13時丁度に放送開始
チャンネルロゴ

 また谷村新司氏は、自身が出演した4K放送について「照明が当たっていない部分の黒い部分が深く、きれいだなーと思った」、「最近シミには気をつけている。4Kでは目立つから」などと感想を語った。

アリス コンサート ツアー 2013 ~It's time~
テレビ朝日小川彩佳アナウンサーと谷村新司氏
旧知のNexTV-F渡辺名誉会長と谷村新司氏

 なお、現在の4K試験放送は、NexTV-Fが実施主体となっているが、放送事業者による事業化とともに本放送へ移行。試験放送の終了時期について、須藤理事長は、「明確は決めていないが、民間放送局がビジネススキームで立ち上がれば、徐々にフェードアウトする。できるだけ速く、放送局が本格放送して欲しい」と語った。

(臼田勤哉)