ミニレビュー

スプラ3をボイチャしながら快適プレイ!「Bluetoothゲーミングミキサー」使ってみた

AD-BTMIX/HN

「ゲームをしながら、友人らとボイスチャットをしたい」という人は多いだろう。PCゲームであれば、PCでボイスチャットもすればOKだが、ちょっと難しいのはNintendo SwitchやPS5などのゲーム機。これらのゲーム機は、専用のボイスチャット機能を備えていたり、専用アプリを使ったりしてボイスチャットを可能にしているが、Discordなど、ユーザーが多いボイスチャットがゲーム機本体では使えないのだ。

この場合、スマホやPCでDiscordなどのボイスチャットを使いながら、ゲーム機の音も聞く……というのが手っ取り早い。それを手軽、かつ高音質に叶えてくれる“Bluetoothミキサー”がアイ・オー・データ機器から発売された。それがBluetoothゲーミングミキサー「AD-BTMIX/HN」(5,478円)だ。

結論からいうと、このミキサーは快適に使える。通話音声の質も安定性も問題なく、ゲーム音声も同じヘッドセットを直接ゲーム機に接続したときと同等に聴こえるため、違和感なくボイスチャットをしながら、ゲームが楽しめる。

機器をどのように連携させるのか

どのような製品なのか、簡単に説明しよう。一例として、Nintendo Switchとスマートフォン、有線接続のヘッドセット、そしてAD-BTMIX/HNを用意する。

まず、AD-BTMIX/HNの背面にはアナログのステレオミニ端子が2系統あるので、そこにゲーム機とヘッドセットを有線接続する。次に、AD-BTMIX/HNとスマホをBluetoothで接続する。こうすることで、AD-BTMIX/HNはゲームのサウンドを有線で受け取り、スマホのボイスチャット音声をBluetoothで受け取り、それらをミックスして、ヘッドセットに有線で出力してくれる。これにより、接続したヘッドセット1台でゲームの音声を聴きながら、スマホのLINEやDiscordでのボイスチャットができるようになる。

内容物は本体と4極オーディオケーブル、電源用USBケーブル
端子部。全てここに集約されている

スマホ側をBluetoothにした理由については、昨今ヘッドフォンジャック非搭載のスマホが主流になってきているから、とのこと。音の遅延がストレスになるゲーム側はしっかり有線にして、オーディオケーブルも付属。この辺りは抜かりない。さらにBluetoothのペアリングもスムーズにできるため、開封してすぐ使えるのも良いポイントだ。

注意点も先に挙げておこう。まず、ヘッドセットは3.5mm端子で接続できるものしか使えない。ゲーミングヘッドセットで主流になりつつあるUSB接続(ドングルによるワイヤレス接続も)では使えないので気をつけたい。ゲーミングヘッドセットにはUSBと3.5mmの両方が使えるものもあるので、もし、普段USB接続でゲーミングヘッドセットを使っている場合は確認してみて欲しい。

もう1点は電源を使うことだ。付属のUSBケーブル(USB-C to A)を使って給電する必要がある。動作の安定性を考えると嬉しいところではあるのだが、ケーブルが多くなる点や電源の確保が必要になることだけ念頭に置いておこう。

AD-BTMIX/HNにUSB電源、ゲーム、ヘッドセットをすべて接続した状態

実際に使ってみる

今回、「AD-BTMIX/HN」を2台用意。普段ゲームをしながらボイスチャットをする際に、スマホをスピーカーモードにして置いてプレイしていたという友人Tに協力してもらい、双方で同じミキサーを使って「スプラトゥーン3」をプレイしてみた。ボイスチャットアプリは「Discord」を使っている。

まず、今までの友人Tの音声、つまり、スピーカーモードにしたスマホでのボイスチャット音声がどのように聴こえてたかというと、「PCでボイスチャットしているときよりも声が遠い」「たまに言葉が聞き取りづらい」という感じ。

そもそもこの辺が気になって「スプラやってるときってどうやってボイチャしてる?」と尋ねてみたところ「スマホをスピーカーモードにしてる」という答えが返ってきた。通りで声が遠いわけだ、と納得がいった。

詳しく聞いてみるとゲーム音声もスピーカーから出して聴いているとのことだったのだが、意外にもDiscordを通してゲームの音は聴こえてこない。これは、おそらくDiscordのノイズキャンセル機能のおかげだろう。そしてこのノイズキャンセルの影響で、ゲームの音声と一緒に声の一部がたまに削られてしまい、言葉が聞き取りにくくなっていたようだ。

早速お互いにミキサーを用意。USB電源を繋ぎ、電源ボタンを1回短く押す事で電源ON/OFF、電源ONの状態で3秒長押しするとペアリングモードになり、スマホ側のBluetooth設定画面に「AD-BTMIX/HN-****」(*の部分は個体ごとに異なる)が表示されるので、それを選択すれば接続完了。

iOSの設定画面。画像右の赤枠「AD-BTMIX/HN-****」をタップすればすぐにペアリングできる

こういった機材を使ったことがない、馴染みのない人向けの補足なのだが、接続は電源を切った状態で行なおう。理由はオーディオケーブルの接続時に大きなノイズが出ることがあるため。耳にも良くないが、最悪の場合機材やヘッドセットが壊れてしまうこともある。なので、ミキサーやゲーム機の電源が入っていない状態でそれぞれを繋ぎ、その後に電源を入れよう。

話を元に戻して、ボイスチャットを始めてみる。友人Tには普段PCでのボイスチャットに使っているヘッドセット ロジクール「G433」を使用してもらった。PCでその音声を確認したあとに、ミキサーで音声をチェックしてみると、ほとんどPCでの通話時と変わらない音質ではっきりと聴こえる。

友人Tの環境。普段使いしているヘッドセットを繋いでもらった
友人Tの環境

筆者側はというと、ヘッドセットを持っておらず、普段はXLR端子のダイナミックマイク オーディオテクニカ「AT2040」と開放型のヘッドフォン 同「ATH-AD900X」を使用している。

筆者側の環境

XLR端子は今回使えないため、モトブログ撮影の際にヘルメットに仕込んで使用しているピンマイク 同「AT9904」を用意し、ヘッドフォン端子とマイク端子を繋いで3.5mm 4極に変換できるアダプタを使って接続してみた。事前にAT9904の音声をPC経由でも確認してもらったが、今回のミキサー使用時と音質の差はほとんど感じられなかったそうだ。

ヘッドフォンとマイクを4極に変換するケーブルで接続して使った

もし、有線のマイク付きイヤフォンやヘッドセットを持っていない場合は、こういったピンマイクとアダプタを使うのもありだ。ピンマイクはバッファロー「BSHSM03」あたりが600円から700円程度で購入できて通話で声を聴く分には問題ない音質なのと、アダプタも500円から800円程度なので、1,500円程度で普段のイヤフォン/ヘッドフォンにマイクを追加できる。

変換ケーブル。600円~800円程度で購入できる

さて、話がまた脱線してしまったが、とりあえずチャット音声に問題ないことがわかったので、次にSwitchを起動して「スプラトゥーン3」をプレイしてみる。まずゲームを起動したら音声バランスをチェック。ゲームの音はゲーム機側の音量、今回はSwitch本体の音量ボタンで調整、チャット音声はスマホの音量ボタンで上下させれば良い。

一応ミキサー側でもAボタンを長押しで音量アップ、Bボタンを長押しで音量ダウンといった形で4段階に調整(開封時は4段階中の3になっている)できるのだが、筆者と友人Tともにこのミキサー側の音量調整は使わなかった。

「ナワバリバトル」を2、3戦しつつ、音量バランスの設定も各自安定してきたところでの筆者の感想は、普段オーディオインターフェイスを使ってPCにゲーム音声を取り込んでいる場合とさほど変わりなくプレイできており快適、といったところ。

友人Tは、ヘッドセットを使ったことで「スピーカーよりも細かい音まで聴こえて快適」と言いながら、敵対した際に筆者がドライブワイパーで背後から攻撃しようとしたところ、音で気づかれてあっさり撃退されたほか、会話面では、従来の友人T側がスピーカーモードで行なっていたときは毎回何度かあった聞き直しがお互いにほとんどなくなった。

そのまま気づいたら3時間程度プレイし続けていたことからも、通話要素がほとんどストレスになっていなかったことがわかる。

本体にはゲーム機のマークがついたAボタンとスマホマークがついたBボタンを備えており、これを押すとそれぞれマイクをミュート状態にできる。離席時などは本体のボタンをポンと押すだけでミュートにできるほか、ミュート時は「ON」と書かれた枠のライトが消えるので一目で見分けられる。

今回は「スプラトゥーン3」をプレイしたため、ゲーム機側のミュートボタンを解除して使う機会はなかったのだが、ゲーム内でマイクを使うようなものがあれば活用できるだろう。なお、普段はゲーム機側(Aボタン側)をミュート状態にしておくことが推奨されている。

使ってみて気になる点もお互いに上げてみた。筆者は概ね満足しており、強いて言えば「本体が軽いためケーブルに引っ張られて動くことがあり、落としそうになる」という程度。友人Tも「長時間やらないのであればバッテリーが入っていてくれると配線に困らない、くらい」とのこと。スマホとBluetooth接続でき、動作が安定していることを考えるとAmazonで実売5,000円程度で買えてちょうど良い仕様だという感想になった。

発売から盛り上がっている「スプラトゥーン3」の活気は前作と同様にまだまだ今後も続いていくだろう。11月18日に発売を控えているポケモンの最新作「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」も、シリーズ初のオープンワールドを舞台に最大4人まで一緒に冒険できるマルチプレイ機能があることがわかっており、通話プレイでより楽しめそうな予感がする。

「AD-BTMIX/HN」は、ボイスチャットの環境を整えて、こういったゲームをより快適に楽しめるミキサーに仕上がっている。もし、スマホをスピーカーモードにしていたり、ゲームを無音にしてボイスチャットの音だけ聴いているといった状況でゲームのプレーに不満がある場合は是非手に取って欲しい製品だ。

おまけ:ノイズとその対策

今回紹介したような機材に付きものなのがノイズの悩み。今回筆者が試す中でもノイズが発生したのでその原因と解決方法を紹介しよう。ちなみにAD-BTMIX/HN自体が直接原因となるものはなかった。

その前にノイズが発生してしまった際のチェック方法を確認しよう。もし、ケーブル類を接続して、いざ使ってみようという際にノイズ(ゲームのBGMやボイスチャットの邪魔になるくらいうるさい雑音)が発生してしまったら、どの部分が原因になっているか探るために、1つ1つ確認していこう。

例えば今回のSwitchとミキサーとの接続でノイズが発生してしまった場合、別のイヤフォン/ヘッドセットを使ってみる(替えて解決すれば原因は使ってたイヤフォン/ヘッドフォン)、オーディオケーブルを別のゲーム機やテレビに繋いでみて音を確認する(ノイズが消えたら原因はSwitch側)、Switchのドックに接続しているケーブル類(USB電源、HDMIケーブル、LANケーブル、表側のUSB端子に接続しているもの)を1本ずつ抜き挿ししながらノイズが消えるか確認する……といった感じで、何が原因になっているのかを探っていけば解決できるかもしれない(稀に解決できないものもある)。

ちなみに今回のAD-BTMIX/HNで一番やってしまいそうなのが、USB電源をSwitchのドックに繋いでしまうことだ。これをやってしまうとSwitchの電源をONにしたときにノイズが発生してしまう。

これの対策方法は簡単だ。電源用のUSBをSwitchのドック以外……できれば電源用のアダプタを使ってコンセントから給電すれば問題ない。スマホを充電しながら使いたい、それでもアダプタが足りない…… といった場合には、スマホ側の充電ケーブルをSwitchのドックに接続して充電するという手もある。ちなみにこのUSB電源問題はAD-BTMIX/HNのトラブルシューティングの紙にもマンガ形式で記載されている。

さて、筆者の手元で発生したノイズなのだが、1つ目の原因がキャプチャーボード。これは友人Tとボイスチャットで打ち合わせをした後に、早速Switchの電源を入れてプレイしようといったタイミングで発生。「ブーーーーーーー」という音がこちらで聞こえただけなく、ボイスチャット先の友人Tの方にもノイズが聞こえてしまったという。

これの解決方法は、オーディオケーブルを手元にあったウォークマンに差し替えたところ、ノイズが消えたため、原因がSwitch側にあることを確認。のちに、その場しのぎの策として、テレビ側のオーディオ出力に差し替えることで解決した。Switchのイヤフォンジャックを使わなければ、音声はHDMIケーブルを伝ってそのままテレビに行くので、そのテレビに行った音をミキサーに持ってきたわけだ。

その日の通話終了後に再度原因を探ってみたところ、Switchのドックに接続されたHDMIケーブルを抜くとノイズが治まることがわかり、その先に繋がっていたキャプチャーボードを外して直接テレビとHDMIで接続することで、問題が解決できたため、原因がキャプチャーボードにあったことが判明。キャプチャーボードを取り外したことでノイズは収まった。

珍事!? 友人Tの元に届くラジオ英会話番組

筆者の元で発生したノイズ、2つ目はAMラジオを受信し、その音が相手に聞こえてしまうという、いわゆる“ラジオノイズ”のトラブル。

一般的には、ラジオを聴いているわけではないのに機材に繋いだスピーカーやイヤフォン/ヘッドフォンから微かに人の声っぽいものが聞こえる、ラジオが流れている…… という症状になるのだが、今回は何故か原因側である筆者の元には何も聴こえず、友人Tと通話を開始すると向こう側にAMラジオのNHKラジオ第2でその時刻に放送されていた「中学生の基礎英語」が流れる、という状態になった。

ちなみに、上記のキャプチャーボード事件が解決し、オーディオケーブルをSwitchと直接接続して「さて問題は解決されたぞ、じっくりレビュー用に調査じゃい!!」と意気込んで通話を開始した直後に「ラジオの英会話番組が聴こえるんだが(笑)」と出鼻をくじかれ、筆者は意気消沈した。

この“ラジオノイズ問題”自体は、AD-BTMIX/HNでゲーム機側をマイクミュートする(Aのボタンを押してLEDが消えるのを確認する)と解決。ちなみにこれは説明書にも普段はゲーム機側をミュートするよう書かれている。

だが、やはり原因が気になる…… ということで、Switch側に繋がっていたケーブル類の調査を始めたところ、導き出された答えは「筆者の部屋」と「付属の4極オーディオケーブル」。

こういったラジオノイズは場所によって発生する可能性があるので、筆者の部屋の場所が原因であることは「ラジオの音が聴こえる」と言われた時点で分かっていた。もう一方の原因は、友人Tにラジオが聴こえる状態にしてケーブル類を触ってアンテナの役割を果たしていたものを探してみたところ、付属の4極オーディオケーブルだと判明した。試しにケーブルを指に巻いて長さを変えたり、伸ばしていた部分を束ねてみたりしたところ、ラジオ局の変更まではできなかったものの、聴こえ方がだいぶ変化したため、ケーブルがAMラジオを受信するアンテナになってしまっているとのこと。

そこで別の4極ではないオーディオケーブルに替えることで問題は解決。ちなみに4極ではないオーディオケーブルを繋いだ場合、マイク音声をゲーム機側に入力することができなくなるが、スマホとゲーム機の両方にマイク音声を入力する必要がある場合を除けばこれで問題ないだろう。

理系卒でこの辺りの知識も持つ友人Tのおかげで、原因がどちら側にあるのかはあっさり解決し、ついでにNHKラジオ第2の周波数(693kHz)を検索して、この1.5mケーブルがアンテナになりうる可能性の計算まで始めるという脱線までしてしまったが、この「原因側には何も聞こえず、何故か相手側だけ聞こえる」というパターンは珍事であることを願いたい。

もし発生してしまったら、推奨通りゲーム機側をミュートにする、もしくは4極ではない別のオーディオケーブルに変更してみるなどして対応してみて欲しい。

野澤佳悟