ミニレビュー

高音質化したAmazon Echo Dot(第5世代)で“2台ステレオ + Fire TV連携”してみた

小さなスマートスピーカー「Echo Dot(第5世代)」

Amazonの小さなスマートスピーカー「Echo Dot(第5世代)」(7,480円)と「Echo Dot with clock(第5世代)」(8,480円)が2月14日に発売された。購入しやすい価格と共に、新機種では「低音が前世代比で最大2倍になった」という高音質化がポイントだ。

「Echo Dot with clock(第5世代)」

そのサウンドを体験すると共に、Echo Dot(第5世代)とEcho Dot with clock(第5世代)を1台ずつ用意。連携させてステレオ再生もテスト。さらに、Fire TVとも連携できるので、Fire TV + Echo Dot×2という組み合わせで映画も視聴してみた。

Fire TV + Echo Dot×2という組み合わせで、映画も視聴

低域の再生能力がアップ

サイズ感は以前のEcho Dotと同じで、手のひらに乗るほどコンパクト。しかし、内蔵スピーカーユニットは44mm径と、従来から10%大型化。低音の再生能力が大幅にアップしたという。これが、Echo Dot(第5世代)とEcho Dot with clock(第5世代)に共通する進化点だ。

内部の様子。ユニットが大型化している

実際にAmazon Musicから「ノラ・ジョーンズ/Don't Know Why」を再生すると、手のひらサイズとは思えないほど立派な音が出る。小さなスピーカーでは、どうしても低域が不足して、高音寄りなバランスになる事が多く、「スカスカした音」に聴こえてしまうものだが、Echo Dot(第5世代)ではアコースティックベースの低域が「ズンズン」と押し寄せてくるような、音圧とパンチ力を備えており、ある程度の迫力があって、聴いていて気持ちが良い。

Don't Know Whyのようなゆったりした雰囲気のジャズボーカルは、中低域に厚みが無いと、音楽に身を任せるような心地よさが得られないので魅力が半減する。その点、Echo Dot(第5世代)/Echo Dot with clock(第5世代)であれば、音楽の気持ちよさがしっかりと味わえる。

もちろん、サイズがサイズなので床を振動させるような重低音は出ない。あくまで“腰高になりすぎず、音楽全体のバランスを損なわないレベルの低音が出せる”という意味ではあるが、このサイズでこの音は立派だ。

また、音量を上げていっても、中高域のクリアさが維持できているのも良い。手で筐体をつかむと意外なほど剛性が高い事がわかるが、内部のユニットが激しく振幅した時も、筐体の振動が抑え、余計な“鳴き”を発生させないためだろう。

触ると剛性の高さがわかる

ユニットが斜め上を向いて取り付けられているので、思いのほか音も広がる。1台で聴いていても、スピーカーの筐体から離れたエリアまで音が広がるので、BGM的に音楽を楽しむこともできる。

総じて満足度は高いのだが、オーディオスピーカーとして聴くと、ちょっと中低域が張り出し過ぎにも感じる。低音再生能力がアップしたのは良いが、逆に「スゲェだろ! もっと出せるぜ!」という主張が激しい印象。後述するアプリで音のバランス調整が可能なので、「ベース」を「-1」にすると個人的にはシックリくる音になった。

ステレオペアで鳴らしてみる

ステレオペアをやってみよう。設定は「Amazon Alexa」アプリから行なう。「デバイス」タブで「機器の追加」ボタンを押すと、新しいデバイスの追加などの項目に混じって「スピーカーを構成」という項目がある。ここが、ステレオペア登録や、後述するFire TVと連携させる画面だ。

「スピーカーを構成」からステレオペア登録をする

選択すると「マルチルームミュージック」「ホームシアター」「ステレオペア/サブウーファー」という項目が出てくる。中から「ステレオペア/サブウーファー」を選び、Echo DotとEcho Dot with clockを選択すれば、この2台が“ステレオペアスピーカー”という1つのくくりとして登録される。登録時に名前も入力できるので、わかりやすくするために「書斎ステレオ」と名付けた。

スクロールしていくと、最後に「ステレオペア/サブウーファー」という項目
連携させるスピーカーを選択する。スピーカー2台、サブウーファー1台まで追加可能だ
ステレオチャンネルテストも可能
登録名の入力も可能

あとは簡単、スマホの「Amazon Alexa」アプリで音楽を再生し、その出力先として「書斎ステレオ」を選ぶと、Echo Dot + Echo Dot with clockがステレオスピーカーとして音を再生してくれる。

ステレオ再生の効果は抜群だ。1台でも音は広がるスピーカーだが、やはり2台を横に離してステレオ再生すると、広がる空間が圧倒的に大きくなる。

ジャズボーカルの「ダイアナ・クラール/月とてもなく」を再生してみたが、音が広がる空間の大きさだけでなく、中央に定位するボーカル、その奥にあるピアノとベース……といった具合に、音像の位置や動きも見えてくる。低域にもさらに迫力が出つつ、2台で分担しているので、無理のない再生音になる。

音像の動きや位置がわかるようになると、アーティストが目の前に現れたようなリアルさが得られ、音楽が一気に楽しくなる。この感覚はまさに“オーディオ”だ。Echo Dot×1台だと、どうしても“BGM”とか“ラジオ”っぽい感覚になるが、2台のステレオ再生にすれば、ちょっとしたコンポで音楽を聴いているリッチな気分になれる。これは大きな魅力だ。

再び「Amazon Alexa」アプリに戻り、今度は「ホームシアター」を選択。すると、既に登録してあるFire TVシリーズが出てくるので、連携させたいものを選択。すると、選んだFire TVと、どのスピーカーを組み合わせるかという画面になるので、先程の「書斎ステレオ」を選択。これで、Fire TV + Echo Dot + Echo Dot with clockの組み合わせが、ホームシアターシステムとして動作するようになる。

Fire TVからNetflixやAmazon Prime Videoなどの配信サービスにアクセス。映画などを再生すると、Fire TVを介して、映画の音がEcho Dot + Echo Dot with clockからステレオ再生される。

Fire TVを使い、Netflixでアニメを再生。そのサウンドをEcho Dot + Echo Dot with clockでステレオ再生

前述の通りステレオペアでの再生では、音がしっかりと左右に広がるため、映画の世界に入り込みやすくなる。今回はパソコンデスクの上にFire TV + Echo Dot + Echo Dot with clockを設置しているが、自分とスピーカーとの距離が短いニアフィールド・リスニングであれば、ステレオであっても、自分の体をグワッと包み込むようなサウンドが楽しめる。

第3世代「Fire TV Cube」を使い、Netflixで映画「オールド・ガード」を視聴したが、やはりEcho Dot×2台であっても、ステレオ再生の利点は大きい。地下室で足音や声が反響する様子や、銃弾が乱れ飛ぶアクションシーンも、しっかりと音が広がるので「映画っぽさ」を楽しめる。

アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」最終話のライブシーンも、音の広がる空間の広さや、バンドサウンドの外側から湧き上がる歓声など、ステレオ再生ではグッと臨場感が増す。会話のシーンでも、セリフの背後に広がる屋外の音にリアリティが生まれ、物語にのめり込みやすくなる。

スマホやタブレットで映画を見ても、“内容確認”にしかならず、味気なく感じる人は多いだろう。画面のサイズもあるが、“音のチープさ”にも原因がある。だが、Fire TV + Echo Dot×2台であれば、そんな心配はない。テレビのサウンド強化だけでなく、HDMI入力付きのパソコン用ディスプレイと組み合わせても楽しいだろう。

逆に、常に2台をステレオペアで使う必要は無い。例えば、1台を書斎に、もう1台をキッチンに置いて、家族がそれぞれをスマートスピーカーとして使えば、料理ができたら書斎のEcho Dotに「ご飯ができたよ」と呼びかけるなど、便利な使い方ができる。そして、映画を楽しむ時に、各部屋からEcho Dot×2台を持ってきて、リビングのFire TVと連携させてリッチに映画を楽しむ……なんて使い方もアリだろう。

第3世代「Fire TV Cube」と連携すると、Fire TV Cubeのリモコンから、Echo Dot×2台の音量を調整できる。その際、 Echo Dot with clockのLEDでボリューム数値が表示され、それと連動してFire TV Cube内蔵のLEDも光でボリューム値を表現する。こうした細かな連携も使い勝手向上につながっている

なお、Echo Dot with clockが搭載している5×21のLEDドットマトリクスディスプレイは、従来のデジタル表示からドット表示に変更され、天気アイコンや再生している曲名、アーティスト名などを表示できるようになるなど、使い勝手も向上している。2モデルの違いや、音質以外の進化点は以前の製品発表会レポート記事を参照していただきたい。

山崎健太郎