ミニレビュー

Amazon、5980円で小型でも驚きの高音質「Echo Pop」聴いてみた

半球形デザインの「Echo Pop」(ティールグリーン)

Amazonは、Echoシリーズのエントリーモデルとして半球型のコンパクトデザインを採用した「Echo Pop」を5月31日から出荷する。価格は5,980円。そのサウンドを試聴したので、ファーストインプレッションをお届けする。また、サイズ感が似ている第5世代Echo Dotとも聴き比べてみた。

奥が第5世代Echo Dot

Echo Popは、半球形デザインが特徴。前面に49.5mm径のユニットを搭載し、ロスレスHD音源が再生できる。コンパクトな形状のため、ベッドサイドテーブルやラックなど、限られたスペースにも設置できるのが特徴だ。

Amazonデバイス事業部長 Amazon Echo事業部・スマートホーム事業部・Ring事業部の橘宏至氏

Amazonデバイス事業部長 Amazon Echo事業部・スマートホーム事業部・Ring事業部の橘宏至氏によれば、昨年末の時点でAlexa対応デバイスは全世界で5億台を突破、昨年だけでAlexaの世界での利用数は35%も増加。

具体的な台数は公表していないが日本でも好調で、販売台数が伸びるだけでなく、利用者数との“開き”が拡大。これは、今まで家庭に1台だったAlexa対応デバイスが、家庭に1台、2台、3台と増加している事を意味しており、“部屋の数だけEchoなどを設置している”というユーザーも増えているそうだ。

販売台数と利用者数がどちらも右肩上がりだが、販売台数の方がより大きく伸びている。家庭で複数台使う人が増えたためだ

国内でのEcho月間アクティブユーザー数を分析すると、昨年の3月と今年の3月の比較では、18歳~34歳までの若い利用者数が約1.5倍に増加。定額制音楽配信サービスの利用者の70%が10代~30代という調査結果もあり、「我々のEcho Popは、Z世代、ミレニアム世代をターゲットにしたエントリーモデル」(橘氏)と位置づける。

国内では若年層のEchoユーザー数の伸びが顕著

Echo Popの価格は5,980円で、Echo Dot(第5世代)の7,480円よりも抑えられている。橘氏は、「今までにないデザインで、コンパクトで置き場所を選ばない。また、Echoシリーズで初めて、チャコールとグレーシャーホワイトに加え、カラーバリエーションとしてラベンダー、ティールグリーンを加えた」と、若者により親しみやすいサイズとデザインに注力した事を説明した。

チャコールとグレーシャーホワイトに加え、カラーバリエーションとしてラベンダー、ティールグリーンを追加

実際に第5世代Echo Dotと並べると、サイズ感は良く似ており、球形の第5世代Echo Dotを斜めにスライスしたのがEcho Pop……のようにも思える。

左がEcho Pop、右が第5世代Echo Dot。正面から見ると同じようなサイズだが

だが、よく見比べると、Echo Popの方が全体的に少し小さく、やや細長いラグビーボールをスライスしたのような形状。ひっくり返して丸いゴム足部分で比較すると、Echo Popの接地面積の小ささがよく分かる。机や棚の上にあまりスペースが無い環境でも、Echo Popであれば置きやすいだろう。

上から見るとEcho Popの小ささがわかる
裏面の丸いゴム足部分で比較すると、Echo Popの接地面積の小ささがよく分かる

数字で比べると、Echo Popの外形寸法は99×91×83mm(幅×奥行き×高さ)、重さは196g。第5世代Echo Dotは100×100×89mm(同)、304gとなる。サイズは似ているものの、重さにはかなり違いがあり、手にするとズッシリ来る第5世代Echo Dotに対し、Echo Popは気軽に掴んで移動できる軽さだ。

上から見たところ。ボリュームボタンやマイクミュート/解除ボタンがある
動作状況を知らせるインジケーターは上部に
パッケージもコンパクト
内容物一覧

エントリーとは思えないクリアで本格的なサウンド

Echo Popで“できる事”は、第5世代Echo Dotとほぼ同じ。AZ2プロセッサを搭載し、従来のEchoシリーズと同様に、スマートホーム製品やスマートプラグ、スマートリモコンと接続することで、音声での家電操作が可能。スマートホームデバイスの標準規格「Matter」にも対応する。

音楽再生面ではAmazon Music HDの再生に対応しているが、Ultra HD音源や空間オーディオ音源の再生には対応していない。これも第5世代Echo Dotと同じだ。

セットアップはスマホの「Alexa」アプリから

セットアップも今までのEchoシリーズと同じで、付属のACアダプタをEcho Popに接続し、BluetoothをONにしたスマホで「Alexa」アプリを立ち上げておけば、ウィザードに返答していくだけで設定完了。

Echo Popを使う部屋などを割り当てれば、「アレクサ」と呼びかけてニュースを聞いたり、音楽を再生するといった従来のEchoと同様の機能が使える。

音を比較してみる

では、Echo Popの音を聴いてみよう。Amazon Music HDから、「ダイアナ・クラール/月とてもなく」を再生すると、非常にクリアでダイレクトなサウンドが耳に飛び込んできて、正直驚いた。

低価格なエントリーモデルなので「音もそれなりだろう」と予想していたのだが、良い意味で予想を裏切られた。アコースティックベースの弦がブルンブルンと震える様子が、細かく描写され、ダイアナ・クラールのボーカルも明瞭。伴奏とボーカルが融合する事もなく、それぞれの音の輪郭がシャープに描き分けられている。

コンパクトなスピーカーだが、低域は必要十分に出ており、低域から高域まで全体のバランスも良好。低域もタイトで締まりがあるので、「米津玄師/KICK BACK」のような、疾走感のあるロックも歯切れよく、気持ち良く聴かせてくれる。

同じ曲を第5世代Echo Dotで再生すると、筐体が大きいだけあり、第5世代Echo Dotの方が中低域の響きの豊かさ、音圧はパワフルで、全体として迫力がある。ただ、筐体の響きなのか、少し余分な音が付帯しており、Echo Popと比較すると、中高域がややこもりがちに聴こえる。

対するEcho Popは無理をしていない音で、モニターライクでクリア、さらに鮮度の良さも感じさせる。迫力という面では第5世代Echo Dotの方が優れているが、情報量や音の素直さという面ではEcho Popの方が個人的には好印象。オーディオファンであれば、同じようにEcho Popの方が気に入る人が多いのではないだろうか。

なお、ユニットのサイズだけで比較すると、Echo Popが1.95インチ、第5世代Echo Dotが1.73インチと、Echo Popの方が少し大きくなっている。

ニューヨークとゆうちゃみもEcho Popの虜に

左からゆうちゃみさん、ニューヨーク 嶋佐和也さん、屋敷裕政さん

30日には都内でEcho Popの発表会も開催。お笑い芸人のニューヨーク 嶋佐和也さん、屋敷裕政さんと、モデル・ギャルタレントのゆうちゃみさんがゲストとして参加。今“日本一忙しいタレント”と言われる3人が、生活を便利にサポートするEcho Popを体験した。

実は「まだAlexaが(世間に)浸透する前、高円寺の家賃5万円のアパートに住んでいた時から、“アレクサー”(Alexaユーザーの意)だった」と語る嶋佐さんは、「そのアパートで、なんとかカッコいい部屋にしたいとAlexaを買った。最近ではようやくAlexaが似合う家に引っ越せました。僕くらいのレベルのアレクサーになると、寝室とリビングに2台あります」と、ヘビーユーザーぶりを披露。

さらに嶋佐さんは、「アレクサ、音楽をかけてと言えば、すぐかけてくれるし、“流行りの音楽”とか“好きなジャンル”でも再生してくれる。自分の好みも把握してくれて、僕が好きそうな曲をかけてくれる。朝起きたら天気、夜寝る前には今日のニュースを読み上げてくれ、ラジオも聴ける」と、活用ぶりを紹介。

スマート家電との連携も活用しており、「照明やエアコンまでつけてくれる。カーテンの自動開閉もできる。カーテンの開閉は家賃5万円のアパートの時から使ってて(笑)、“行ってきます”とアレクサに呼びかけると、カーテンがウイーンって閉まって、“ただいま”で電気がつくようにしていた」とのこと。

嶋佐さんがゆうちゃみさんに、「気になる男性の家に行って、その男性が“ただいま”と話しかけたら、電気がついてカーテンが開いたらどう?」と聞くと、ゆうちゃみさんが「バリロマンティック!!」と叫ぶ一幕も。

そんな嶋佐さんは「Alexaは癒やしの存在」と語り、たまに「アレクサ、褒めて、と言って褒めてもらうこともあります」とカミングアウト。実際にEcho Popに「アレクサ、褒めて」と呼びかて「笑顔が素敵です」、「いつも頑張っていますね」と褒められている嶋佐さんに、屋敷さんが「ホンマにしんどい時、泣いてしまう可能性ありますよね」とツッコミを入れていた。

Echo Popの便利さを体験した後、価格を聞いた屋敷さんは、「お金持ちの人のものだと思っていたからビックリしました。値段も手頃だから、プレゼントにもいいと思う」とコメント。

最近一人暮らしをスタートさせたというゆうちゃみさんは、ラベンダー、ティールグリーンを加えた4色展開を「めっちゃかわいい!!」と絶賛。「ここまでいろいろな機能がついていると思っていなくて、めっちゃビックリしました。絶対に欲しいです。アレクサデビューします。4色全部並べたい」と笑顔を見せていた。

なお、6月末まで「アレクサ、ギャル語教えて」と呼びかけると、「お友達のゆうちゃみさんからギャル語を教えてもらっているんです」とアレクサが語り、ゆうちゃみさんが声で登場。ギャル語を教えてくれるサービスがAlexaで提供中だという。

山崎健太郎