ミニレビュー

ソニー重低音ヘッドフォン「ULT WEAR」で“快感ブースト”してみた

「ULT WEAR」(フォレストグレイ)

4月16日に発表されたソニーの重低音に特化した新シリーズ「ULT POWER SOUND(アルトパワーサウンド)」。第1弾製品としてワイヤレスヘッドフォン1機種とBluetoothスピーカー2機種が発表されている。そのうちワイヤレスヘッドフォン「ULT WEAR」を短時間ながら試聴して、“ソニー史上最高の重低音体感”を味わってきた。

各モデルの詳細は別記事で詳しく紹介しているが、簡単にまとめると、ULT POWER SOUNDは「アリーナの最前列にいるような熱狂的で心震える臨場感」が味わえるという新シリーズ。押すだけで重低音を味わえる“快感ブーストボタン”「ULTボタン」を本体に搭載しており、ULT WEARではソニー史上最高の重低音体感」楽しめる。

サウンドモードは、デフォルトのULT1、「ソニー史上最高の重低音体感」のULT 2、OFFの3つ。またフラッグシップモデル「WH-1000XM5」などにも搭載されている統合プロセッサーV1を採用することで、高性能なノイズキャンセリングも利用できる。

実際に装着してみると、立体縫製によるクッションや、側圧の調整、耳への当たり方が改善されたことで軽いつけ心地で、長時間でもストレスは感じにくそうだった。

「ULT WEAR」(オフホワイト)

今回はXperiaとペアリングして「BLACKPINK/THE GIRLS」や「ヨルシカ/斜陽」を聴いてみた。まずはULTモードをオフの状態で聴いてみると、ボーカルの解像感は高く、クリアな音質。

いわゆる“低音推し”のヘッドフォン/イヤフォンのなかには、低域の迫力・量感はたっぷりだけど、そのほかの帯域の解像感がイマイチ……というものもあるが、ULT WEARではしっかりと解像感あるボーカルを楽しめる。ULT OFFでは低音も一般的なヘッドフォンと変わらない量感に感じられた。

サウンドモードはアプリからも切り替えられる

続いて左ハウジング背面にあるULTボタンを一度押して、デフォルトのULT1にモードチェンジ。モードを切り替えると「ポンッ、ビュイーン!」という効果音が流れるので、モードを切り替えたことが分かりやすい。また、この独特なサウンド・エフェクトが妙に心地よく感じられた。

ULT1にすると、「ドンッ! ドンッ!」と低音の量感が一気にパワーアップし、迫力あるサウンドに変化する。低音がボワボワと膨らむような印象や、ボーカルが低音に埋もれてしまうようなこともなく、しっかり歌声を追いつつ、心地よく音楽に身を委ねることができた。

同じく“重低音推し”のExtra Bassシリーズ「WH-XB910N」(生産完了)と聴き比べてみると、このULT 1の時点でXB910Nよりも、より迫力ある重低音に感じられた。

もう一度ULTボタンを押して“ソニー史上最高の重低音体感”というULT2にチェンジすると、ULT1でも十分に感じれた低音の迫力が、もう2段階ほどパワーアップしたような印象に変わる。

本体のソニーロゴは見る角度で色が変わるパールのような仕上げ

ヘッドフォンで聴いているのにお腹まで響くかのような重低音で、まるでライブハウスの最前列で、巨大なスピーカーを目の前にしながら音楽を聴いているかのような感覚を味わえた。

ただ、さすがに低音のタイトさは少し失われている印象で、ULT1ではクリアに感じられたボーカルも重低音に埋もれてしまうような印象もあった。楽曲だけでなく、「今日は特にテンションを上げていきたい」「とにかくリフレッシュしたい」など、その日の気分に合わせてモードを切り替えたほうが良いかもしれない。

ちなみにノイズキャンセリング性能についても、同じくノイズキャンセリング対応だったXB910Nと比べても大きく向上している印象。WH-1000Xシリーズのような静寂とまではならないが、ノイズキャンセリングをオンにすると周囲の話し声が7~8割はカットされ、くぐもった声がぼんやりと聞こえてくるような印象だったので、日常使いでも特に不満を感じることはなさそうだった。

酒井隆文