レビュー

音楽配信とCD再生を同等クオリティで、新世代マランツ「30シリーズ」の凄さ

上から「SACD 30n」、「MODEL 30」

家でのリモートワーク。仕事中なのでマズいなと思いつつ、ついradikoでラジオ流したり、YouTubeで動画見ちゃってる人……大丈夫、私も仲間です。そんな時に「これメチャクチャ便利だな」と改めて実感したのがAmazon Music HDなどの音楽配信サービス。例えばradikoで聴いたことない音楽が流れて、「お、いいな」と思って配信サービスで検索するとフルで、しかも高音質で聴ける。「本日解禁の新曲!」も、最近は解禁と同時に配信される事が多いので、CD買いに行かなくても、Amazonで注文しなくても、配信サービスならすぐ聴ける。便利すぎな毎日です。

その一方で、配信サービスを使えば使うほど、2つほど気になる点が。1つは「便利なのは良いが、これをもっと良い音で聴きたい」、そして2つ目は「このままストリーミングで聴いていていいのだろうか?」というもの。

1つ目はともかく、2つ目は「何を言ってんだお前」と言われそう。しかし、オーディオファンの1人として、なんかこう罪悪感のようなものを感じるのです。音楽配信サービスにどっぷり浸かりながらも、「ピュアオーディオ趣味らしく、CDやSACDを買って、それをディスクプレーヤーで再生して聴かなくていいのか?」、「パソコンやスマホでばかり使って、趣味としての追求はそれで満足なのか?」という心の声(幻聴)にさいなまれるのです。

その一方で、ぶっちゃけ今、高価なCD/SACDプレーヤーを買っても「結局は便利な配信サービスばかり使っちゃって、ディスクプレーヤーで聴いていない」なんて事にもなりそう。しかしながら、配信にはマニアックな曲が無い事もあるので、CD/SACDを聴きたい事もある……なんとも悩ましい。

そんな“過渡期”にドハマリするプレーヤーが登場。マランツの“ネットワーク再生機能付き”SACDプレーヤー「SACD 30n」というモデルだ。単に“ネットワークプレーヤー機能がオマケでついてるSACDプレーヤー”であれば、珍しくもない。「SACD 30n」最大のポイントは、ネットワーク再生とディスク再生を“ほぼ同列に扱っている”事。つまり、ネットワーク/ディスクのどちらの音質も、各単体プレーヤーを凌駕してやろうという狙いで開発された、意欲作なのだ。

「SACD 30n」

デザインがガラッと変わった

「マランツのコンポってこんなデザインだっけ?」と思ったアナタ、鋭い。実はこの「SACD 30n」、“新世代のマランツデザイン”を採用した第一弾モデルだ。組み合わせるのにピッタリなプリメインアンプ「MODEL 30」という製品も発売されており、新たな“30シリーズ”として登場した。価格はどちらも27万円で、単品コンポとしてはハイエンドよりだいぶ購入しやすい価格帯だ。

マランツの単品コンポデザインは、16年ほど前から同じテイストだったが、この2機種から新世代としてガラッと変わった。ご覧の通りシンプルで優しい感じで、部屋の中に溶け込みやすそう。新しいデザインではあるが、シンメトリーな各部の配置や、プリメインの中央に配置された“ポートホール”など、往年の“マランツっぽさ”も継承されていてグッとくる。

一番気になるのは、フロントパネル左右のデザインだろう。内側に向かって少し凹んだように見えるが、実際に凹んでいる。そこに鱗のような模様が薄くあしらわれており、フロントパネルの横から漏れた光がそこに広がり、模様を浮かび上がらせている。

見る角度によって表情が変わる、かなり凝ったデザインで、ホームシアターでもないのに部屋の電気を消して眺めてしまう。これに合わせてオーディオルームの照明も、間接照明にしたくなるかもしれない。

明かりを消してみた

外観が変わっただけではない。デザイン刷新に伴って機構設計が全面的に見直されており、ビルドクオリティが大きく進化している。例えば、筐体を構成するシャーシに使われている鋼板の厚みは、これまでの12シリーズと同等となり、アルミ製サイドカバーについては12シリーズをも超える最厚部5.7mm、非常に高剛性なアルミパネルになった。

さらに、インシュレーターや電源トランスといった重要で、なおかつ重量がかかる部分には極太のネジを使うなど、価格帯を超え、上位モデルに匹敵する堅牢さを追求している。

コストパフォーマンスの高さに注目

感の鋭い人ならおわかりかもしれないが、“新世代の第一弾”モデルなので、かなり気合が入って作られている。要するに、「これからのマランツの音はこれだ」と、世に広く訴える役目を担ったモデルなので、普通、この価格帯では使えない、ハイクオリティなパーツや、上位機種の技術がドカドカと投入。それでいて27万円に抑えている。ユーザー側からするとコストパフォーマンスの高さでも注目のモデルと言える。

内部において「SACD 30n」の注目ポイントは大きく2つ。1つは、マランツが自分達の理想のサウンドを追求するために開発した、完全オリジナルのディスクリートDAC「Marantz Musical Mastering(MMM)」を搭載している事。60万円するフラッグシップSACDプレーヤー「SA-10」に搭載されている“アレ”が、ほとんど同じ回路構成で、半額以下のSACD 30nに搭載されている。これだけでも結構な大盤振る舞いだ。

デジタル信号をアナログに変換するDACは、プレーヤーの音質にとっては非常に重要な部分だ。他の多くのコンポでは、チップメーカーが手掛けるDACチップを買ってきて搭載しているわけだが、そうした既製品をあえて使わず、自分で作ってしまったのがディスクリートDACだ。DACの後段だけで自分たちの理想とする音にしていくのと、最初の段階から、自分たちのこだわりを反映できるのとでは、当然、自由度がまるで違ってくる。オーディオメーカーにとって、ディスクリートDACを作れるかどうかはかなり重要なポイントと言えるだろう。

完全オリジナルのディスクリートDAC「Marantz Musical Mastering(MMM)」の概要
Marantz Musical Mastering(MMM)

SACD 30nはSACD/CDの再生に加え、USB-DAC機能も搭載。PCM 384kHz/32bit、DSDは11.2MHzまで再生可能できる。さらに、ネットワークオーディオ再生も可能で、そのための「HEOS」ネットワークモジュールを搭載している。マランツだけでなく、デノンの製品にも搭載されている強力なネットワーク再生機能で、AWA、Spotify、SoundCloudなどに加え、私が愛用しているAmazon Music HDにもいちはやく対応しているのが特徴だ。

2つ目のポイントはこのHEOSネットワーク再生の“処理”だ。これまでの製品では、SACD/CDプレーヤー兼ネットワークプレーヤーの場合、どうしてもSACD/CD再生がメインで、ネットワーク再生はオマケ的なポジション。例えば、ディスク再生の場合は、超低位相雑音クリスタルのマスタークロックを使い、高精度に信号を処理してジッターを低減しているのに対して、HEOSは、HEOSのネットワークモジュール内にあるHEOS用のマスタークロックを使っていたため、ジッター的に不利になる……という部分があった。

ヒートシンクの下にあるのがHEOSのネットワークモジュール

SACD 30nでは、この課題にメスを入れた。SACD 30nには、SA-12などの上位モデルにも搭載している超低位相雑音クリスタルを、クロック回路用に搭載している。44.1kHz系、48kHz系のクロックを再生するソースのサンプリング周波数に応じて切り替えて、最適なクロック信号を供給する贅沢なものだ。それをSACD/CD/USB-DAC再生で使っている。

SACD 30nが凄いのはここからだ。ネットワーク再生時のクロック品質を向上させるため、新たに、光通信で使うようなグレードの、高性能ジッタークリーナーを使った「プレミアム・クロック・リジェネレーター」を搭載している。

黄色い部分が「プレミアム・クロック・リジェネレーター」

このプレミアム・クロック・リジェネレーターを、前述のディスクリートDACの後段MMM-ConversionであるD/A変換部に設置した。HEOSモジュールから出力されたデジタル信号がDACまで伝送されている間に、ジッターが発生したとしても、強力なジッタークリーナーで劣化したクロック信号に含まれる揺らぎやノイズを除去。要するに高品位なクロックで叩き直してから、ディスクリートDACへと渡すようにしたわけだ。

このプレミアム・クロック・リジェネレーターの精度は“フェムト秒”グレードと強力なので、超低位相雑音クリスタルのマスタークロックを使ったSACD/CD/USB-DACの信号も、DACへ伝送する前に、このリジェネレーターに入力される。つまり、ディスクのデータだろうが、ネットワーク経由のデータだろうが、区別なく、同じ手法で叩き直して、より高精度にD/A変換する。ネットワーク再生とディスク再生を“ほぼ同列に扱っている”事が、SACD 30n最大の特徴というわけだ。

ちなみに、DAC以降のアナログステージにも、マランツお馴染みの高速アンプモジュールHDAM、HDAM-SA3を用いたフルディスクリート回路を使っている。DACだけでなく、音の入り口から出口まで、可能な限り自分たちがこだわる部品や回路で構成する事で理想を追求しているというわけだ。

注目ポイントは2つと言っておいてアレだが、オマケでもう1つ見逃せないポイントがある。ヘッドフォンアンプだ。ここにも、HDAM-SA2を用いたフルディスクリート型のヘッドフォンアンプを搭載している。3段階のゲイン切り替えが可能で、低能率なヘッドフォンでもドライブできるほか、ヘッドフォンを接続していない時にはアンプの電源が自動的にオフになり、他の回路への干渉を抑制するなど、ピュアオーディオらしいこだわりが発揮されている。スピーカーを使わないヘッドフォン派な人であれば、SACD 30nだけで、ディスク/ネットワーク/PCオーディオが楽しめるわけだ。

ヘッドフォンを接続すると、ヘッドフォンアンプの電源がONになる

ちなみに、SACD 30nはネットワークプレーヤー回路や、デジタル出力をOFFにする機能も備えている。使わない機能をOFFにする事で、純粋なディスクプレーヤーとして音質を高められるというわけだ。

ネットワークプレーヤー回路のON/OFF設定メニュー
SACD 30nの背面

プリメインアンプ「MODEL 30」も面白い

今回はSACD 30nの紹介……なのだが、新たな“30シリーズ”の製品であり、SACD 30nとベストマッチするプリメインアンプ「MODEL 30」も気になるので、簡単に特徴をおさらいしよう。

プリメインアンプ「MODEL 30」

オーディオファン歴が長い人は、おそらく「MODEL 30」という名前だけでグッとくるだろう。マランツの原点といえるプリアンプの名機「Model 7」を彷彿とさせる名前だ。だが、似ているのは名前だけではない。MODEL 30はプリメインアンプだが、そのコンセプトに、Model 7の思想が継承されている。それは「入力信号の鮮度を損なうことなく、パワーアンプに送り届ける」という、ある意味、プリアンプで最も需要と言えるポイントだ。

右がプリアンプの名機「Model 7」。左はパワーアンプの「Model 9」

プリメインアンプの内部写真を見た事がある人ならご存知だと思うが、プリメインの筐体内で大きなスペースを占めるのはパワーアンプ部だ。出力の大きいアンプほど大きな電源部と冷却用に巨大なヒートシンクが必要で、それがドッカリとスペースを占め、プリアンプは申し訳無さそうに、筐体の隅で縮こまっている……というのがよくあるパターン。

そこで、MODEL 30では、パワーアンプにスイッチングアンプを採用する事で、従来のアナログアンプで巨大化していたパワーアンプ回路とヒートシンク、電源部を大幅に小型化した。従来は筐体内スペースの80%、90%近く占めていたパワーアンプ部を、半分くらいのスペースに抑えた。そして、空いたスペースに、単品プリアンプ並みの、プリアンプ回路を搭載した。このクラスのプリメインアンプとしては、あまり見たことがないほどのスペースが、プリアンプに使われている。

黄色い部分がプリアンプ部。右のMODEL 30では、半分近くのスペースがプリアンプ回路

このプリ部も、こだわりが凄い。独自の高速アンプモジュールHDAM-SA3を使った電流帰還型アンプに、JFET入力とDCサーボ回路を組み合わせた1段構成のプリアンプ回路になっていて、シンプルかつハイスピードなのが特徴。鮮度や透明度を高めるために、カップリングコンデンサーの使用個数をあえて減らすなどの工夫も施されている。

また、プリアンプ専用の電源回路も搭載しており、大容量トロイダルコアトランスをおごっている。パワーアンプによる電力消費量の変動に影響を受けないのが利点で、安定した電源供給が可能だ。トランス外周には珪素鋼板とスチールケースによる2重のシールドを施して漏洩磁束が周辺回路に影響を与えないようにするなどの対策が行なわれている。

ボリューム回路には、JRC製の最高グレードのボリュームコントロールIC「MUSES 72323」を使っている。機械式ボリュームではないので、左右チャンネル間のクロストークや音量差が生じないのが利点だ。プリ回路やフォノイコライザー回路には、新採用の銅箔フィルムコンデンサーや高音質フィルムコンデンサー、高音質電解コンデンサー、精密メルフ抵抗、金属皮膜抵抗など、高音質パーツも多数投入。こうした大盤振る舞いも、広いスペースがあるから可能になっている。

一方で、省スペースになったパワーアンプ部にもぬかりはない。定格出力200W×2(4Ω)のを実現する、Hypexスイッチング・パワーアンプ・モジュール「NC500」を採用。小型のモジュールだが、電力効率に優れるため、省スペースでも強力なドライブ力のあるアンプが構成できる。低域から高域に至るまで歪は少なく、接続されるスピーカーのインピーダンスにかかわらず周波数特性が変化しないのも特徴だそうだ。

Hypexスイッチング・パワーアンプ・モジュール「NC500」

MODEL 30ではこのモジュールを2基搭載し、大出力を可能とした。パワーアンプ・モジュールをリアパネルのスピーカー出力基板に“直結”し、スピーカー端子までの経路を約10mmにまで短縮し、接点数を半減させ、音の純度を高め、駆動力を向上させているのもユニークなポイントだ。

MODEL 30の内部
パワーアンプ・モジュールをリアパネルのスピーカー出力基板に“直結”されているのがわかる
MODEL 30の背面

音を聴いてみる

せっかくなので、SACD 30nとMODEL 30の“30シリーズ”コンビで音を聴いてみよう。価格は各27万円なので、比較相手として、2018年に発売された各30万円のSACD/CDプレーヤー「SA-12」と、プリメイン「PM-12」を用意した。ちなみにSA-12にはネットワークプレーヤー機能は搭載されていない。

SACD/CDプレーヤー「SA-12」と、プリメイン「PM-12」

まず「SA-12 + PM-12」で、CDの音を聴いてみる。定評のあるモデルだけあり、非常にクリアで情報量が豊富なサウンドだ。傾向としてはやや硬質で、繊細な描写だ。いわゆる“優等生”的な音で、中低域の押し出しの強さをグイグイ前面に出したり、響きの旨味をたっぷり聴かせる……というタイプではない。モニターライクな音と言える一方で、色気は薄い。

プレーヤーだけSACD 30nに替えると、ガラッと変わる。まず、細かい音のフォーカスがさらにビシッと決まり、音場の奥まで見通せるような、透明度がアップしたような感覚。SN比が良く、さらに高解像度な描写になるため、自分の耳が良くなったように感じる。

だが、それだけではない。「SINNE EEG/Comes love」を聴いていると、つい、体がスイングし始める。クリアでSN比が良くなっただけでなく、なんというか、音の“旨味”や“色気”がグッと出るようになっていて、音楽がさらに気持ち良くて、体が反応してしまうのだ。

アンプもMODEL 30に変更。「SACD 30n + MODEL 30」の組み合わせで聴いてみると、SACD 30nの進化具合が、よりわかりやすくなる。中低域のパワフルさ、ベースの心地よさ、音場の熱気みたいなものが、より伝わる。普通は、そうした部分が強くなると、音像が甘くなったり、細かな音の描写が野太くなるものだが、MODEL 30のドライブ力が高く、音の鮮度が良いためか、描写がシャープなまま、音の勢いだけが強くなったような感覚。「エルガー チェロ協奏曲 第4楽章」のようなクラシックでも、個々の楽器の細かな表情が見えつつ、オーケストラ全体としてのスケール感がグワッと押し寄せる迫力が同時に味わえる。ともすると相反する要素が高い次元で両立している。

「SACD 30n + MODEL 30」

そして面白いのはここから。ディスクで聴いていた曲と同じものを、ネットワーク経由で聴く。前述の通り、同じプレミアム・クロック・リジェネレーターを通して、ディスクリートDACの「MMM」に伝送される、“ディスクと同等に扱われたネットワークの音”を聴いてみるわけだ。

これが実に良い。前述のようなクリアさ、描写の細かさ、SN比の良さといったポイントが、ネットワーク再生でもほぼ同じクオリティで聴こえる。今までは「兼用プレーヤーだと、ディスクと比べ、ネットワークの方はちょっと音が荒いかな」と感じる事が多かったが、SACD 30nではそれがまったく無い。ディスク再生の“丁寧さ”が、ネットワークでもキッチリと感じられる。

それでいて、ディスクの音と、ネットワークの音が“まったく同じではない”ところも面白い。色気の“濃さ”は、ディスクの方が少し強く、ネットワーク再生の方がやや“スッキリ感”に寄っている。これは好みの範疇で、ネットワークの音の方が好きという人も多いだろう。確かにこのプレーヤーならば、ネットワーク配信だからとか、ディスクだからとか、細かな事を気にせず楽しめそうだ。

それにしても印象深いのは、ディスクリートDAC「MMM」を搭載しているSACD 30nと、SA-12の“音の違い”だ。サウンドマネージャーの尾形好宣氏にこの違いを聞いてみると、「(MMMを初めて搭載した2016年のプレーヤー)SA-10から、SA-12、そして今回のSACD 30nと、MMMを使いこなすノウハウが蓄積した事で、解像度やきめ細かさといった部分だけでなく、“表現力”、そして“音楽性”の部分でも、我々マランツが求めるものをより表現できるようになった……という部分が大きいと思います」とのこと。確かに、その言葉通りの“美味しいサウンド”にSACD 30nは進化している。

兼用プレーヤーで、単品プレーヤーを凌駕する

27万円というSACD 30nの価格は、気軽に買えるものではないが、ディスク/ネットワークの音を体験した後だと、「これスゲェ安くね?」という気がしてくる。尾形氏によれば、SACD 30n開発時には、単体のネットワークプレーヤーである「NA-11S1」(346,500円)や、前述のSACD/CDプレーヤー「SA-12」(30万円)を“超える”事を目標として掲げていたという。

SACD 30n

確かに、兼用プレーヤーでありながら、各単品プレーヤーを凌駕する部分がある。「消費者としては嬉しいけど、それって大丈夫なの?」と心配になる部分もあるが、“新世代マランツの顔”となるプレーヤーとして、それだけ気合を入れて開発されたのがSACD 30nという事なのだろう。まさに、ネットワーク配信とディスク資産が混在する、過渡期の今にこそ、魅力が光るプレーヤーだ。

同時に、そのサウンドをキチッとドライブしてスピーカーから再生してくれるプリメイン「MODEL 30」の実力も見逃せない。フロア型スピーカーも難なくドライブする駆動力を持つが、パワーアンプがスイッチングなので、発熱が少なく、筐体もスリムで、デザインも威圧感がない。これもまた、今どきの住環境で使いやすい。プレーヤー、アンプのどちらも、“これから先のオーディオ”を楽しむのにうってつけのモデルと言えるだろう。

MODEL 30
MODEL 30の天面。パワーアンプがスイッチングで発熱が少ないため、放熱スリットも少ない

(協力:マランツ)

山崎健太郎