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昔のVHSテープをとうとうデジタル化。一体型レコーダでDVDに移した
2018年8月24日 08:00
昔のテレビ番組や映画を録りためたVHSテープが、なかなか捨てられない。VHSビデオデッキをBDレコーダなどに買い換えた後、見られなくなったテープだけを残している人もいるだろう。先日実家に帰省した筆者も、かさばる過去のテープの山に直面。しかしいつまでもモノとして残すよりは、デジタル化して整理することを考えた。
VHSのデジタル化は一体型レコーダがオススメ
VHSテープをデジタル化するには、いくつかの方法が考えられる。
- VHSビデオデッキを入手し、手持ちのレコーダに映像入力して録画する
- VHSビデオデッキとUSBキャプチャを入手し、PCにデジタル保存する
- VHS一体型DVDレコーダを入手してDVDにダビングする
- ダビング代行サービスに依頼する
VHSテープを自分でデジタル化するには、当然ながらVHSビデオデッキが必須だ。手元にない場合は、新品はもう売っていないので中古ショップやオークションサイトなどで利用できそうな機器を探したり、まだ持っている人に借りるという手もある。ネット上で探してみると、パナソニックやDXアンテナ、船井電機などの製品がいくつか出回っており、安いものは2,000円台で購入できそうだ。
筆者の場合は、パナソニックのVHS一体型HDD/DVDレコーダ「DIGA DMR-EH70V」(2006年頃購入)が正常稼働する状態で実家に残っていたので、これを使ってテープをデジタル化してみた。
EH70Vは、1台でHDD/DVD/VHSを再生できるだけでなく、ボタン1つで相互にダビングできる「ワンタッチ6WAYダビング」機能を備えているのが特徴。中古市場では現在、同様の機能を備えた「DMR-EH73V」が13,000〜15,000円前後と、やや高めの値付けで出回っている。
EH70Vに限らず一体型レコーダであれば、基本的にはテープをセットしてダビングを開始するだけで、後は放っておいても自動でダビング完了する。手持ちのレコーダやパソコンに有線でVHSデッキを繋ぐ方法は、映像の再生と録画タイミングを手動で合わせなければならないなど、何かと手間がかかる。なるべく楽にダビングしたければ、一体型レコーダが便利だ。HDD内蔵タイプであれば、HDDをダビング先に指定しておき、後で不要な映像をカットしたり結合するなど簡単な映像編集を行なえる機種もある。
12年モノのレコーダでDVD化。トラブルも
とはいえ、実際にVHSテープのダビングをいくつかやってみると、事はそう簡単ではないことも分かった。まず、当然ながらVHSテープのダビングは等倍で行なわれるため、結構時間がかかる。平日はほぼ一日仕事で家を空けるため、編集作業を含めると夜に一本ダビングできるかできないかといった進捗だった。
VHSテープが主流だった頃は、自分や両親が割とまめにラベルを作って貼っていた。おかげでどのテープに何が録画されているかは、おおよその見当が付く。そこまでは良かったが、ちゃんとケースに入れていなかったものは保管状況があまり良くなく、中のテープに埃が付着していたりカビのような付いてしまっていたりと、そのままビデオデッキに挿入するのはためらわれるものが意外と見つかった。ダビングの度にビデオデッキのヘッドクリーニングをするのも、なかなか手間ではある。
付属のリモコンボタンの一部が機能しなくなるトラブルも起きた。EH70Vは本体のワンタッチボタンを長押しするだけで、テープをフルでHDDやDVDにダビングしてくれるが、一部だけで良い場合や画質変更などの細かい設定をするにはリモコンが必要になる。映像の選択や早送り/巻き戻しに使うマルチジョグの中央に「決定」ボタンがあって、それで各種設定の選択やダビングの実行、ダビングし終わった番組の再生チェックも行なう。この決定ボタンがいつのまにか、押しても何も反応しなくなってしまった。
リモコンだけ中古で探して買い直すのも馬鹿馬鹿しい。結局、メーカーの保証はなくなるが(十数年前の機種なので別に構わないが)、分解してリモコンの接点にアルミ箔を貼り付けることで解決した。同じような問題は、他の機器でも起こりうるだろう。本体だけではダビング作業が進められないビデオデッキの場合は、リモコンが使えないとせっかくの機能が活かせなくなってしまう。
こうして、実家にあったVHSテープ5本を3日掛けてHDDにダビングし、3枚のDVDに移した。なお、EH70VはVHSからDVDへ直接ダビングもできるが、作業中に一時不安になる動作音がしたのと、不要な映像を消すことも考えていったんHDDに移してからDVD化した。
VHSテープのダビングを代行してくれるサービスもあり、インターネットで検索するとビクターや富士フイルム、ヤマダ電機、カメラのキタムラなどがそれぞれ独自に展開している。サービスによって料金は異なるが、お金を払えば自分でダビングする手間が省けるうえ、埃が入り込んだりカビの影響を受けてしまったテープを綺麗に処理してくれるところもあって、そこに全部頼んでしまえば良さそうに見える。
ただし、これらの代行サービスは基本的に、自分でビデオカメラなどで撮影したホームビデオなどのデジタル化を想定したところが多く、テレビ番組や映画などは自分で録画したものであっても、著作権などの観点から受け付けてもらえないことに注意したい。VHSを「懐かしのテレビ番組を見返すために残しておきたい」という人は、自力でダビングを試みることになる。
VHSテープの整理は早めに済ませよう
今年で30代に突入した筆者にとって、VHSは思い出のある記録メディアのひとつ。しかし、2016年に船井電機がビデオデッキ生産完了を発表して以来、新品で買える一般向けの再生機器はほとんどない。また、磁気テープは保管の仕方に気を遣っていても、経年劣化が進んで映像や画質に著しく影響を及ぼす。それに、かつて一生懸命録りためた映画の多くは映像配信サービスでいつでもどこでも気軽に観られるので、わざわざVHSテープで残す意味も薄れている。個人的には、ソフト化されていない一部のアニメやドキュメンタリー、過去のオーケストラ名演などのテレビ番組をバックアップできたら、テープそのものは処分してしまって構わない。
中古市場ではビデオデッキが数多く流通しているが、きちんと動作する「完動品」の入手は、今後さらに難しくなるだろう。連休など時間のあるときや大掃除の折に、VHSテープで映像を楽しんでいた過去を振り返りつつ、整理に勤しみたい。