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94,980円の“新スタンダードAK”「A&norma SR25」。音質レビュー付き

A&norma SR25

アユートは、Astell&Kernハイレゾプレーヤー“スタンダードライン”「A&norma(エーアンドノーマ)」シリーズの第2弾モデルとして、「A&norma SR25」を5月22日に発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は94,980円(税込)。カラーはMoon Silver。

なお、SR25専用のPUレザーケース「A&norma SR25 Case」も同時発売。Majestic Black、Parigina Red、Flauto Tanを用意し、価格は各7,980円(税込)。なお、Flauto Tanのみ直販サイト限定販売となる。

【お詫びと訂正】記事初出時、“「A&norma SR25 Case」は直販サイト限定販売”と記載しておりましたが、直販限定はFlauto Tanのみの誤りでした。お詫びして訂正します。(4月27日10時)

SR25専用のPUレザーケース「A&norma SR25 Case」

「AK70」から始まったスタンダードラインの新製品。AK70とAK70 MKIIの後継機として「A&norma SR15」が発売され、そのSR15をさらに進化させたモデルが、今回の「A&norma SR25」と位置づけられている。

内蔵ストレージメモリは64GB。microSDカードスロットを備え、最大1TBまでのカードが利用可能。

「A&norma SR25」
microSDカードスロットと、USB-C端子を装備

SR15で搭載し、評価の高かったCirrus Logic製Master Hi-Fi DAC「CS43198」のデュアル構成はSR25でも維持。SR25では、「DACとのペアリングで、より早い信号処理を可能とした」という、新しいQuad-Core CPUを採用。これにより、PCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHzのネイティブ再生を新たにサポートした。

さらに、これらの超高解像度音源を「遅延なく正しく再生するため」として、新しいパフォーマンスモードを開発。再生中の音源ソースのデータサイズに応じて、システム内のメモリーカードを自動的に最適化、及び設定するというもので、より多くのデータを高速で処理する際に、音割れを発生させない工夫となる。このパフォーマンスモードを使用してシステムを調整・最適化することで、「ほぼ完璧に近いサウンドクオリティーで再現する」という。

「A&norma SR25」

DACは前述の通り、「CS43198」を、L/R独立して1基ずつ搭載したデュアルDAC構成だが、そのサウンドクオリティーを余すことなく再現するために、オーディオ回路設計を新規開発。

超高解像度デジタルオーディオの適切に再生するためには、高性能のCPUとメモリ速度、高速信号処理に適したオーディオパスが必要となるため、SR15とは全く異なる高速信号処理をする為のPCB基板を新たに設計・開発。オーディオパスの長さを同じにすることで、遅延のない超高解像度サウンドの再生を実現したとする。

さらに、歪みのない信号伝達とノイズ除去の為に新規設計されたオーディオパターンと電源回路をL/R各チャンネルに採用。この新規開発されたオーディオ回路は「Ultra Low Noise Filter」と名付けられている。

ノイズを抑えるために、電源の安定した設計と効率化も突き詰めた。非常に高い効率性のコンポーネントを採用したほか、パフォーマンスを最大限に引き出すための回路の最適化に注力。「妥協することなくサウンドクオリティーを維持しつつ、前モデルであるSR15の約2倍以上となる最大21時間の連続再生を実現した」という。

Bluetoothにも対応。コーデックはSBC/AAC/aptX/aptX HDに加え、新たにLDACをサポート。ハイレゾオーディオをワイヤレスで再生できる。Wi-Fi機能も搭載する。

ファームウェアはAndroid 9.0をベースに独自開発。「一見気づかない多くの機能やアップグレードを追加したことで、これまでのバージョンのOSよりも更に安定した動作を提供する」という。

最新ファームウェアではアーティスト/アルバムアーティストの切り替え(写真の右上から3番目のマーク)を実装するなど、細部が進化している

また、Open APPを介してアプリのインストールも可能。音楽ストリーミングアプリにも対応できる。

イヤフォン出力は、3.5mm 3極のアンバランス(2.0Vrms)と、2.5mm 4極バランス(4.0Vrms)を搭載。USB-DAC機能も備えている。

DLNA対応機器に保存した音楽を、ネットワーク経由で再生する「AK Connect」にも対応。MQAフォーマット音源再生もできる。

EQ(イコライザー)シェアリング機能や、カーモードも搭載。ディスプレイは3.6型のカラー液晶。解像度は720×1,280ドット。外形寸法は108.3×63.5×16.1mm(縦×横×厚さ)で、重量は178g。

筐体には5軸加工を使用。試行錯誤の積み重ねで生み出したクラフティング技術も投入し、「金属が持つ独特の美しい輝きが生み出している」という。筐体の素材はアルミで、ノイズ低減にも効果があるという。形状は、「様々なデザイン要素が調和した組み合わせ」で、「音楽のリズミカルな感覚と自由を表現している」とのこと。

SR25とSR15を聴き比べてみる

左からSR25、SR15。SR25の方が一回り大きい」
左からSR25、SR15。端子の比較

SR25とSR15を並べてみると、SR25の方が少し大きい。ただ、比べればわかるレベルで、単体でSR25を見ても、あまり大きなプレーヤーだとは感じない。

前述のように、両者は同じCirrus Logic製DAC「CS43198」を2機搭載しているが、それ以外の部分で、SR25には改良が加えられている。その効果は、両者を聴き比べるとよくわかる。

音の傾向は似ているのだが、SR15を聴いた後でSR25に切り替えると、音楽が広がる空間そのものが、SR25では大幅に広くなる。そこに展開する音像も、空間が広くなった事で“つめこまれ感”が少なくなり、見通しの良いステージでサウンドが楽しめる。

低域も、SR25の方がより深く沈み込むようになっており、頭蓋骨に響くようなドッシリとした低音が音楽を下支えし、安定感がアップした。低音の迫力は増したが、不必要に膨らまず、タイトさを維持しているのもポイントが高い。

1つ1つの音のメリハリもアップしている。輪郭を強調するのではなく、情報量が増加した事で、低域の中や、中高域の細かな描写が見やすくなっており、それによって、個々の音が聴き取りやすく、メリハリがアップしたと感じるわけだ。

サウンドステージの広さ、低域の安定感、そして情報量の向上と、オーソドックスではあるが、オーディオで大切な部分を磨き上げた新モデルと感じる。これにより、再生音にも余裕が感じられ、“スタンダードライン”と位置づけられたプレーヤーだが、ハイエンドオーディオの香りが感じられる完成度の高さとなっている。