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京都生まれの新4Kテレビは「掃除しやすい生活家電」。三菱REALと他の違いとは?

 三菱電機が10月に発売する4K液晶テレビ「REAL 4K RA1000シリーズ」。12月1日開始の新4K衛星放送に対応したチューナと、HDD/BDレコーダも内蔵した“オールインワン型”が大きな特徴で、40型/50型/58型の3モデルをラインナップする。同社テレビが他と違うポイントを、開発拠点である京都製作所で聞いた。

 RA1000シリーズは、新たな広色域パネルや色補正機能、高音質のDIATONE NCVスピーカーなど映像や音のクオリティを高めたことは別記事で掲載している通りだが、その一方で「REAL 4K」が他社との違いとして打ち出しているのが「画と音の黒物家電から、ひとりひとりのライフスタイルに合ったもっと使いやすい生活家電」という点だ。

左から40型「LCD-A40RA1000」、50型「LCD-A50RA1000」、58型「LCD-A58RA1000」

掃除しやすいテレビ

 “生活家電”としての特徴の一つは、チューナ/レコーダ内蔵のため、新4K衛星放送を含む番組を観るのに他の機器を接続する必要がなく、テレビ裏の配線がすっきりするという点。リモコンで左右各40度の角度調整ができる「オートターン」と合わせて、“掃除しやすいテレビ”とアピールしている。

40型「LCD-A40RA1000」
三菱電機 リビング・デジタルメディア事業本部 京都製作所で商品企画担当課長を務める別府智氏が説明

 同社の視聴実態調査(普段テレビを利用する4,264人の回答)によれば、「画質」と「機能」のどちらを重視するかという質問で、「画質はある程度良ければ十分で、画質以外の機能や使いやすさを重視したい」という意見が26.9%あり、「どちらかといえば」(48.1%)も含めると全体の約75%が“画質以外”を重視しているという。

同社調査によるユーザーニーズ

 また、「テレビの裏が汚れていると感じることがある」という問いには、既婚・子ありの2,213人のうち80.2%があてはまると回答した(あてはまる42.2%、ややあてはまる38.1%)。毎日置きっぱなしで使う家電として、一体型の利点を訴求している。

他のチューナやレコーダと接続した場合のテレビの背面イメージ
RA1000シリーズの背面接続例

 かつての“テレビデオ”(ビデオデッキ内蔵のブラウン管テレビ)など、一体型のデメリットとしてよく言われていたのは「故障するとテレビごと修理に出さなければならない」点だが、三菱では'09年のモデルから、内蔵HDDのみを取り出せる構造を採用し、個別修理できるようにしていたという。

内蔵HDDが故障した場合も外して修理に出せる

 さらに、新しいRA1000シリーズでは、別売の外付けHDDへの録画も可能となり、内蔵HDDが故障した場合も引き続き録画できるようにしたのもポイントだ。

レコーダ一体型を続ける理由

 RA1000シリーズは、同社テレビで初めて新4K衛星放送に対応したモデルだが、チューナ内蔵という以外にも、Blu-rayへダビングできるのも、今のところ他社にはない特徴。一度HDDに録画したものを、HD解像度にダウンコンバートし、好みの画質でBDへダビングできる。4K放送を直接BDに録画することはできないが、4Kそのままだとデータ量も大きくなるため、現状のBDへ記録するには現実的な方法と言えそうだ。

BDドライブ部。4K Ultra HD Blu-ray再生にも対応する

 同社テレビの特徴ともいえるレコーダ一体型モデルを販売し続ける理由としては、放送をリアルタイムで視聴する機会が減った人が、前述の調査で61.9%(あてはまる35.1%、ややあてはまる26.9%)と多いことを挙げている。録画した番組をほぼ毎日観る人は約40%、週に4~5番組以上録画する人は約53%との結果が出ている。

 もう一つ、レコーダ一体型のメリットとして、リモコンも1台で済むため、操作のたびに使い分ける必要がないのもポイント。このリモコンも新モデルから大きく変わり、ボタンの凹凸がないフラットな表面になった。これにより、リモコンの上に飲み物などをこぼしても簡単に拭き取れるようにしたという。細かいポイントとして、リモコンの文字などはシートの裏側から印字しているとのことで、長く使っても印刷が擦れて消える心配もないとのことだ。

フラットなデザインの新リモコン
表面が濡れても拭き取れる
1つのリモコンで録画機能なども操作可能

 従来モデルにも共通していることだが、リモコンのボタン名は、機能名ではなく「見る」、「予約」、「残す」のようにやりたい操作を色分けして表記。サポート受付に電話があった時も、電話口で「緑のボタンを押してください」と案内するなど説明しやすいのもメリットだという。そのほか、テレビでYouTubeを観たり、音楽動画を観る(聴く)人が60%を超えているという結果を受けて、リモコンにYouTubeのダイレクトボタンを搭載するなど、利用実態に合わせた機能の変更も行なった。

 なお、付属リモコンだけでなく、スマホアプリ「REAL Remote」からも操作可能。REALはオートターン機能で画面の向きを調整できるため、リビングとダイニング、キッチンなどで向きを変えて使いたい場合も、メインのリモコンはリビングに置き、他の場所ではスマホリモコンで操作するといったこともできる。

オートターンにより、部屋の様々な場所から観られる

新4K衛星放送の認知度低い

 三菱電機 リビング・デジタルメディア事業本部 販促担当課長の遊佐正治氏によれば、同社調査では、テレビを使う20~60代の男女4,940名のうち、半数以上の54.8%が「新4K8K衛星放送」の開始について「まったく知らなかった」と回答しており、視聴に専用チューナが必要な点は66.7%、今までのレコーダで録画できないことは74.2%が「まったく知らなかった」という。

新4K8K衛星放送への認知度はまだ低い
今後予想されるユーザーの混乱

 調査では、テレビの使用年数が5年以上と答えた層が全体の57%を占めたという。'16年の内閣府消費動向調査では、テレビの買い替えサイクルが単身世帯で6.5年、2人以上世帯では8年というデータを踏まえ、これから1~2年で買い替え需要が高まると同社は見ている。

テレビの買い替え需要予測

 テレビの4K対応モデルは増えているが、視聴や録画に様々なステップが必要なことはあまり認知されていないという点から、一体型ですぐ視聴や録画ができる点を差別化ポイントとしている。

販促担当課長の遊佐正治氏

京都製作所で開発から品質管理まで

 RA1000シリーズを含むテレビの研究開発や、品質管理まで一貫して行なっているのは同社の京都製作所。ここではサイネージ用ディスプレイや、プリンタ、ディスプレイウォールのほか、電気自動車などのパワーコンディショナや、HEMS関連製品も手掛けている。なお、現在テレビの組み立ては他の工場で行なっている。

京都製作所

 京都製作所は1962年発足で、以前の無線製作所から分離。ブラウン管、カラーテレビの生産を順次移管し、1985年に業界初の37型カラーテレビを生産開始、1991年には36型ワイドテレビ、2004年には37型クラスでフルハイビジョンの液晶テレビなど、業界初のテレビを発売してきた。液晶テレビとHDD/BDレコーダ一体型の初代は2009年から発売した。

京都製作所の歴史
京都製作所で現在開発・生産されている製品
京都製作所について営業部 飯塚敏之部長が説明
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