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「全裸監督」山田孝之、園子温らNetflix注目作の裏側語る。「呪怨」新作も

Netflixは、今後配信予定の注目作品を紹介する「オリジナル作品祭」を6月25日に開催。山田孝之が伝説のAV監督・村西とおるを演じた8月8日配信「全裸監督」や、秋に配信される園子温監督「愛なき森で叫べ」などのキャストや監督らが登場して撮影の裏側などを語った。

Netflix オリジナル作品祭

山田孝之が村西とおる熱演「全裸監督」。黒木香ら4人の“変化”

8月8日より配信開始される注目作の「全裸監督」。主演の山田孝之さん、満島真之介さん、玉山鉄二さん、森田望智(みさと)さんのキャスト陣と、武 正晴総監督が登壇してトークセッションを行なった。

「全裸監督」キャストと武 正晴総監督

「全裸監督」は、1980年代のバブル時代に“AVの帝王”と呼ばれた村西とおるの半生をドラマ化。8月8日より独占配信される。山田孝之主演で、満島真之介、玉山鉄二、森田望智、余貴美子、小雪、リリー・フランキー、國村隼、石橋凌といった豪華キャストが参加している。

「全裸監督」予告編

「村西とおる役を演じました山田孝之です、ナイスですね~」と挨拶した山田さんは、「村西さんの人生のかなりの時間を8話で描いているので、スピード感があって、やってることは破天荒というかむちゃくちゃで、ワクワクしました」と撮影を振り返る。

山田孝之さん

満島さんは、「Netflixから話をいただいた時、『山田孝之主演、全裸監督』やらないわけがないです」と出演を即答したことを紹介。

玉山さんは「よくこの企画が通ったなというのが第一印象。さすが黒船と呼ばれるNetflixが日本のエンタメ業界にメスを入れるという意気込みを感じました」と語った。

伝説のAV女優・黒木香を演じた森田さんは「脚本を読んだ時に、攻めた内容だからもしかしたら見てくれる層が狭まってしまうかと思っていましたが、実際に観たらすごくポップな仕上がりで、これだったら多くの人に楽しんでいただけるだろうなと明るい気持ちになった」とコメント。

森田望智さん

森田さんは、当初はAV撮影のシーンで「みんなインフルエンザになって延期しないかな……」と思い悩んでいたとのことだが「私ができないところを見て、武監督が躊躇もなく男優の方と(お手本で)絡んでくださったりして、そういう姿を見た時に『私なんでこんなに恥ずかしがっていたんだろう』と思えてきました。武監督からはずっと活力をいただいて、リハーサルを繰り返し、徐々に撮影を乗り越えました」と振り返った。

森田さん起用について武 総監督は「村西さんが黒木さんと出会ったかのように僕らもそういう女優さんに出会いたいと思ってオーディションをして、そこに彼女は見事な腋毛を生やして現れました。それだけ(が起用の理由)ではないですが『この人は黒木さんになるな』と思った」とのこと。

武 総監督は「何度も何度も台本を直し、撮影に入ってもなかなか終わらなくて、粘って粘って……」と制作の苦労を振り返りながらも「('80年代当時に)タイムスリップするようで、毎日朝を迎えるのが楽しみだった珍しい現場。エキストラの人を一人一人作っていくことも含めて、どんどん当時の色んなことを思い出して、今とつながっていく。それを演者が面白おかしくしてくれたことが監督冥利に尽きる」と語った。

この作品は世界190カ国以上で配信されることになり、'80年代当時のアダルト業界を、どこまで踏み込んで描いたか気になるところだが、撮影前に武 総監督らは「ハラスメント講習」を受けたとのこと。武 総監督は「1つだけ大事にしたのは、とにかく“リスペクト”を忘れないということ」だという。

作品では、村西とおるが英語教材のセールスマンだった頃から、アダルトビデオ業界で”伝説”となっていく姿を描いている。登壇したキャスト陣の演技について武 総監督は「とにかく(作品を観れば)ビックリしますよ、ここにいる4人は。普通の人間が、どんどん変わっていく様が本当に見事。ぜひ観ていただきたい」と自信を見せた。

武 正晴総監督

山田さんも「全力でぶつかっていって楽しかった。撮影があと数日で終わると聞いて、ホントに終わりたくないと思ったのは、20年ぐらいやっていて初めて。この空間にいて、このスタッフ、キャストとまだまだいたい、という気持ちになった」と語った。

なお、25日には同作品の本予告が解禁された。失意のどん底から、アダルトビデオ業界で”生きる道”を見出した村西たちの商売敵や警察との奮闘、'80年代バブルを象徴するシーンなどが描かれた、約2分間に渡る予告映像となっている。

「全裸監督」本予告解禁

園子温監督「愛なき森で叫べ」

「愛なき森で叫べ」のトークセッションには、主演の椎名桔平さん、満島真之介さん、でんでんさん、園子温監督らが登壇。

「愛なき森で叫べ」出演陣と園子温監督

同作品は、実際に起きた猟奇殺人事件にインスパイアされた実録シリーズ。劇場公開作品ではないが「Netflixオリジナル映画」と位置付けられている。2019年秋に配信予定。

実際の事件をベースに作ることについて園子温監督は「そっくり再現することには興味はなかった。それをアレンジして物語が作れるなら」との思いで取り組んだという。これまでの園子温作品に登場した人物が何人も登場することが明かされ、「事件の中に自分の今までのキャラクターが入っていって、起きた事件をどう動かしていくか、かどわかしていくかに興味があった」とのこと。

園子温監督

園子温作品ではかつて「新宿スワン2」に出演した椎名桔平さんは、「どういう作品なのかは二の次で、まず園監督だから」と今回の主演を受けたことを説明。「何でもやろうという思いだったが、それ以上にやらされました(笑)」と振り返った。

椎名桔平さん

「冷たい熱帯魚」で殺人鬼を演じていたでんでんさんは、今回“被害者”役。椎名桔平さん演じる村田に本気で10発以上殴られるという撮影があり、“手抜きは許されない”現場というエピソードを明かした。ただ、最終的にこのシーンはカットされてしまったという。

かつて俳優としてではなく“助監督”として園子温監督と映画作りをしていた過去を持つ満島真之介さん。演じるシンは、“映画小僧”的なキャラクターだという。シンを取り巻く世界について「夢を追う若者たちの無謀さと、出会い、別れという、なんだか犯罪とは真逆の、未来に向かって突き進む若者と、得体の知れない大人が交錯することがすごく不思議な空気感」と表現。

撮影を続けていくにつれ「何が本当で何が嘘か分からなくなってくる。園さんのセリフ回し、言葉の使い方ももそうなんですが、村田を演じる椎名さんを見ていると、怖いけど笑っちゃう。バイオレンスなシーンも、生活の流れと全く変わらない瞬間にある。映画を作っているんだけど、何の作品を作っているかどんどん分からなくなってくるような感覚が正直ありました」と今回の撮影を振り返った。

「愛なき森で叫べ」概要

一見すると快活で好ましい人物・村田丈は、実際は他人を巧みな話術と暴力で支配し、金を搾り取り、出会った人々を残虐な犯行へと巻き込む冷酷な先天的犯罪者。彼に出会い、運命を狂わされる女性たちとその家族。そして、狂気の沙汰を繰り返す村田たちと行動を共にする若者・シンの謎めいた眼差し……。理不尽な暴力や支配にたやすく精神を侵され、「善人」であることを放棄する登場人物たち。一見自分たちとは無関係とも思える「彼ら」はしかし、「私たち」でもありうるのだ。常軌を逸した事件が絶えず、いつ自分が善悪の狭間に落ちてもおかしくない社会の本質に園子温が深く切り込み、人間の深淵を描き出す。

「ストレンジャー・シングス 未知の世界3」のゲイテン・マタラッツォ、ケイレブ・マクラフリン、ノア・シュナップ、セイディー・シンクや、「FOLLOWERS」主演の中谷美紀、池田エライザ、蜷川実花監督ら豪華キャスト&クリエイターが登場

実写版「Cowboy Bebop」や、「呪怨」新作も配信予定

上記以外にも、今後配信のオリジナル作品や、ライセンス作品などが紹介された。

オリジナル映画は、クリス・ヘムズワース主演の作品(タイトル未定)が2020年に配信予定。ある抗争に巻き込まれ囚われた少年を救う任務に、ヘムズワース演じる主人公が挑む。

「Wonderland」(原題)は、ピーター・バーグ監督、マーク・ウォルバーグ主演。元警察官の私立探偵が、ある事件の調査をきっかけに、ボストンの裏社会へ引き戻される。2020年配信予定。

実写化が決定している「Cowboy Bebop(カウボーイ・ビバップ)」の主演は、スター・トレックなどに出演するジョン・チョー。エピソードは10話構成で、アニメ版の監督である渡辺信一郎もコンサルタントとして参加する。

このイベントで初解禁となった作品は「呪怨」の新たなオリジナルシリーズで、初のドラマ化。「従来の“Jホラー”と一線を画した狂気、人間ドラマをあぶりだす」という。同作品に関する情報は今後順次公開される予定。

オリジナルではなくライセンス作品として、宇多田ヒカルの2018年のツアー「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」が6月26日から配信開始されることも発表された。