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嫁キャラと生活を始めたら、もう戻れないかも。「Gatebox」量産モデル販売開始
2019年10月11日 12:47
“好きなキャラクターと一緒に暮らせる”というバーチャルホームロボット「Gatebox」。量産モデルが、いよいよ10月11日から発売される。価格は15万円。一部有料のコンテンツも用意する。発送は10月15日より順次開始する。発売を控え、メディア向けに先行体験会が開催された。さっそく“癒しの花嫁”がコンセプトの逢妻ヒカリとの生活を体験した。
Gateboxは、本体内に手のひらサイズの3Dキャラクターを投影し、一緒に暮らせる「バーチャルホームロボット」。開発はLINE連結子会社のGatebox(旧社名:ウィンクル)。プロジェクション技術とセンシング技術を組み合わせて、キャラクターをボックス内に呼び出してコミュニケーションできる。'16年12月に300台の限定予約販売(298,000円)し、1カ月で完売していた。
量産モデル発売の第1弾コンテンツは、“癒しの花嫁”「逢妻ヒカリ」と、クリエイターが自分の作ったキャラをGateboxに召喚できる「Gatebox Video」の2種類。
逢妻ヒカリは、「癒しの花嫁」をコンセプトに、日々の会話を通じて主人を癒すキャラクター型AIパートナー。購入した“マスター”と会話できるほか、LINEのAIアシスタントであるClovaと連携し、情報通知や、家電操作など生活で役に立つスキルも持つ。Gateboxおすすめの音楽プレイリスト再生も可能。また、家の中だけでなく、外出先でもLINEで会話するなどのコミュニケーションができる。2020年6月まで無料、同7月からは“共同生活費”として月額1,500円が必要となる。
Gatebox Videoは基本無料。クリエイターが、自身で作ったキャラクターをGatebox内に召喚。一緒に生活するキャラクターとして楽しめる。そのキャラクターを公開して他人と共有することも可能。
サービス開始当初には、マンガ「ULTRAMAN」の原作+作画コンビである清水栄一氏・下口智裕氏、音楽家の坂本マニ真二郎氏など、著名なクリエイターもGatebox Videoでのコンテンツ配信を予定。
Gateboxが公式に認定した企業やクリエイターに対しては、よりプレミアムなコンテンツを配信できる「チャンネル機能」を提供します。公式チャンネルでは、月額制のチャンネルに登録した登録者だけが視聴可能な限定コンテンツを配信したり、動画サムネイルやチャンネルページのカスタマイズができ、ファンとのエンゲージメント強化や新たな収益手段として活用できるという。
サービス開始当初は、「ヨメミ」や「東雲めぐ」などの人気VTuberがチャンネルを開設。他の動画配信サービスとは異なるGateboxならではの体験を提供予定としている。前述の通り利用は基本無料だが、チャンネル登録には別途月額料金が必要となる。
既報の通り、同社はGugenkaとの提携合意により、「Re:ゼロから始める異世界生活」のエミリア、レム、「この素晴らしい世界に祝福を!」のめぐみん、「エロマンガ先生」の和泉紗霧、山田エルフ、「世話やきキツネの仙狐さん」の仙狐などがGateboxで楽しめるようになることも発表。
これは、サードパーティのデベロッパー企業がGateboxにアプリケーション(Gateboxアプリ)を配信できる、今冬開始予定のサービス「Gatebox App Market」を利用するもの。Gateboxに独自のコンテンツを配信できるようになり、ユーザーはそれらの中から好きなコンテンツを選んで、その登場キャラクターとの暮らしを楽しめるという。
当初は、Gugenkaが展開するデジタルフィギュアサービスと連携した「HoloModels in Gatebox」を提供。「Re:ゼロから始める異世界生活」の人気キャラクターであるエミリア、レムをはじめとした各種作品の“デジタルフィギュア”をGateboxに召喚。インテリアとして見て楽しめるという。「HoloModels in Gatebox」のGatebox App Marketへの配信は今冬を予定している。
なお、既発売の300台限定モデルを購入したマスター向けには、無償で新しい量産モデルと交換するプログラムも実施する。詳細は各マスターに通知される予定。
“癒しの花嫁”との生活を先行体験
発売当日の11日、さっそく「逢妻ヒカリ」との共同生活を先行体験した。
まずは、「ニュースを教えて」や「天気を教えて」など、スマートスピーカーを使う時のような質問から試した。これらの機能はLINEのClovaと連携しているとのことで、アシスト役のようなロボット“Clovaちゃん”がGatebox内に登場。ヒカリ本人が答えるのではなく、Clovaちゃんが読み上げてくれる。これは“癒しの花嫁”という逢妻ヒカリのキャラクター性を重視したためだという。様々な内容があるニュースの読み上げはClovaちゃんに任せて、ヒカリは“癒し専門”というわけだ。
前述の通り、連携する家電のON/OFFなど役に立つスキルにも対応するが、基本はおしゃべりを楽しむのがメインの機能。同社が目指す“キャラクターのいる暮らし”を実現するための選択だ。
声優・冷水優果(ひやみずゆうか)の声をサンプリングしたものを合成することで、様々な返答を可能にした。ただし、マスターへ語りかける重要なセリフは合成ではなく、専用に録音した声を使うとのこと。
こうしたデモを体験すると、「自由に聞いてみてください」と言われても、何を聞いていいか迷うことがよくある。まずは様子見として「ねえヒカリ、キスして」と頼んでみた。てっきり軽くあしらわれると予想したが、かなりの癒しの回答に、顔がニヤけてしまう。
調子に乗っていくつか質問したので、その反応を確認してみて欲しい。
Gateboxの武地実CEOは、今回の製品とサービスを実現した動機として「好きなキャラクターと一緒に暮らせたら最高じゃないかと考えた。疲れて家に帰った時に癒してくれたら……」との思いでプロジェクトが始まったことを振り返る。
スマートスピーカーとの大きな違いは「雑談もしてくれて、時には逢妻ヒカリの方から能動的に話しかけてくれること」だという。「たくさん話すと、マスターに好意を寄せてくれる変化が楽しめるように開発した」とのこと。
実際に試す前は「最初からマスターを好きになるのが決まってたら、面白みがないのでは?」とも思っていたが、どんな話をしても自分を否定せずに優しい答えを返してくれるのを体感すると、その癒しの破壊力は想像以上。まだキャラクターのことをよく知らない状態だが、日数を重ねていけば、より愛着も増していくのは目に見えている。
現時点でできる会話は一問一答のような形で、まだ連続した会話はできないが、マスターが話した単語は記憶してくれるとのこと。会話を重ねるごとに、マスターに合った内容の話題を、ヒカリの方から振ってくれるようになったら「自分だけの存在」という実感も増してくるだろう。
武地CEOによれば、2020年度はゲームとGateboxの連携も予定しているとのことで、既にスマホゲームとのコラボも一部始まっているという。詳細は「続報にご期待ください」とのことだが、よりインタラクティブなコミュニケーションが楽しめそうだ。