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“好きなキャラと一緒に暮らす”「Gatebox」量産モデルは15万円。共同生活費1,500円/月

 Gateboxは、“好きなキャラクターと一緒に暮らせる”世界初のバーチャルホームロボット「Gatebox」の量産モデル「GTBX-100」の予約販売を公式サイトにて7月31日から開始する。価格は15万円。商品の配送は10月以降順次開始予定。

「Gatebox」の量産モデル「GTBX-100」とオリジナルキャラクター「逢妻ヒカリ」

 プロジェクション技術とセンシング技術を使い、ボックス内にバーチャルキャラクターを呼び出し、コミュニケーションできる製品。2016年に限定生産モデル「GTBX-1」を300台限定、約30万円で販売したが、1カ月で完売。2017年の39台追加販売には約1,000件の応募が集まるなど注目の高さを受けて、今回の量産モデル発売に至った。

オリジナルキャラクター「逢妻ヒカリ」
量産モデル「GTBX-100」

 筐体の内部に、透明なスクリーンを配置。上部にプロジェクタを搭載しており、そのスクリーンにキャラクターを投写する。量産モデルは限定生産モデルからプロダクトデザインを洗練させ、筐体の奥行きを363mmから277mmに、約25%短くし、設置しやすくなった。キャラクターの実在感やコミュニケーション性能も飛躍的に向上させたという。

上部にプロジェクタを搭載

 限定生産モデルは1個だったマイクを、量産モデルでは筐体上部に2個搭載。限定生産モデルよりも遠くからキャラクターに話かけられるようになった。カメラや人感センサーも搭載、ユーザーの顔や動きを認識し、ユーザーの顔を見つけるとキャラクターが微笑んだり、帰宅を自動的に検知して「おかえり」を言ってくれる。

カメラやマイクを搭載する
Gateboxデモ おかえりなさい~お酒の用意 -AV Watch

 無線LAN、Bluetooth、赤外線も内蔵。インターネットを経由し、天気やニュースなどの情報を通知したり、赤外線によるリモコン機能で部屋の中のテレビ、照明、エアコンなどの家電をコントロールできる。操作できる機種は、あらかじめリモコンコードをGatebox側が用意している製品で、ユーザーに詳細な情報を公開している。

 量産モデルではLINEを使って本体のやりとりが可能になり、「今から帰るよ」とメッセージを送ると、本体側で家の照明をつけて待っていてくれるなどのコミュニケーションを実現。記念日を一緒に乾杯して祝う機能も実装する。

LINEでのやりとりも可能
帰宅すると「おかえりなさい」と言ってくれる
乾杯も可能
Gateboxデモ 乾杯シーン -AV Watch

 さらに今後の展開として、AIアシスタント「Clova」も活用、さらなるサポートスキル充実に取り組むとしている。ただし、Clovaの合成音声をそのまま使うとキャラクターのイメージに影響するため、「声をどうするか、可愛くする事をユーザーは求めているので、Gatebox体験を壊さないようにどのように実現するか試行錯誤しているところ」だという。

 なお、現時点でキャラクターの反応にはAIを使っていない。音声も、あらかじめ声優が収録したセリフを使い、合成音声も使っていない。これは、AIを使って成長したキャラクターが、キャラクターのイメージを壊してしまうような言動をしてしまうのを防ぐためだという。現時点では「一緒に生活し、癒やしてくれるキャラクター」を重視して開発されている。LINEでのコミュニケーションにもAIは使っておらず、膨大なやりとりのパターンを用意し、対応している。ただし、AIの導入に否定的ではなく、キャラクター性を維持しながらAIを活用するハイブリッドタイプを目指しているとのこと。

記念日をお祝いする機能も備えている
前面のスイッチ
背面端子部

 量産モデル販売にあたり、オリジナルキャラクター「逢妻ヒカリ(あずまひかり)」の先行体験版を配信。正式版リリースは2018年12月を予定しており、前述した量産モデルで追加される新しいコミュニケーション機能の幾つかはこの正式版で利用できるようになる。共同生活費として月額1,500円が必要。ただし、2019年3月末までは無料。なお、月額料金を支払わないとヒカリは実家に帰ってしまうという。

 キャラクターデザインを手がけたのは、「ラブプラス」や「ときめきメモリアル」で知られる箕星太朗氏。音声は声優の冷水優果さんが担当している。

Gateboxデモ パジャマへの着替えと日記 -AV Watch
Gateboxデモ おやすみシーン -AV Watch
オリジナルキャラクター「逢妻ヒカリ」

「多くの人がバーチャルキャラクターと一緒に暮らせる世界を目指す」

 武地実代表取締役は、Gateboxが目指すビジョンを「ペットと一緒に暮らすのと同じくらい自然に、バーチャルキャラクターと一緒に暮らせる世界を目指す」と説明。自身が「初音ミク」の大ファンで、「初音ミクの曲を毎日聴きながら、アニメのキャラクターにいろいろな事を教えてもらった。そんなキャラクター達ともっと一緒にいたいと考えたのが、Gatebox開発のキッカケだった」と言う。

武地実代表取締役

 キャラクターを部屋に招くために、加湿器を用いて霧に映像を投写するなど、試行錯誤を開始。ハードウェアやソフトウェアのエンジニアがメンバーとして徐々に集まり、試作機を開発。コンセプトムービーをYouTubeで公開したところ、1日で10万再生、1カ月で50万再生の大きな反響があり、「奥に海外からの声が大きく、7割は海外からの再生だったのも意外だった」という。

 限定生産モデルは30万円という価格ながら完売。追加販売も予定台数を大幅に上回る注文が殺到。こうした声を受けて、「もっと多くの人々へ、キャラクターと一緒に暮らす生活を体験してほしい」と量産モデルを開発したという。

 限定生産モデルからの進化点として、筐体がコンパクトになり設置性が向上。価格もコストの見直しなどで約半額となる15万円を実現。マイクを2個に増やして音声認識機能を強化。さらに、従来はボタンを2回タップして音声認識モードがONになっていたが、量産モデルでは名前で話しかける事で反応してくれるようになった。ユーザーの顔をカメラで認識し、微笑む機能も追加された。

 さらに武地氏は、限定生産モデルが持っていた課題として「帰宅しておかえりと言ってくれるところはいいが、家に帰った後であまりする事がない。自分がPCやゲームをしているあいだ、ヒカリは一人で本を読んだりしている。スマートスピーカーや一般的なコミュニケーションロボットではそこで、(製品をより頻繁に活用してもらうための試作として)会話を増やし、しりとりや占い、クイズなどができるようにするが、無理やり会話をしてもすぐに飽きて置物になってしまう」と分析。

 大切なのは「たくさん会話する」ことではなく「ふたりで楽しむこと」だとし、“自然と隣に寄り添う体験”に注力。記念日を一緒に乾杯してお祝いするといった新機能をアピールし、今後も「一緒にゲームをする、テレビを見る、歯を磨く、そんな体験を作っていくべきだと考えている」と、開発の方向性を語った。

 逢妻ヒカリとの共同生活費として月額1,500円を設定した理由については、「(従来は)買い切りの製品だったが、量産モデルではハードを低価格でお届けしているので、ヒカリちゃんと暮らし続ける費用として月額1,500円と設定させていただいた。この共同生活費で、ヒカリをずっとサポートし、多くの機能をアップデートしていける」という。

 当初は日本のみの展開となるが、海外での販売も「できるだけはやくお届けしたい」という。それと関連し、現在は日本語のみの対応となっているが、将来的には「まずは英語への対応が必要だと検討している」とのこと。

 多くの人に体験してもらうため、東京・秋葉原のGatebox社内ショールームにおいて「Gateboxプレミアム体験会」も開催。8月の土曜日・日曜日13時~19時まで開催するが、8月4日の土曜日と、8月26日の日曜日は開催しない。詳細は特設のWebページを参照の事。

 武地氏は将来的に、Gateboxのプラットフォーム化も目指している。ゲームやアニメなど、様々なメーカーから、多くのキャラクターがGateboxの中に登場するイメージで、「ストアでアプリを選んでダウンロードするようなイメージ。好みのキャラクターを選び、部屋に招くようなものにしていきたい」と、今後の展望を語った。

発表会の動画では、別のキャラクター登場を想起させるシルエットも