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Premiere Proベータ版に音声からのテキスト書き起こし機能。Rushはサウンド拡充

アドビはCreative Cloudのビデオ製品をアップデート。21日よりPremiere Proのベータ版にテキスト書き起こし機能を搭載する。After Effectsには3Dデザインスペース機能と、動画から選択した人物やオブジェクトを自動的に追跡して分離するロトブラシ2を実装。Premiere Rushでは、シーンのつなぎ目に使うトランジションの種類と、無料で使えるサウンドが追加される。

Premiere Proのベータ版に、動画内の音声からテキストの書き起こしを自動で行なう機能を追加。キャプションや字幕のグラフィック制作ワークフローを変革する次世代のツールとしている。ベータ版アプリはデスクトップ版のCreative Cloudよりダウンロードして利用できる。

デスクトップ版CreativeCloudの画面。左側のメニュー内「ベータ版アプリケーション」からベータ版アプリをダウンロードできる画面に行ける

アドビのAI技術Adobe Senseiを活用。日本語への対応は、「かなりいい精度まで来ている」とし、今回のベータ版のフィードバックを元に本実装へ向けた精度の向上を図るため、積極的に利用して欲しいと述べている。

なお、文字の大きさ、スタイル、色などの編集や字幕の出るタイミングも変えることができる予定。

また、9月に本実装されたシーン編集検出についても、実装後のユーザーからのフィードバックを受けてアップデートを行ない、今回さらに精度を向上したという。

After Effectsに搭載されるロトブラシ2もAdobe Senseiを活用した機能。動画内の人物やオブジェクトをなぞるだけで、Adobe Senseiがトラッキングし、選択したオブジェクトと背景を分離できる。

背景とオブジェクトの色のコントラストの弱い素材の場合、従来では細かい調整が必要だったが、実装にあたり精度が向上。水中を泳いでいるサメの映像でも、一度でしっかりとサメだけを分離できるようになったという。

動画内のサメをロトブラシ2ざっくりとなぞる
自動でサメの部分を選択し、トラッキングを開始
サメの部分だけを切り抜き、背景がマスクされた状態

9月のベータ版に実装されていた3Dデザインスペースにおける編集機能も本格実装。3Dトランスフォームギズモにより、3D空間に設置したレイヤーやオブジェクトを上下左右のさまざまな角度から見られるほか、X軸、Y軸、Z軸を起点にオブジェクトを回転させるなど、直感的かつ高速な編集作業ができるようになる。

「カーソルの周りを周回」「カーソルの下でパン」「カーソルに向かってドリィ」の3つの項目が追加され、それらを使ってコンポジションの中身を立体的に確認できる。また、3D空間上に複数のカメラを設置可能で、素早い視点の切り替えや、設置したカメラの目標点を起点とし、周回などの視点の操作もできる。

3Dデザインスペース
3Dギズモで直感的に編集できる

Premiere Rushではトランジションやサウンドを強化。シーンの切り替わりに使用するトランジションを従来の4種類から16種類へ増加。適用することでシーンの切り替わりを演出できるほか、プレビューしながらワンタップで効果を切り替えられるという。

Rushの編集画面下部。トランジションの種類が16種類に増加した

サウンドトラックは100曲以上追加され、約140種類のサウンドトラックを無料で使用できる。サウンドエフェクトも追加しており、簡単に作品をクオリティアップできるとしている。

サウンドトラックを100曲以上追加したほか、サウンドエフェクトも新たに搭載した

チーム制作を高速化するCCライブラリ

複数のアプリを横断して利用できるクラウド機能。PhotoshopやIllustrator、Premiere Proなどの各アプリ内にCCライブラリパネルが追加され、例えばIllustratorで作成したロゴマークのデータをCCライブラリに保存すると、そのデータがPremiere ProのCCライブラリパネルにも共有、そのまま編集中の動画内にロゴマークをペーストできる。

さらに、CCライブラリからペーストされた素材はクラウドとのリンクを保っているため、Premiere Proでペーストした後でも、Illustratorでロゴマークのデータを修正/更新してCCライブラリに上書きすると、Premiere Proでペーストしたロゴマークも最新のものに更新される。

CCライブラリの他ユーザーへの共有も可能。CCライブラリパネルの共有ボタンから、共有するユーザーと「閲覧のみ/編集可能」の権限を選択して共有できる。これにより、チーム内で素材、静止画、動画など複数の作業が同時進行している中での、データのやりとりが高速化。加えて「バージョンの古い素材を使ってしまっていた」などといった事故を事前に防げるとしている。