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ゼンハイザーのコンシューマ事業、Sonova移管後も「音は変わらない」

ゼンハイザージャパンは10日、ドイツ本社が発表した「コンシューマ事業の譲渡」に関連し、メディア向けの説明会を実施。「詳細は年内を予定している移管作業が終わってから、改めて説明する機会を設けたい」と前置きをした上で、移管作業中も製品の販売やサポートに変更はないこと。また事業譲渡後もブランド、製品の開発や生産、工場はそのまま継承され、'23年まで予定されているロードマップやオーディオファイル向け製品の投入に変更はないと強調した。

既報の通り、独ゼンハイザーはコンシューマー向け事業を、補聴器ブランドのフォナックなどを展開するスイスSonova(ソノヴァ)に譲渡する。ゼンハイザーは今後、「Pro Audio」、「Business Communications」、「Neumann」(ノイマン)の事業へ集中する。

ゼンハイザージャパンのスタッフは、Sonovaとの連携について「ドリームパートナーである」と表現。「ゼンハイザーの音質技術。そしてSonovaが有する補聴器技術が融合することは、非常に高いポテンシャルを秘めていると感じる」と話す。

さらに「エンハンスドヒアリング、つまりヒアラブルのマーケットは今後更なる拡がりが期待されている。ゼンハイザーとSonovaの技術面におけるパートナーシップは、競合との差別化に繋がり、それが事業譲渡の大きな理由の一つと聞いている。またものづくりの精神も一緒で、我々のコーポレートメッセージ“The Future of Audio”、Sonovaの“HEAR THE WORLD”はどちらもサウンドにフォーカスしたもので、音が持つパワーを信じている。技術の補間だけでなく、カルチャーフィットも高く、将来大きな絵が描ける」と連携の強みを説明した。

コンシューマとプロ領域の線引きについても説明。

今回の譲渡対象となるのは、完全ワイヤレスやヘッドフォンなどの機器。HD800やHD600などのオーディオファイル向け製品やインイヤーのIE800、IE300などのイヤフォンが含まれる。一方で、HD25などのスタジオモニター向け製品は譲渡の対象外。製品名に「PRO」が付くもの、またマイク製品もゼンハイザーのプロ部門が事業を継承することになる。

SNSなど、一部で懸念されている「譲渡後のクオリティ」についても言及。

今回の両社の合意は、“事業の完全譲渡”。開発に携わるメンバーだけでなく、生産、工場も含めて全てSonovaに移行される。「心配されているファンもいるとは思うが、開発の人間がそのまま異動するため、譲渡後も音は変わらない。開発スケジュールにも変更はなく、新製品の開発がストップするわけでもない。すでに2023年までのロードマップが出来ており、なんら変更はない」とする。

譲渡後の販売やサポート体制については、「詳細は年内を予定している移管作業が終わってから」としながらも、「品質、サポートを含め、今までのカスタマーエクスペリエンスを下げることがないよう、できる限り形にしていきたいと思っている」と話した。

なお、Sonovaへの譲渡移管中においても、ゼンハイザー製品の販売・サポート体制に変更はない。従来の販売先で機器を購入したり、所定の窓口でサポートを受けることができる。